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同性カップルの母ふたり「もっといろんな家族があっていい!」

異性パートナーとの結婚、2人の子の出産を経て、同性パートナーである西川麻実さんとその娘さんと暮らすようになった小野春さん。著書『母ふたりで“かぞく”はじめました。』には、同性カップルでありステップファミリーでもある5人家族の暮らしが描かれています。前回のインタビューでは「LGBTを取り巻くさまざまな状況」についてを小野さんと西川さんに聞きました。後編は、「家族」運営にまつわるリアルなお話について。

同性パートナーと子育てしてわかった!男性が家事育児をできないのは社会のせいかも?

――小野さん・西川さんには、それぞれ家庭の中での「役割」のようなものはありますか?
西川さん(以下敬称略)  私は春さんとの家族だとだいたいパパ的なポジションなんですけど「パパってラクだな」と思います(笑)。

小野さん(以下敬称略) えー⁉ そうなの⁉

――そこはお互いに話し合って決まったものなんですか? それとも自然にそうなった?

小野 私がパパ的な役割を全く果たせなかったのでそうなったのかも。そもそもパパ的ポジションってどんな感じなの?

西川 ママは家庭の中心で、家庭を車に例えるならママは運転席に乗って、進む道を決めてハンドルを握ってる感じ。パパは助手席に座って「みかん食べる?」ってやってる。後ろに座ってる子どもたちが騒いだら「どうしたの? みかんいる?」って。

小野 そうなの⁉ それってジェンダーバイアス(=男女の役割に関する固定的な観念)かかってない?(笑)

西川 家庭の全体的なことを決めるのがママの役割なんだと思う。そしてパパはそれを手伝ってる。

小野 パパが「手伝う」感覚なのはダメなんじゃないの⁉(笑)

西川 それはそうなんだけど、役に立つパパは助手席に座っててもガソリンの残量とか走行距離もチェックしてるし、今どこに向かってるかもわかってる。役に立たないパパは助手席で寝てるから、ママが「はいはい、もうすぐ着くからね!」って後ろにいる子どもたちをなだめてる。

小野 それはあるのかなー。私は最初に男性と結婚してて、その後、麻ちゃんと家族になって違うと思ったのは、主体的にやってくれること。元夫も家事育児をやるタイプではあったけど、圧倒的に違うのは「手伝う」じゃなくて「自分がやらなきゃ」と思ってるところ。主体的でいてくれるかどうかでこんなに違うものなんだなと。

――今の日本の社会では、男性が主体的に家事育児に参加するのが難しいと感じている人も多くいます。

小野 そうなんですよ。男性がサボってるわけではなくて、“お父さん”ってやりにくい立場に追いやられてるからできなくなっちゃうんだなと。対して女性は家事育児をやりやすい立場にあるっていうのは、麻ちゃんと生活してみてわかりました。個人の問題だと思ってたら、もっと大きな社会構造の問題だった! 

西川 春さんと一緒になった頃に、雑誌か何かで見た『イクメン度チェック』をやってみたら100点だったんですよ。チェック項目が「子どものおむつを替えるのに抵抗はない」とか「子どもの友達の名前を10人以上知ってる」とか親として当たり前すぎることばかりで…。パパに対する期待値が低いんだなと実感しました。

小野 うちの子どもたちが小学生の頃なので、今はもうちょっと変わってるんでしょうね。

西川 逆に、女性には経済的な責任感を求める風潮があまりないからか、「稼がなきゃ!」というプレッシャーを感じていません。春さんと暮らすようになって、ある程度稼げるようにと転職したんですけど、自分がもし男性だったら収入だけでなく「もっと大きい会社に入らなきゃ!」とか「正社員にならなきゃ!」と思ってたんじゃないかと。女性だからこそそこは柔軟に「まあ稼げればいいでしょ」と。

小野 そういうのも男女で暮らしてるときはわからなかった。働き方に関しても個人間の問題だと思ってもめてたけど、もっと大きな問題だったんだなって。

パートナーと相性がバッチリ合うことなんてない。心地よく過ごせる「技術」を獲得していけばいい

――まわりの同性カップルに関してはどうでしょう。役割分担に違いはありますか?

小野 家庭によって全く違いますね。役割分担せず完全に平等みたいなカップルもいますし。でもうちも私がママ的ポジションだからといって、一方的に家事をやってるわけでもないです。特に本を書いてる時期は時間がなくて…。普段フルタイムで仕事もしているので、家事は全部麻ちゃんにやってもらってました。自分のお弁当箱も洗ってなかった!

西川 朝、服をタンスから取り出すのに、タンスの扉が開きっぱなしだったからね(笑)。

小野 本当に⁉ 全然記憶にないや(笑)。

西川 引き出し3つくらい出しっぱなしの日もあったよ。

小野 ごめんごめん! 本当に申し訳ない(笑)。

西川 そんなことがあっても、やっぱりパパ的ポジションのほうがラクだと思います。私は男性と結婚してて奥さんやってた頃に一番面倒だったのは、家族が進む方向性を決めなきゃいけないことだったので。今は春さんが全部方向性を決めてくれるから、私は手下としてそこに乗っかってるだけです!(笑)

小野 知らなかった。私決めてたんだ。

西川 春さん決めるのは得意だし、人にハンドル渡したくない性格なんですよ。

小野 えー、そんなことないよ!

