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書類選考で落ちる日々。保育園も不承諾。専業ママがITベンチャー企業に再就職するまで

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女性の活躍を推進しようとする世の中の動きがあるとはいえ、妊娠や育児などを理由に一度仕事を辞めたママが再就職をしようとすると、様々な問題が立ちはだかります。

「子どもの預け先は確保できるの?」
「キャリアブランクのある自分が働ける職場はあるの?」
「再就職活動中、子どもはどうすればいいの?」
「仕事復帰後、家庭との両立はうまくいくかしら?」

そこで今回は、再就職を果たしたママの仕事探しの実状や、復帰してからの工夫について実例で 紹介します。
ママの再就職体験の中に数々のヒントが垣間見えます。

オファーは来るけれど、面接まではいけなかった日々

今回お話を聞いたのは、4歳と1歳の男児のママ、佐藤菜摘さん(33歳)。
新卒で広告代理店に入社、5年間働いた後に会社を辞め、憧れの仕事に向けて勉強を始めたところで第一子の妊娠発覚。
専業主婦として2年を過ごしたそうです。

「子どもを産んだら、その存在が愛しくて愛しくて、びっくりしました。再就職をした人からはよく『家で1人で子育てしていると、社会から取り残されたようで』という話も聞きますが、私にはそんな感覚はありませんでした。

でも子どもを産んだことで、『たとえ自分1人になっても子どもを育てていかなければならないんだ』という自覚が芽生えたんです」

夫は仕事柄 、毎日帰りが遅く、土日に仕事へ行くことも多かったそう。そのため、家事も育児もほとんど1人でやってきたという佐藤さん。再就職活動を始めたのは、お子さんが月齢6カ月を過ぎたころだそう。

「上の子どもが半年をすぎた秋頃から、『よし、仕事を見つけよう!』と思い立ち、Facebook広告でたまたま見つけた女性のキャリア支援をするサービスと、人材紹介エージェントに登録してみました。この頃はまだ、『どんな求人情報があるのだろう』と受け身で、就活に向けて緩いスタートを切った感じでした」

それでも、毎日1〜2通オファーが来ることに驚いたという佐藤さん。勤務地や条件などを絞って、希望する会社にエントリーをします。

「でも、面接まで辿り着けず、書類選考で落とされるのがほとんどでした。小さな子どもがいること、そして子どもの預け先をまだ確保できていなかったことが大きな要因だと思います。
認可外の施設に預けることも検討しましたが、私が探した範囲では納得できるところがなくて。 4月入園の認可保育園に申請し、入園できる保障がない状態での就職活動でした。

書類選考で落ちた会社数は・・・振り返ってみても、パッと数えられないほど、本当にたくさん落ちましたね。
それでも、4カ月の間に、10社ほどは面接まで進みました。でも、細かな条件が折り合わなくて、なかなか採用にはいたりませんでした。たとえば、時短勤務を希望していたのですが、入社後しばらくはフルタイム勤務をしないと時短勤務にできないとか。こういう会社って結構ありますよね。時短勤務をするためには、入社後しばらくフルタイムで働かないといけない。でも、フルタイムで働く選択肢は物理的に無理で…。小さな子どもがいる中での再就職って難しいなと実感しました」

思うように仕事先が見つからなかった佐藤さんに、いい縁が訪れるのは2月のこと。

「現在、働いているWovn Technologies株式会社というベンチャー企業から内定をもらえたのです」

当時、申し込みをしていた認可保育園から不承諾通知を受け取っていた佐藤さん。ちょうど二次募集に応募するタイミングでの内定でした。企業の内定を得たことで加点となったこともあり、保育園が決まったのだそうです。

「すごくラッキーな方向にピースがハマったと思いました。
まだ社員も10人ほどしかいない会社で、そのほとんどがエンジニア。子どもがいるどころか、初の女性スタッフの採用だったのです。でも、『新しい会社なので、働き方などのルールはこれから作っていきたいと思っている』という言葉に押されて、入社を決めました」

応募書類作成のためにしたことは、自分の中の武器の発掘

ラッキーと語る佐藤さんですが、話を聞いていると佐藤さんの行ったひとつひとつの行動がラッキーを引き寄せているように感じます。

「書類選考で落ちるばかりだったので、まず履歴書や職務経歴書を見直しました。小さい子どもがいることや、その時まだ預け先が確保できていなかったことは変えられないので、ほかの部分でプラス評価をしてもらわないと、と。あらためて、仕事をしていた5年間を振り返ってみました。

私は、特に資格を持っていたわけではないし、人に自信を持って言える特技があるわけでもない。でも、広告代理店で働いていた頃、大手コンビニエンスストアのブランディングプロジェクトで、著名なクリエイティブディレクターの方と一緒に仕事をする機会に恵まれました。一流の人と仕事をした事実を活かし、一流の人から何を学んだのか。そのプロジェクトに関わったことで、自分が得たものは何なのか。そういったことを考え直したんです。
たとえば当時の私は、大きなプロジェクトにおける『仕事の進め方』を学びました。これもひとつの武器になる。そうした、自分の武器になりそうなことを自分の中から発掘して、それを今後の仕事にどう生かせるか、具体的に考え、経歴書などにおとしこんでいったのです。

