任意の予防接種も受けるべき? 1才児健診って必要? 小児科医に聞きました
新型コロナウイルスの影響により、予防接種や乳幼児健診の延期・キャンセルを考える人も多いよう。けれど、どちらも赤ちゃんのすこやかな成長を守るためには不可欠で、日本小児科学会では「予防接種や乳幼児健診を回避するデメリットは大きい」(日本小児科学会HP「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」2020年5月13日更新より)としています。それぞれについて、月齢別に気になることを小児科医の若江恵利子先生に聞きました。
【予防接種の気がかり】同時接種はしていいの?副作用がこわいけれど?
赤ちゃんの予防接種は、基本的には2カ月からスタートします。赤ちゃんが接種できるワクチンの種類は、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチンなど、全部で11種類。ウイルス・細菌は目に見えないので、いつ、どこで感染するかわかりません。また、赤ちゃんは病気への抵抗力が弱いため、早く抗体をつけておきたいところ。初めての接種の際に、かかりつけ医にスケジュールを組んでもらうと安心です。
Q.初めての予防接種で同時接種してもOKですか?(1カ月のママ)
A.問題ありません。迷ったら医師に確認して
2カ月でヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスワクチンの4種類同時接種が基本です。いずれも重篤になりやすい病気で、早期に免疫をつけたいためです。日本小児科学会も同時接種をすすめていますが、迷ったら医師に相談を。
Q.予防接種で副反応が出たときの対処法は?(2カ月のママ)
A.発熱はほぼ1日で下がります。いつもと様子が違うときは受診して
予防接種後は、発熱することが多いもの。38~39度の高熱が、接種した夜から翌日までの間に出ることが多く、大抵は数時間から1日で下がるので、様子を見ます。ただ、かなり機嫌が悪い、様子がおかしいなど、心配なときは受診してください。
Q.任意の予防接種は病院によって費用が違うのはなぜですか?(4カ月のママ)
A.病院が独自で価格を決めるしくみ。ただ、選ぶのは医師の信頼度を優先して
任意の予防接種にかかる費用は、それぞれの医院・病院が独自で決めていいことになっています。健診の費用や証明書などの文書料も病院によって違うはずです。ただ、どこで予防接種をするかは、費用の安さより信頼できる医師かどうかで選んでほしいと思います。
Q.少し鼻水やせきがあるとき、予防接種はNGでしょうか?(5カ月のママ)
A.症状が軽く、元気で食欲があれば接種可能。迷ったら医師に相談を
せき、鼻水などの症状が軽く、機嫌、元気、食欲がいつも通りなら、ほとんどの場合は接種可能です。当日の朝からせきと鼻水が出始めて様子がまだわからない、調子が悪そうなら延期を。迷ったら、状態を医師に伝えて判断を仰ぎましょう。
Q.任意の予防接種もすべて受けたほうがいいですか?(8カ月のママ)
A.重症化を避けるため、任意でも必ず受けましょう
任意の予防接種は「受けなくていいもの」ではありません。ロタウイルスワクチン(2020年10月1日から定期接種に)、おたふくかぜワクチン、インフルエンザワクチンがありますが、重症化を避けるため、受けることをおすすめします。
Q.インフルエンザの予防接種はいつから打ってもいい?(9カ月のママ)
A.6カ月以降から接種が可能です。10月に1回目、11月に2回目を接種するのがベスト
インフルエンザワクチンは6カ月から接種が可能です。インフルエンザの流行開始時期は年によって異なり、予測が難しいのですが、できれば10月に1回目、11月に2回目を受けておくといいでしょう。
Q.予防接種のあとは、1日家にいたほうがいいですか?(10カ月のママ)
A.接種後30分は病院で過ごし、できればまっすぐ帰宅して
予防接種後に急激な副反応が起こるのは30分以内とされています。接種後30分は病院内で過ごすように指示されることも。何かあったときのために、できればまっすぐ帰宅を。帰宅したらいつもどおりに過ごして大丈夫です。
Q. 予防接種をしても病気にかかってしまうことはある?(1才2カ月のママ)
A.免疫ができにくい体質の人も。100%防ぐことはできません
予防接種を受けても免疫ができにくい体質の人がいて、100%防ぐのは不可能。ただ、かかったときの軽症化はできます。また、インフルエンザワクチンの場合は、かかることを防ぐというより合併症を防ぐことが大きな目的です。
【乳幼児健診の気がかり】事前に何か 準備が必要? ママも相談してOK?
乳幼児健診には、1カ月健診、3~4カ月健診、6~7カ月健診、9~10カ月健診、1才健診、1才6カ月健診、3才健診と、多くは3才までに7回の健診があります。健診の受け方には、指定された日時に保健センターなどで受ける「集団健診」と、個人でかかりつけ医などで受ける「個別健診」が。どの時期にどちらのスタイルで行うかは、自治体ごとに決まりがあるので、確認して受けましょう。また、乳幼児健診は、その子なりの順調な成長を定期的に確認できる機会。「できる・できない」をテストされるわけではありません。日ごろの気がかりや育児の悩みを小児科医などに気軽に相談できるチャンスだと考え、積極的に受けてください。
Q.健診では、ママのことも相談していいのでしょうか?(3カ月のママ)
A.ママ自身の心配事も相談してOK。大人もサポートしてくれる保健師に聞いてみて
もちろん、ママの心配なことも相談してOKです。相談するなら、赤ちゃんから大人までサポートをしてくれる保健師のほうがいいと思います。ささいなことでも親身に話を聞いてくれると思うので、この機会に相談してみるのもよいでしょう。
Q.健診の内容は、地域によって異なるのでしょうか?(7カ月のママ)
A.どの地域も内容はほとんどおなじですが、システムが異なることはあります
健診時のチェック項目は月齢によっておおよそ決まっているので、地域によって異なることはありません。ただ、小児科医が少ない地域では内科医が診察したり、発達や発育については保健師がチェックしたりする場合もあります。
Q.1才児健診は任意ですが、受けたほうがいいのでしょうか?(11カ月のママ)
A.9~10カ月健診などで順調と判断されていれば必要ありません
1才児健診を実施していない自治体は多いです。基本的に、6~7カ月か9~10カ月の健診で順調と判断されていれば、必要ありません。ただし、心配がある、1才の記念に受けたいなどであれば、かかりつけの小児科で受けてもいいでしょう。
Q.健診に備えて、事前に準備することは?(1才のママ)
A.担当医に相談したいことをメモしておくと安心です
母子健康手帳の該当月齢ページに書いてある質問事項を確認し、気になることや育児をする中で心配なことをメモしておくと、聞き忘れがありません。また、集団検診の場合、マナー上、体調が悪かったら欠席することも検討しましょう。
Q.2才児健診がありませんが、かかりつけ医でお願いするべき?(2才のママ)
A.育児や食事に悩みがあるならかかりつけ医にお願いしてみて
2才児健診で行われるのは、主に歯科健診や保健師による発達のチェックなど。もし、身長や体重の増加具合が心配、育児について悩みがあるのなら、かかりつけの小児科医に健診をお願いしてみてもいいでしょう。
赤ちゃんをワクチンで守れる病気から守るために不可欠な予防接種。発育や発達の成長を確認するうえで大切な乳幼児健診。小さな気がかりを解消し、親子とも体調を万全にして受けられるといいですね。
取材・文/ひよこクラブ編集部

「ひよこクラブ」7・8月特別合併号
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