西川 いやいや。私も昔は自分が提案したほうがいいかなと思って意見言ってたけど、春さんが「何で私の意見否定するの?」ってなるから。だったらそこは任せて私は作業を担当しようってなったんだよ。

小野 そうだったんだー。

――本に小野さんのパートナーシップの師匠である方の「お互いが心地良いと思えるような関係づくりの技術を獲得することが、パートナーシップの極意」という言葉が出てきますが、まさにそれですね。

小野 あれは名言ですよね。うまくいくかどうかは単純に相性みたいな気がしてたんですけど、人と人だからバッチリ相性が合うことなんてないのが当たり前。何かあるごとに「この人とは合わないのかも?」って思わなきゃいけないのもしんどい。それが「技術を獲得」していけばいいと思うと、ずいぶん楽になりますよね。

――「技術を獲得」していったことで、ケンカは少なくなっていくものですか?

小野 それはあんまり減らないですね……(笑)。

西川 最近は春さんが本を書くので忙しかったからあんまりなかったね。春さんの場合、ヒマになるといろいろ起きる(笑)。

小野 これだけ家事やってもらってたら文句ないよ!(笑)

西川 でも私が家事やってる分量や時間はいつもと変わらないんだよ。春さんが稼働してるときは家事の時間に別の事をやってるだけ。今は最低限しかやってないから、家はそれなりにきれいに見えるけどそうでもないみたいな(笑)。春さんに余裕があると、私がもうひと段階先のことをできるから、家がさらにきれいになるし、子どもに対しても細やかになる。

小野 そうなんだ! 知らなかったよ。

西川 だから「私ばっかりに家事やらせやがって!」とは思ってない。家事育児は1日2時間までって決めて増えてないから。

――理想的な形ですね!「ここまではきれいにしたい、子どもの世話もしたい」というラインに達せなくてイライラする人多いと思いますが。

西川 私も昔はホテル並みにきれいな家を理想としてたんですけど、それができなくてイライラすると余計に家族が混乱するので。あきらめることはあきらめたほうが家族も平和に過ごせると思うようになりました。

「結婚」して「家族」を持つことだけが正しい道じゃない。誰もが自分にとって一番心地いい選択をできたら

小野さん、西川さんたちは現在同性婚の法制化を求めて、国を相手に「結婚の自由をすべての人に」訴訟を起こしています。訴訟の名称からもわかるように、同性婚を求める人たちだけのものではありません。手術をせず肉体上の性別移行をしていないトランスジェンダーの人は、例え戸籍上は同性どうしの結婚になるとしても「同性婚」という表現に抵抗があるかもしれません。求めているのは「独立した2人の大人が、結婚する、あるいは結婚しないという選択ができる自由を」ということなのです。

――今、結婚している人でも「自分は本当に結婚したかったのかな? 子どもを生んで好きな人と一緒に暮らすなら別の選択もあったのかな?」と自分の選択について見つめなおすきっかけになるかもしれません。

小野 そうですね。女性だと、結婚したかしないかで友達と対岸に分かれてしまうような感覚もありません?「あなたは結婚してるでしょ。子どもがいるでしょ。私は何もない」と言われることも。でも結婚することも、子どもを持つことも個人の選択に過ぎない。それが今の世の中では「こっちが正しい」とか「こっちがいい道」とされているような気がして。そういう状態も考え直せるといいですよね。みんながそれぞれの立場で選べるのが一番いい社会だと思うので。

――「結婚」を考えていると「家族」ってなんだろうと思い至ります。

小野 「家族」って定義が何もないんですよ。民法でも「親族」の定義はあるけど「家族」についてはなくて。でも世の中では「ここまでが家族」って認識がありますよね。それが不思議だなあって。

――小野さんの長男が西川さんの娘さんに「俺たちはきょうだいじゃない」「でも家族ではある」と話していたと聞きました。

小野 あれはおもしろかったですね。そんなふうに考えてるんだなって。男性と結婚していたときは「これが家族でしょ。家族について何を問う必要があるの?」と思ってましたが、麻ちゃんと一緒になってから「何が家族なんだろう?」と私も考えています。

――今はいろいろな形の家族が増えていますよね。恋愛感情があることも家族になる絶対条件ではないような気もします。

小野 そうそう。中年になってもパートナーと恋愛してるって人は少ないのでは? よく「家族になっちゃった」なんて言いますけど、そういうものですよね。そう考えると結婚と恋愛が必ずしも結びついていなくてもいいのではと。レズビアンとゲイの方で結婚するとか、シェアハウスで一緒に住むとか、いろんな形の家族がありますよね。飼い猫が家族ということもあるだろうし、ひとりでいることが一番安心できる人もいるだろうし。「家族」の形もそれぞれが自由に選択していいのかなと思います。

あなたが思う「家族」はどんなものですか?

小野さんの中でも「これが家族である」という答えはまだ見つかっていないそうです。子どもたちの成長にともない「子どもが小さいときと、巣立ってパートナーと2人だけになったときとでは、また変わりそう」とも感じていると言います。
あなたにとっては「家族」ってどんなものでしょう? 小野さんの著書『母ふたりで“かぞく”はじめました。』を読むと、今まで「これが家族」と常識のように感じていた考えが揺らぐかもしれません。みんながそれぞれの「家族像」を持ち、さまざまな形の「家族」が増えてきたら、世の中はどんなふうに変わるだろうかとワクワクします。

●Profile
小野春
LGBT同性パートナーである西川麻実さんとステップファミリーとして暮らし、3人の子どもを育てる。子育てするLGBT とその周辺をゆるやかにつなぐ『にじいろかぞく』の代表。2019 年4 月には「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告のひとりとして、東京地方裁判所で意見陳述も。乳がんサバイバー。

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