【医師監修】小児科医が警鐘 子どもの室内事故が起こりやすい今。「やけど」「おぼれ」のこわさを親は知るべき
感染症対策のため、おうちで過ごす時間が増えています。それに伴い、赤ちゃんや子どもの室内事故急増が心配されています。そこで、「たまひよONLINE」では赤ちゃん・子どもの事故予防の専門家であり、NPO法人Safe Kids Japan理事長である小児科医の山中龍宏先生に、「やけど」と「おぼれ」事故の予防や注意点を聞きました。
入院治療や命にかかわることもある「やけど」と「おぼれ」
消費者庁では「子どもを事故から守る!プロジェクト」として、新型コロナウイルス感染防止による、子どもの室内事故増加への注意喚起を始めました。
それによれば、室内事故の中でも「やけど」と「おぼれ」は入院治療が必要なことも多い2大事故であり、とくに注意が必要といいます。
やけどの場合、とくに体が小さい2才以下の子どもは入院を要するやけどや命にかかわる重いやけどになるといいます。
一方おぼれは、東京消防庁の緊急搬送のデータでは、乳幼児がおぼれた事故の約9割は浴槽で起こっており、そのうち入院するような事故が6割を超えているといいます。さらに、家庭内での1~4才の死亡事故の約3割はおふろで起こっているということです。
「これから暑くなり、外のプールに気軽に行けないとなると、庭やベランダ、浴室でビニールプールなどを使った水遊びする機会も増えるでしょう。赤ちゃんは数㎝の水深でもおぼれることがあります。鼻と口を覆う水があればおぼれてしまいます。水遊びをするときは絶対に目を離さないようにしてください。
やけどは冬に起こると思いがちですが、炊飯器や電気ケトルなど家電製品によるやけどは通年起きています。とくに、最近人気がある電気ケトルは注意が必要です。子どもが床に置いた電気ケトルにつかまり立ちをして倒してしまい、沸かしたての熱湯が右足にかかってやけどをした、といったケースもあります」(山中先生)
やけど事故:キッチンとリビングの環境を見直そう
実際に起きたやけどの体験談を紹介します。
●キッチン台(高さ85cm)の上にできたてのみそ汁を置いていた。これまで子ども(1才)の手が届かなかった場所だが、今日は届いてみそ汁をこぼしてしまい、頰、耳、胸、背中にやけどを負った。
●保護者がカップめんにお湯を入れていたところ、子ども(1才)がテーブルクロスを引っ張り、ラーメンがこぼれ、顔面にやけどを負った。
●母親が台所で調理中、子ども(1才)が、炊飯器の蒸気に過って触ったところ、右手が赤くなり水疱(すいほう)になった。
【キッチン】赤ちゃんが入れないように対策するのが基本。家電は置き場所に注意
■電気ケトル・ポット
電気ケトルやポットのコードは引っ張れないようにし、手の届かない場所で使います。お湯が出ないようにロックもしておきましょう。湯もれ防止機能つき電気ケトルを使うと安心です。
■炊飯器
コードは引っ張れないようにし、手の届かない場所で使います。蒸気レスの炊飯器を使うと安全です。
■コンロ
赤ちゃんはボタンが大好き。コンロのボタンで押す危険があるので、できれば使用後はガスの元栓を閉めましょう。
■グリル
つかまり立ちで魚焼きグリルに手が届くことも。調理後もしばらくは熱いので近づけないように注意。台所には入れないようにしておくと安心です。
【リビング】赤ちゃんの目線で危険な所はないかもう一度チェック
■熱いお茶・カップめん・みそ汁
熱い食べ物や飲み物をテーブルの端やカウンターキッチンなど手が届く場所に置くのは危険なのでやめましょう。
■テーブルクロス
テーブルクロスを引っ張り、熱いものが落下してやけどすることが。テーブルクロスは使わないようにします。
■ウオーターサーバー
チャイルドロック機能がついていても、解除されることも。4才ごろまではお湯機能はオフにしたほうが安心。
溺水事故:おふろでの事故が9割!首輪型浮輪は正しく使って
溺水事故にも多くの体験談があります。
●保護者と兄弟が一緒に入浴しようとしていた。下の子(1才)が先に浴槽に入ってしまい数秒おぼれた。おそらく浴槽内のおもちゃを取ろうとしていたと思われる。体を逆さにして吐かせようとしたところ4回嘔吐した。夕食は普通にとれたが、体温が39.8℃あり、救急受診。
●7カ月の男児が父親とビニールプールで遊んでいた際、父親が部屋に戻ってテレビを見ながらガラス越しに様子を見ていたら、男児の顔が水没し意識、呼吸がなかった。
【おふろ・洗面所】赤ちゃんを1人で入らせないようにして!
■ビニールプール
数㎝の水深でもおぼれることがあります。遊ぶときは1人にせず、必ず大人が見守ります。
■首輪型浮輪
水遊びやスイミングの練習用として大人が見守りながら使いましょう。入浴中は使いません。
■残し湯でのおぼれ
10㎝の水深でもおぼれるので残し湯はNG。洗濯機をのぞき込んで転落し、おぼれることもあります。浴槽や洗濯機のまわりに踏み台になるものを置かないようにしましょう
お話・監修/山中龍宏先生 取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部
「やけど」と「おぼれ」は、赤ちゃん・子どもにとって病院にかかる必要が多い大変な事故だということがわかりました。子どもから目を離さないのは大前提ですが、室内の環境や製品を安全に整えられるようにしましょう。
初回公開日 2020/06/04
育児中におススメのアプリ
アプリ「まいにちのたまひよ」
妊娠日数・生後日数に合わせて専門家のアドバイスを毎日お届け。同じ出産月のママ同士で情報交換したり、励ましあったりできる「ルーム」や、写真だけでは伝わらない”できごと”を簡単に記録できる「成長きろく」も大人気!
ダウンロード(無料)育児中におススメの本
最新! 初めての育児新百科 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)
大人気「新百科シリーズ」の「育児新百科」がリニューアル!
新生児から3歳まで、月齢別に毎日の赤ちゃんの成長の様子とママ&パパができることを徹底紹介。
毎日のお世話を基本からていねいに解説。
新生児期からのお世話も写真でよくわかる! 月齢別に、体・心の成長とかかわりかたを掲載。
ワンオペおふろの手順など、ママ・パパの「困った!」を具体的なテクで解決。
予防接種や乳幼児健診、事故・けがの予防と対策、病気の受診の目安などもわかりやすく紹介しています。
切り取って使える、「赤ちゃんの月齢別 発育・発達見通し表」つき。