小児感染症の専門医に聞く!赤ちゃん、コロナ増の冬のお出かけ、どうすればいい?
なかなか収束しない新型コロナウイルス感染症…。さらに冬になるとインフルエンザやRSウイルス、ノロウイルスなどの感染症も心配になります。
赤ちゃんとのお出かけやお散歩はどうすればいいのか悩むママやパパも多いのではないでしょうか?
そこで、小児の感染症が専門の小児科医で、和洋女子大学教授の鈴木葉子先生に、赤ちゃん連れの外出での注意点を教えてもらいました。
不要な外出はしないほうが、感染リスクは下げられます
外出をしなければ感染リスクをかなり下げることができるので、感染症が流行しているときは、不要な外出はしないほうが安心です。とくに、赤ちゃんを人込みに連れて行ったり、大人の都合で長時間連れ回したりするような外出は避けたほうがいいでしょう。混雑していない時間や場所を選んでお散歩をするなど、赤ちゃんのことを考えたお出かけを。お散歩も、毎日必ずする必要はなく、1日に1回、窓辺で日の光を浴びるだけでもOKです。
[お散歩に行くなら]こんな工夫を
ベビーカーや抱っこで近所を30分くらいお散歩をするくらいなら、人と接触する機会は少ないので、神経質にならなくて大丈夫。のぞきこんで話しかけてくる人がいたら、うまくかわして。
〈ママ友と会うなら〉
ママ同士で向き合って話し込んだり、大勢で集まって飲食したりするのは避けて。また、「これはやめておこう」と遠慮せずに意見を言い合える関係のママ友と会うのがおすすめです。
〈買い物に行くなら〉
混雑しない時間帯に行き、なるべく短時間で済ませて。赤ちゃんがかごや商品を触った手をなめると感染のリスクが高まるので、気をつけて。店舗のカートを使う場合は、使う前にアルコール入りの消毒シートでふくと安心です。
お出かけ先や公共の乗り物で気をつけることは?
お出かけをする場所によっても、ちょっとの工夫で感染のリスクへ減らすことができます。
たくさんの人が集まる室内施設 などは避けたほうが無難
人が集まる場所、人との距離が密着する場所、室内で換気が悪い場所などを避け、「三密」にならないように注意を。地域で感染症が流行しているときは、児童館など不特定多数の乳幼児が集まる屋内施設は避けたほうが無難です。
場所別に気をつけることは…
〈公園では〉
遊具などは、赤ちゃんが触る前にアルコール消毒をし、赤ちゃんの手もこまめに消毒を。砂場ではだれのものかわからないおもちゃは使わず、持参したおもちゃだけ使うほうが安心。遊び終わったら、水道で手を洗い、消毒もしてあげましょう。
〈児童館や支援センターでは〉
感染症対策がどのくらいされているかは施設によって違うことが。とくに、ボールプールのような不特定多数の子がなめるような遊具には注意が必要。混雑する時間や密集する場所を避け、赤ちゃんが使うおもちゃは自分でも消毒して対策を。
公共の乗り物での対策は…
〈電車やバスでは〉
他者と密着するような混雑した電車やバスには乗らないほうがいいでしょう。乗るときは、近くの人と顔が向き合わないよう、横並びになったり、窓のほうを向くなど工夫をして。
赤ちゃんがつり皮や手すりに触っていたら、手をなめる前にふいて。
〈タクシーでは〉
運転手さんによって、感染症対策に差がある場合が。赤ちゃんがシートベルトをなめたり、窓や車内の備品を触らないように気をつけましょう。運転手さんがマスクをしてないときなどは、「窓を少し開けてもらえますか?」と換気をお願いして。
「ウイルスというのは厄介で、どんなにしっかり対策をしていてもほんの一瞬のすきをついて侵入してくることがあるんです。完璧に対策をするのは難しいし、完璧にしたからといって必ず防げるものではないのが難しいところ…」と鈴木先生は言います。
すべて理想通りに対策をするのは難しいかもしれませんが、できることは実践してみましょう。
『ひよこクラブ』2020年12月号には「感染症からわが子を守る! 冬のお散歩・お出かけ対策」特集があります。外出先での消毒方法や、帰宅後にやるべきことなども詳しく紹介しています。
監修・アドバイス/鈴木葉子先生
取材・文/渡辺有紀子、ひよこクラブ編集部
鈴木葉子先生(すずきようこ)
profile
東京女子医科大学東医療センター小児科准教授を経て、2018年より和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授。小児科学と感染症学が専門で、日本小児科学会会員、日本感染症学会評議員、日本小児感染学会会員。
参考/『ひよこクラブ』2020年12月号「感染症からわが子を守る! 冬のお散歩・お出かけ対策」特集