ろ、老眼なの? 急に見えにくくなって【御手洗直子のコマダム日記】
今回は急に目が見えにくくなった話。一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#42
目が、目が…の夏2020(20年ぶり2度目)
20代の頃、ひたすら原稿を描いていたら視界が真っ白になり3日ほど目が見えなくなったことがある。ムチャすんな。金土日と寝込んでいたら治ってしまい病院に行かなかったので詳細は不明であり、以降ド近眼であるということを除けば特に不調もなくここまで来たのだが、ここ数か月で急に眼にキ始めた。目が見えない。
正確に言えば、視界がぼやけて文字が読めない。ろ…老眼…?とも思ったが、手元は見えるので違うのか…?と思いつつ、そのことをツイートしたところ『緑内障では?』(※失明の危険がありますよ)『脳腫瘍の可能性も…』(※命の危険がありますよ)等々のおそろしい忠告を受けて病院へ行くことになった。とてもおそろしい。
そういう致命的な病を告げられるのもおそろしいが、お前は老眼であると烙印を押されるのもおそろしい。老いる眼と書いて老眼である。つい先日テニスの王子様にハマッて同人誌を狂ったように作り続けて目が見えなくなったような気がするけど、そこからすでに20年経過していておそろしい。30過ぎてからは早いですよとウワサには聞いていたけど私の30代はどこに行ったんだ。とけるのが早い。高級なかき氷の食レポのごとくとけるのが早い。
遠くが見えない近視と近くが見えない老眼が合わさると両症状とも相殺され、なんなら近視の人は老眼になりづらいというウワサを聞くが、実際どうなのだろうか。というわけで母に聞いてみたところ、『近視だから遠くは見えないし老眼だから近くも見えない。見えるところがない』という絶望的な感想をいただいた。もう何重にもおそろしい。
緑内障だと困ると思っていたので病院では視野検査をしてもらったが、検査中でも明らかに見えていない範囲がかなりあって震えた。『ピッ』『ピッ』という音だけ聞こえるが、まったく見えない。しかしそう、慌てることはない。人間の眼には死角が存在し、ある程度見えないのは正常の範囲内なのである。わたし、知ってる。と思ったが明らかに左目が見えない。こんなに左右差があるものなの…?
さて検査が終わり、診察室で結果を見せられたわけだが、左目の一部が真っ黒である。見える←白、黄色、黄緑、赤、黒→見えない の順に見える範囲が表示されており、つまりまったく見えていない部分がある。これは一体…?!
結論から言えば『異常なし』である。
え?異常なし?この真っ黒いのは??
先生曰く、『これは普通の人より盲点が大きいだけなので大丈夫です。』とのこと。そんなことってある???!
私が三次元の一般人でよかった…少年漫画の主人公だったら致命的だった。いかなる天才であろうとも、人より盲点が大きかったら魔球は見えないし、敵ににダマされるし、死角から近づいてきた暗殺者にすぐさま殺られてしまうであろう。
ちなみに目が見えなくなっていたのは乾燥による疲れ目?では?ということで大量に目薬をもらってきたのであった…。
緑内障でも脳腫瘍でもなくてよかった。疲れ目な上に盲点がでかいだけだった。これはこれでインパクトがでかい。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko