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【医師監修】新型コロナ 川崎病との関係、冬は再び流行る?などを小児科医に聞く

※写真はイメージです。
paulaphoto/gettyimages

緊急事態宣言が解除されましたが、アフタ―コロナという状況になるのはまだまだ先の見込みのようです。見えない敵コロナと一緒に生活していかなくてはならない中、乳幼児ファミリーが「怖がり過ぎず、正しく怖がる」ためにはどうしたらいいのでしょうか。「ひよこクラブ」では帝京大学医学部附属溝口病院の小児科医・黒澤照喜先生に、2020年5月29日時点でわかっていること、注意したほうがいいことを聞きました。

【記事監修】

帝京大学医学部附属溝口病院・小児科

黒澤照喜 先生

Profile

東京大学医学部卒業。都立小児総合医療センターなどを経て、現在は帝京大学医学附属溝口病院小児科に勤務。3人のお子さんのパパです。

新型コロナウイルス感染症と川崎病の関係とは?

――アメリカで、新型コロナウイルス感染症にかかった子どもの「川崎病」のような症状ということが報道されています。これは、子どもの感染は呼吸器症状ではなく循環器症状に出るということなのでしょうか。

黒澤先生(以下敬称略) 欧米で新型コロナウイルス感染と川崎病様症状の関連が指摘され、衝撃が走りました。しかしながら、米国の新型コロナウイルス感染で重症化して集中治療室に入ったお子さんは、成人同様に人工呼吸器を装着した例があるとの報告があり、川崎病などの血管障害よりも肺炎などの呼吸器症状が起こりやすいと考えられます。
米国よりもはるかに川崎病の数が多い日本で緊急聞き取り調査が行われましたが、川崎病の増加は必ずしも認められていないとの見解が現時点では優勢です。今後、米国でも検証が始まると思います。
私見になりますが、多彩な新型コロナウイルス感染の症状の一つとして川崎病はありえるとしても、日本の小児科医は川崎病の診断・治療に慣れており、新型コロナウイルスそのものの治療に加えて川崎病の治療を粛々と行っていくことになると思われます。
参考/日本川崎病学会「川崎病とCOVID-19に関する報道について」

――また、近年川崎病が増えているとのことですが、川崎病にかかったことがある子どもと
新型コロナウイルス感染症の関連はありますか。注意をしたほうがいいことはありますか。

黒澤 前述のとおり、日本で川崎病の明らかな増加は認めていないようです。また、新型コロナウイルスにかかったお子さんも限られています。したがって、これらの関連を日本で議論するのは現時点では難しいと考えられます。今後も慎重な経過観察は(医療者側で)必要と考えますが、川崎病にかかったことがあるお子さんを含めて一般の方々が今の時点でこの件で気をつけることはありません。

夏にはコロナはいったん落ち着いて、第2波は秋?

――暑くなってきて、湿度も上がりウイルスの活動が抑えられるのでしょうか。第2波の危険は秋ですか?

黒澤 一般的なコロナウイルスは冬から春に流行するとされていますが、これが新型コロナウイルスに当てはまるかは不明です。また、今回の問題は、だれも免疫を持っていないウイルスが広がったことにあります。免疫を持っている人がどれくらいいるのかは大規模かつ正確な抗体検査を行うことでわかります。新型コロナウイルスの性質を考えると、全人口の6割以上が免疫を持っていれば大流行は起こらないとされていますが、現在はおそらくそれよりも極めて低い抗体保有率になるのではと考えられます。したがって、第2波の流行がいつ起きてもおかしくない状況は残念ながら続いていると思われ、備えが必要です。

――インフルエンザとコロナが一緒に流行する、というような状況になるのでしょうか?
ワクチンがすでにある「インフルエンザ」だけでも予防接種をしたほうがいいのでしょうか?

黒澤 コロナの第2波はいつ来てもおかしくないためインフルエンザの流行期とかぶる可能性はあります。また、インフルエンザと新型コロナウイルスが同時に検出されたという報告も海外では認めています。
インフルエンザワクチンの効果は(たとえばMRワクチンと比べて)限定的であるものの、リスクを下げることはできます。VPD(ワクチンで予防可能な病気)のインフルエンザについては、ワクチンを積極的に受けることをおすすめします。1歳未満の赤ちゃんについては効果がいまひとつとの報告がありますが、ワクチンの効果と新型コロナなどの感染への不安をてんびんにかけると、接種することも検討していいと思います。
おそらくインフルエンザワクチンのシーズン前に、学会などから提言が出るものと思われます。これを踏まえて、予防接種をしてもらっているかかりつけの先生に事前に意見を聞いておきましょう。

新型コロナの薬やワクチンの開発はどうなっているの?

――赤ちゃん・子どもにも使える薬と大人向けの薬の開発は同時進行されているのでしょうか?

黒澤 小児用の薬の開発・研究がされているという報告はありません。現時点で治験が行われている薬は、安全性の問題などから、重症患者や重症化が予測される人への投与が検討されています。成人領域で治療が確立した薬を重症のお子さんに使用するという可能性はありえますが、軽症が多い一般のお子さん向けの薬の開発は行われないのではないかと個人的には考えます。

――コロナウイルス感染症の一種であるSARSもMARSもワクチンの開発はされていないと聞きました。コロナウイルスはワクチン開発が難しいのでしょうか?