また、ある時期から応募先の領域 も広げました。就活当初は、やはり安心感があるので名前を聞いたことがあるような企業に応募していたのですが、落とされていくうちに考え方が少しずつ変わっていきました。
すると、世の中には名前もその仕事内容も知らなかったけれど、こんなにおもしろい会社がたくさんあるんだ、ということに気づき始めました。それもあって、ITに強いわけでも、ベンチャー企業を志望していたわけでもない自分が、Wovn TechnologiesというITベンチャー企業に出会えたのだと思います」

自分のできることを探し出し、さらに働き先に関しては志望を広く持つことで、成果となったのですね。
では、就活中の面接時など、お子さんはどうされたのでしょうか。

「母に頼みました。でも、この母の同意を得るまでが大変で…。
保育園入園は仕事復帰に不可欠。仕事をするためには、就活と保活を一緒にやらなければならない中、誰かの手を借りることは必須でした。うちの場合は 母を頼ったのですが、母の世代は専業主婦が当たり前だったようなので『こんなに子どもが小さいうちから働きに出なくても』と何度も言われ…。子どもを保育園に入れることを、かわいそうとも言われました。

母にとっては私は子どもであり、子どもの挑戦を後押ししてくれない訳ない、といろんな角度から説得しました。当初は反対されながらの入園でしたが、母の協力が得られるようになった理由のひとつが、保育園の送迎などに一緒に行ってもらったこと。母にも園児の生活を見てもらいました。何度か行くうちに、『保育園は楽しそうだ』『ちゃんと責任を持って預かってくれるんだ』『今はめずらしいことではないんだ』というようなことをわかってくれて。そしてその後、母も働くことへの意欲が出たのか、なんと母自身まで再就職をしました」

宅配サービスも家電も使い倒し、わからないことは勉強するしかない

ご自身の前向きさもあって、両立生活をスタートした佐藤さん。現在の生活について聞いてみましょう。

「IT企業で、ベンチャーで、社内は英語やフランス語が飛び交う環境。どれも初めてのことばかりで、これは自分を成長させなくちゃいけないと痛感しました。そして内定が決まった時点から、社内のミーティングで使われそうなIT用語を勉強し始めました。

決まった仕事は広報でしたが、広報の仕事も初めてだったので、社外の広報のコミュニティに参加して、仕事の進め方ややり方、体験談を多くの人から聞くようにしました。現場の生の声を聞けたことは、その後の仕事に役立ちましたね。もちろん最初からスムーズに行くわけではなかったですが、少しずつ、会社ともに成長してこられたと思います。

子どもに関しては、みなさんが言うことですが、保育園入園してからの3カ月はとにかく、子どもが病気になって驚きました。それもあって、試用期間を長めにしてもらったほどです。
また、私はならし保育というものを知らなくて、保育園に入園したら、その日から夕方まで働けると思っていたのですが、最初は1〜2時間保育と聞いて、それも驚きましたね。とにかく仕事も保育園生活も両立生活も初めてづくしでした」

そんな佐藤さんの再就職は、夫婦の関係にも影響を与えたそう。

「専業主婦時代はほぼワンオペ育児&家事で、ケンカをすることも多かったのですが、私が働き始めてからずいぶん変わりました。夫も私が働くことを応援してくれて、長時間労働だった自身の働き方も見直し、一緒に協力できるように行動してくれました。ずっとワンオペだったこともあり、素直に嬉しかったです」

「平日の食事は、パルシステムで頼んだミールセットにずいぶん助けられました。また、今の職場に入社して2年半たった頃に第2子の産休に入ったのですが、その時に職場から出産祝いで食洗機をいただきました。食洗器ってすごいですね。おかげで劇的に夕方の家事の時間が減りました。毎日の生活をスムーズにするためには、便利な家電は使い倒すべきなんだと思い知りました。

2児の母になり、1人の時とは違う子育ての難しさを痛感しています。そして今は3人目の子もお腹にいるので、これからもっと大変なことがたくさんあるんだろうなと思います。でも、仕事も子育てもワクワクする瞬間がたくさんあって、大変なことに振り回されるよりも、その楽しい瞬間を大事にしたいと思っています」

最後に、再就職を目指すママたちへのメッセージをもらいました。

「子育ての経験は、マルチタスク能力を高めたり、周囲への気づきを敏感にしたりすると思います。それらは能力として仕事に生かせると思いますし、そうした力を発揮できるところは必ずあるはずです。
世の中には、おもしろい仕事ができる企業がたくさんあります。自分にできる・できないを考えすぎずに、ぜひ間口を広げてチャレンジして、自分の成長と企業の要望がマッチするところを見つけてほしいと思います」

4カ月間、就職活動で書類や面接で落ちまくっても、前向きに自分の働く場所を探し続けた佐藤さんの言葉には、力をもらえました。どんなところに自分を成長させるチャンスが転がっているかはわからないので、まず一歩、踏み出してみませんか。

※年齢その他、個人の情報は取材時(2020年2月末)のものです。
(文・橋本真理子/bizmom編集部)

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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