Benesse

オンラインショップ

会員登録

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 赤ちゃんの病気・トラブル
  4. コロナ禍で、3才以降の接種率が明らかに低下「もれなく受けて!」感染症専門医がライブで提言

コロナ禍で、3才以降の接種率が明らかに低下「もれなく受けて!」感染症専門医がライブで提言

リビング ルームでのアジアの赤ちゃんの肖像画
※写真はイメージです。
itakayuki/gettyimages

感染力が強く、世界はもちろん日本国内でもたびたび流行する麻疹と風疹。近年の流行状況や、コロナ禍での予防接種の接種状況など、気になることがたくさんあります。
そこで、8月21日に行われた第123回日本小児科学会学術集会の分野別シンポジウム「アジアが風邪引くと日本がくしゃみする!」において、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長の多屋馨子先生が発表された「疹撃の麻疹・風疹」を、ライブ視聴で取材しました。

新型コロナで海外との交流が激減したら、麻疹報告数がゼロに!

麻疹の予防接種が始まる前の1960年代は、1年間に1000人以上の人が麻疹で亡くなっていたそうです。その後、麻疹の予防接種が始まり、定期接種に導入され、2回接種も始まったことから、麻疹の発生件数は減少。2015年3月21日に、日本は麻疹排除国に認定されました。

「しかし、2008年には1万人を超える大規模な流行があり、麻疹排除認定後も毎年、麻疹の集団感染が起こっています。今でも麻疹は命にかかわる病気であることには変わりありません」(多屋先生)

新型コロナウイルスの流行によって、ここ数カ月は海外との交流が激減しました。その結果国内では、5月25日~31日の週から11週間、「麻疹の報告数ゼロ」が続いています(8月12日現在の感染症発生動向調査による)。

「この調査により、海外から麻疹ウイルスが持ち込まれなければ、国内の集団感染は起こらないことがわかります。
しかし、海外から持ち込まれなくても、予防接種の接種率が下がったら、国内外の人の移動が復活すると、感染が広まる可能性が高くなります」(多屋先生)

近年のMRワクチンの接種率はどのようになっているのかというと、2018年度は、全都道府県でMRワクチンⅠ期の接種率が95%以上になりました。Ⅱ期は多少下がるものの、全都道府県で90%以上の接種率を達成しています。

「Ⅰ期、Ⅱ期とも接種率が95%以上になるのが目標です。MRワクチンを2回接種するようになってから、子どもたちの麻疹抗体保有率は大きく変わりました。
10年前は約1割の子どもが抗体を持っていませんでしたが、現在は2才以上のすべての年齢で、麻疹抗体保有率が95%以上になっています。この10年の大きな成果です」(多屋先生)

コロナ禍の外出自粛で、3才以降の予防接種の接種率が明らかに低下

感染症予防に非常に重要な役割を果たす予防接種。MRワクチンはもちろんのこと、ほかのワクチンも含め、新型コロナウイルスによる外出自粛が、接種率に影響を与えていないか、非常に気になるところです。

「神奈川県川崎市で、予防接種の接種率を過去5年間と比較して調べた報告があります。これによると、乳児期のワクチン接種数は、例年と比べて大きな変動はありませんでした。
しかし、1才で受ける四種混合ワクチンのⅠ期追加、MRワクチンⅠ期はやや減少。さらに、3才以降で接種する、MRワクチンⅡ期、日本脳炎ワクチン、2種混合ワクチンなどは、例年より明らかに減少していたのです」(多屋先生)

コロナ禍であっても、予防接種を受けに行くのは不要不急ではありません。予防接種の接種率低下を防ぐために、厚生労働省は、「子どもの予防接種は遅らせないで」というメッセージをリーフレットにして、啓発しています。

日本は世界で5番目に風疹の発生が多い国

今年、日本は「風疹排除認定国」になることを目標にしています。しかし、日本が含まれる西太平洋地域は、世界で最も風疹の報告が多い地域。過去12カ月の風疹の発生率トップ10の中に、アジアの国は6カ国入っていて、日本は世界で5番目に多い国になっています。

「2018年から今年8月12日までに、保健所に風疹として届けられた患者さんが5308人います。風疹は軽い病気だと思われがちですが、血小板減少性紫斑病を合併した人が21人(0.4%)、脳炎を合併した人が2人(0.04%)いたのは、忘れてはならないことです。
また、2012~13年の風疹の流行では、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断され、2018~19年の流行では5人の赤ちゃんが診断されています。この状況は二度と起こしてはなりません」(多屋先生)

風疹の再流行を阻止するため、成人男性の第5期定期予防接種を実施中

1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は、これまで一度も、風疹ワクチンを定期接種で受ける機会がなく、この年代の風疹感染者が非常に多いのが問題になっています。
そこで国は、2019~21年度の3年間、この年代の男性に第5期風疹定期予防接種を導入することを決定。各自治体から対象者に、風疹抗体検査と第5期風疹定期接種のクーポン券を送付しています。

「まず風疹抗体検査を受け、風疹の免疫がない、あるいは、十分な量の抗体がないことが判明したら、予防接種を受けることができます。抗体検査も予防接種も公費(自己負担なし)です。接種するのはMRワクチンなので、麻疹の免疫もつけることができます。
接種期間が終わる2022年3月までに、この年代の男性の風疹抗体保有率を9割まで引き上げるのが目標です」(多屋先生)

第5期風疹予防接種の対象者1537万4162人のうち、今年5月までに風疹抗体検査を受けた人は174万839人、対象男性人口の11.3%です。そのうち抗体検査で抗体価が低いとわかった人は、予防接種を受けているようなのですが、「対象者の1割しか抗体検査を受けていないのは問題」と、多屋先生は警鐘を鳴らします。

「新型コロナウイルが収束して、海外との交流が再開したら、また風疹の流行が起こってしまいます。このままだと風疹排除は達成できません。
対象となる男性は、この機会にぜひ抗体検査を受けて、低かった場合はMRワクチンを接種してください。また、周囲に該当する男性がいたら、抗体検査を受けるようにすすめてください」(多屋先生)

お話・情報提供/多屋馨子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

全員免疫がない人の集団に1人の発症者がいる場合、麻疹は12~18人が感染し、風疹は6~7人が感染するといわれます。麻疹、風疹は非常に感染力が強いウイルス。麻疹や風疹を国内で流行させないようにするには、予防接種をきちんと受けるしかない、ということがよくわかりました。


多屋馨子先生(たやけいこ)
Profile 
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長。小児科医。高知医科大学(現高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科学講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

■おすすめ記事
おすすめの赤ちゃんとの遊び方

赤ちゃん・育児

更新

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング

関連記事

赤ちゃん・育児の人気テーマ

新着記事

ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。