黒澤 SARSおよびMARSは全世界に広がらずに一応制圧されたという形になっています。
これに対して今回の新型コロナウイルスは全世界に広がってしまい、大きな被害を出したためワクチン開発が各国で行われています。
ただし、ワクチンも薬であるため、有効性・安全性が十分に担保され、また費用対効果的なもの(どのような人たちに接種するのがいちばんいいのか)などを検討する必要があります。
私たちが日ごろ使っているワクチンも数年の年月をかけて、以上のようなさまざまな問題をクリアして市場に出てきたものになります。
新型コロナワクチンは緊急事態に対抗できるほぼ唯一の手段ではありますが、接種による問題を引き起こさないためにも、迅速さだけでなくていねいさが求められています。

検査がいろいろあって、何が違うの?

――PCR、抗原検査、抗体検査というものは今後受けられるようになるのでしょうか。

黒澤 PCR、抗原検査、抗体検査と種類がいくつもあり、紛らわしいですね。まず、それぞれの検査の特徴をまとめます。

●PCR/初期から使用されていた検査。ウイルスの遺伝子を検出するため、病気に今かかっているかどうかを判定できる。ただし、操作が難しいこともあり、実際にかかっていても間違って陰性と出てしまうことがある。また、費用・時間もかかる。

●抗原検査/最近使用され始めた検査。インフルエンザの検査などと同じ原理で、ウイルスに反応して、病気に今かかっているかどうかを判定できる。ただし、PCRよりも間違って陰性と出てしまう可能性が高いため、仮に陰性と出ても新型コロナとは判断できない(陽性ならばほぼ確実に感染している)。時間はそれほどかからない。

●抗体検査/最近使用され始めた検査。ウイルスに対する免疫を検出する。感染前には免疫はなく、感染に伴って免疫ができるため、抗体検査陽性ならば病気にかかったと考えられる。ただし、免疫ができるには時間がかかったり、新型ではないコロナウイルスの免疫を検出してしまうなどの可能性があり、精度はまだ十分ではない模様。

今後、シチュエーションに合わせてそれぞれの検査を組み合わせて、病気にかかっているか・かかったかを判断することになります。
ただし、すべての検査が絶対的な精度でないため、結果の解釈は慎重に行う必要があります。
新型コロナウイルスは無症状の人も一定数いるといわれているため、そのような人たちはいつの間にか抗体ができることになりますが、一方で検査のエラーの可能性もあり判断が難しいところです。
また、残念ながら、抗体ができたからと言って二度と新型コロナウイルスにかからないかは現時点では不明です。

病院にいかなくていいオンライン診療のほうがいいの?

――小児科でのオンライン診療は、増えていくのでしょうか? 

黒澤 オンライン診療は病院の受診による感染を防ぐのに大きな効果があります。待合室に多くの患者さんや家族がいれば「3密」になってしまうためです。また、オンライン診療は自宅での患者さんのありのままの状況を確認できる効果もあります。
一方で、実診療では医師は聴診・触診をはじめとして、五感をフルに活用しています。また、検査を行うのも比較的容易です。さらに、オンライン診療を導入している医療機関は必ずしも多くなく、現時点では通常の保険診療とは別に通信費などがかかることもあるようです。
コロナの流行期にはさまざまな状態のオンライン診療が許容されていましたが、今後、安全かつ効果を最も発揮するタイプのものは、病状が落ち着いている定期診察などになると考えられます。

――オンライン診療で受診する場合、注意をしたほうがいいことはありますか。

黒澤 オンライン診療では実診療と比べると、やり取りできる情報量が少なくなりがちであることに気をつけたほうがいいでしょう。
医師側としては、上記のように聴診・触診ができるわけではありません。また、皮膚の色合いなどは実際に見るのとカメラ越しで見るのでは異なってしまうかもしれません。
逆に、ママやパパが診察室を出る間際、あるいは出たあとに伝えたかったこと、聞きたかったことを思い出して戻ってくるのをよく目にしますが、オンライン診療では難しいでしょう。
まず、もともと通いなれている医療機関・先生がオンライン診療をしている場合はその先生のオンライン診療を受けるようにしましょう。また、伝え忘れ・聞き忘れがないように事前にメモを準備しておくなどの工夫をして、情報のやり取りをできるかぎり実診療と同じレベルに近づけるようにしていただければと思います。

――緊急事態宣言の解除によって、生活をどのように戻していこうか考えている乳幼児ファミリーにアドバイスはありますか。

黒澤 幸いながら、お子さんにとってこのウイルスは予想された程の猛威を振るうことはなく、またウイルスの性質も徐々にわかってきています。そして検査・治療薬・ワクチンの開発も着実に進んでいます。
一人一人の努力と協力により、まずは第1波を乗り越えられたことは大きな経験になったと思います。お子さんの心と体に少なからず影響の残っている現在、第2波を警戒しながらも、日々、今できること、新たな楽しみを見つけていくことが大切なように思います。

今回の新型コロナでは日常生活だけでなく人々の絆(きずな)も壊されてしまった印象を受けます。それでも、第1波を乗りきれたことは新たな形の絆によるものなのだと考えています。
正しく恐れながらも、時には気持ちを緩める。緩急をつけながら、日々過ごしていきたいものです。
個人的には、移動が完全に解除された時点でどこかに旅行に行きたいな、と考えながら家族でガイドブックを眺めています。

聞き手/ひよこクラブ編集部

初回公開日 2020/06/02

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