おたくマンガ家・なんでも気づく次女の話【御手洗直子のコマダム日記】

今回は声優さんを聞き分ける力がすごーい、次女（2号）ちゃんのお話、の続き。
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコマ＆エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#38

個々による視点の違いがすごい

前回までのあらすじ→２号の声優さんを聞き分ける能力がすごい。２号の声優さんを聞き分ける能力がすごい。

声だけでなく、２号はいろいろ気付くことが多い。お散歩中、遠くの上の方のほぼ隠れた場所に貼られたアンパンマンのポスターに気づき『あっ！アンパンマン！』と言ったり、お迎えに行った私の指を見て『ちがでてる！』と気付いたりする。

そうなのだ…出がけに小松菜だけ切っておこうと急いで切って思いっきり指を切ったのだ…。しかも絆創膏がなかったのだ…。

かろうじて血は止まったが血だまりを剥がすと再び血が出るので指に血だまりを付けたまま保育園へ急ぐことになった。

指に血だまりを付けたまま人に会うのは恥ずかしい。明らかに何かをミスして怪我してる上にそれを取り繕う時間もなく出てきたであろうことがバレバレなのも恥ずかしいしそのとおりなのも恥ずかしい。

しかし私はタカをくくっていた。人はそう他人を見て生きてはいないし、お迎えに来た保護者の指を見る保育士はいない。であろう。事実、今までお迎えに行って保育士さんの指をチェックしたことがあるかというと一度もしたことがない。ゆえにバレないだろうと思っていたのだ。そう、２号に会うまでは。

私は巧妙に指を隠して先生と接していた。

ヘタに何かを触っても血だまりが剥がれ出血するであろうという綱渡りである。そんな状態でお迎えに行くな。マジシャンのようなあやしい動きでリュックを回収し、先生とお話をしている私を見るや『おかあさん、ちがでてる！』の一言である。

旧ドラえもんを見て２秒で『こえちがくない？』と言い出した時と同じ鋭さである。

『えっ？大丈夫ですか？』とのぞき込んでくる先生から『あっ…ハイ大丈夫です！！』と言って指を隠したが完全にあやしい。

『大丈夫です～じゃあ帰ろう２号！』と話をそらそうとするが『おかあさん！ちがでてる！ちが！』『おかあさんちがでてるよ！！』と　もう脳内完全100％おかあさんちがでてるである。『絆創膏出しますね！』と先生が気遣ってくれるところから逃れようとしたがそうは問屋が卸さないのであった。

『わたしがばんそうこうはる！おかあさんちがでてるから！ほら！』と猛攻の手を緩めない。将来は営業になって地域一の成績を収め、前代未聞の功績により社長から５億円の賞与を受け（先週もなんか５億円って言った気がする。５億円ほしい。）『５億円は使い切れないからお母さんに１億円あげるね！』と１億円くれるくらいの押しの強さである。１億円あったらタオル全部買い換えたい～～～～～（コラム2話目参照）

そんなわけで先生が用意して２号が絆創膏を貼ってくれたのであった。大人はお知らせ掲示板とか時計とか必要であると判断したものしか見てないけど、幼児はやはり大人と違ってふるいにかけられたもの以外にもいろいろ見ているんだなあ～と思ったのであった。

グロいオチをつけるなら『御手洗さん、結婚指輪着けないんですか～？』と唐突に聞いてきて『あるんですけど、あまりつけないので家にあります。』と答えたら『私も〇〇〇（ブランド名）なんで、ほんとは家に置いといたほうが良いのかもしれないんですけど…無くさないかドキドキしますよね～！でも独身だと思われたら嫌じゃないですか？』と全方向に大丈夫なのかおまえという発言をしていた人を思い出す。

人によっては思いもよらないところを見ているのだ。（グロい）（おわり）

御手洗直子
Profile　pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
　御手洗直子twitter：＠mitarainaoko