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赤ちゃんは言葉を自然に覚える? 努力して覚える?

赤ちゃんとご両親
※写真はイメージです
imacoconut/gettyimages

赤ちゃんって、言葉の勉強やトレーニングをしているわけでもないのに、いつの間にかしゃべれるようになっていますよね。そのため、「赤ちゃんは大人みたいに頑張らなくても自然に言葉を覚えているのかな?」「自分も赤ちゃんのときに外国語をマスターしておけば学生時代がラクだったのに!」と思ったこと、ありませんか? でも実は、赤ちゃんも大人が気づかないところで努力を積み重ねているようなのです。子どもの言語獲得を研究する、東京大学大学院教育学研究科教授の針生悦子先生に聞きました。

赤ちゃんは偉大な努力家だった!?

――赤ちゃんはものすごく努力をしているということを、先生はどのようにして発見されたのでしょうか?

針生先生(以下敬称略)“発見した”というよりは、赤ちゃんが話せるようになるまでには、私たち大人の知らないところで思わぬ努力をしているということがわかったということです。私たち大人も、知らない言語を初めて聞いたときに、会話の中でどこからどこまでが1つの単語かということもわかりませんよね。単語がわかっても、今度はその言葉がほかの言葉とどうやってつながっているのかを分析しないといけない。言葉を覚えるプロセスを分解していくと、できないといけないことが次々に浮かび上がってくるのです。

――言葉を教えなくても赤ちゃんが話せるようになるのは、自分なりに言葉を分析しているからなんですね。

針生 赤ちゃんはまわりの音をとてもよく聞いていますが、自分一人で分析しているために言葉を“発明”してしまうこともあります。進化論で知られるダーウィンは、自分の息子が言葉を覚える過程を観察して記録に残していました。それによると、ダーウィンの息子は1歳になったときに、食べ物のことを「マム」と呼ぶようになったのだそうです。1歳ごろに言葉をしゃべれるようになったからといって、いきなり正しい単語を使えているわけではなく、2歳、3歳になってもまわりの人が言葉をどう使っているのかという分析を続けているのです。

――試行錯誤の連続なんですね。幼少期に「あの言葉の意味はなんだろう」と考えていた記憶が残っている人は多いと思いますが、実は赤ちゃんのころから考えているんですね。

針生 みんな、赤ちゃんは“自然に”言葉を習得していると思いがちですが、自分自身が赤ちゃんのときに努力していたことを忘れてしまっているだけです。早いうちに外国語を学ばせれば簡単にネイティブのようにしゃべれるようになると考える人もいますが、赤ちゃんは決してラクをして覚えているわけではありません。大人がほかの言語を学ぶときと同じように、大変な努力をしていると思ったほうがいいでしょうね。

――大人と同じような努力を要するとしても、子どものほうが「外国語の覚えが早い」ということはいえますか?

針生 以前、日本にやってきた中国人夫婦の3歳の男の子がどのように日本語を覚えていくのかを観察するために、保育園に半年間通わせてもらったことがあります。彼は半年ほどで、「コレ ダメナノ」などの意思表示はある程度できるようになったものの、友だちとの会話に入っていくことはできず、言いたいことを正しく伝えるまでにはまだまだ時間がかかりそうでした。小学校期までの子どもがネイティブ並みに話せるようになるには、個人差もありますが3年から7年ほどかかるという研究結果もあります。もし小さいうちに母語以外の言葉を覚えさせるのであれば、母語の習得もまだ終わっていないということに留意して、しっかりと母語もサポートすることが大切です。

――子どもが言葉を覚える努力に対して、親ができることは何だと思いますか?

針生 聞いたことのない言葉は覚えませんので、やはりまずは、お子さんに向き合って話しかけることだと思います。そして、お子さんがお話しできるようになったら、興味をもってその話をときにはしつもんしたりしながら聞いてあげ、話し合うことを楽しむことです。それらにに加えて、お子さんが話したくなるような経験を支援してあげることも大切です。必ずしも親子一緒に何か特別なことをする必要はなく、お子さんが一人で、あるいは子ども同士で親には簡単に入り込めない世界を作っていくことを見守るだけでも十分です。そもそも、言葉のすごいところは、自分が経験したことや考えたことを、同じことを経験していない人や違う考えの人に伝えられるというところなのですから。


お話・監修/針生悦子先生 取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部

英語教育が早期化していることもあり、いつごろから子どもに学ばせようかと考えているママ・パパも多いと思います。しかし子どもは今まさに、日本語を覚えるだけでも日々奮闘している最中。言葉を簡単に習得しているわけではないということは、覚えておいたほうがよさそうです。「これさえやっておけば大丈夫」「あそこに入れておけば自然に英語も話せるようになる」と投げっぱなしにせず、子どもに余計な負担がかかっていないかも観察しておきましょう。


針生悦子先生(はりゅうえつこ)
(東京大学大学院教育学研究科教授)
Profile
専門は発達心理学、認知科学。子どもの言語獲得をテーマとした書籍や論文を執筆している。

参考文献/『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(針生悦子著・中公新書クラレ)

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