赤ちゃんの不思議な行動にはすべて意味がある 専門家が教える、あのしぐさのワケ
突然ほほ笑んだり、狭いところに入りたがったり…赤ちゃんは時々、大人から見ると不思議な行動をしませんか? 発達心理を専門とする東京大学の教授・遠藤利彦先生によると、そういった行動にはちゃんと理由があるそう。先生に、赤ちゃんの不思議なしぐさのワケと、そんなしぐさを赤ちゃんがしたとき、大人はどう関わればいいのか、対応方法を聞きました。発達別にママやパパが気になっているしぐさを紹介します。
0~5カ月ごろに見られるしぐさのワケ
自分の意思ではなく、生理的な現象が多い時期です。
手のひらに触れたものをギュッと握る
これは手のひらに触れたものを握る“把握反射”と呼ばれる反射によるものです。
「生まれてすぐからみられる反射ですが、多くの場合、2~3カ月ごろにはなくなります。足の裏を触ると、同じように足の指をギュッと閉じようとしますよ。動画を撮っておくと記念になります」(遠藤先生)
眠っているはずなのにニヤリとほほ笑む
0~2カ月ごろの微笑は感情を伴ったものではなく、左右の口角を引き上げただけの生理的な現象です。
「“新生児微笑”と呼ばれる現象ですが、『笑った!』と思うだけでママ・パパは幸せな気持ちになりますよね。その幸福感から、『天使のほほ笑み』と呼ぶこともあります。もちろん、そのまま見守って」(遠藤先生)
6~11カ月ごろに見られるしぐさのワケ
さまざまな成長が見られ、表情豊かになる時期です。
飛行機のようなポーズをする
顔を正面に向けたまま顔を持ちあげ、両腕を伸ばし、両足を上げる、まるで飛行機のようなポーズ。これは体を持ちあげることができるようになった証しです。
「首、腕、脚の筋力がついてきた、ということです。赤ちゃんは日々、成長しているんですね。『上手だね!』など声をかけるといいでしょう」(遠藤先生)
落として遊ぶ物ではないおもちゃをわざと落とす
目の前にあるものが消える面白さと、視界から消えたはずのものが下に落ちているという発見をしている最中のしぐさです。
「投げつける行動は、落ちたときの音を楽しんでいるのかもしれません。この発見を赤ちゃんなりに何度も実験しているのでしょう。危険がない限りは見守って大丈夫です」(遠藤先生)
1才~1才6カ月ごろに見られるしぐさのワケ
日々新しい発見をして、なんでもやってみたがる時期です。
遊びながら狭いところに入りたがる
大人が抱き締めると赤ちゃんが落ち着くように、狭い場所に入ると同じような安心感を抱くようです。
「保護者以外で、安心できる場所や方法を見つけられるようになった証しです。危なくなければ、自由に遊ばせてあげましょう」(遠藤先生)
ママやお友だちの髪の毛を引っ張る
髪の毛に興味があるのか、相手の反応を楽しんでいる可能性があります。
「ママ・パパが引っ張られた場合には、背中をなでてあげたり、ハイタッチするなど別の行動を促しましょう。他人の髪の毛を引っ張ろうとしたときは、赤ちゃんに『痛いよ』と伝え、抱きかかえて防止しましょう」(遠藤先生)
監修/遠藤利彦先生 取材・文/ひよこクラブ編集部
いかがでしたか? どんな行動にも、赤ちゃんなりの理由があると知るだけで、わが子をさらにいとおしく感じられませんか。おうちにいることが増え、赤ちゃんと過ごす時間が長くなったママ・パパもいるでしょう。赤ちゃんのちょっとした行動を見てみるのも楽しいかもしれません。
参考『ひよこクラブ』2018年8月号「赤ちゃんの不思議なしぐさ解説事典」
遠藤利彦先生
(東京大学大学院教育学研究科 教授)
Profile
発達心理を専門とし、発達メカニズムや子どもの生育環境を研究する発達保育実践政策学センターの副センター長も務めています。

ひよこクラブ7・8月合併号ではほかにも不思議なしぐさについて特集しています。