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コロナ禍の防災。赤ちゃんのいる家庭では備蓄に何がどのくらい必要?【専門家】 #あれから私は

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親と子のテーブルの下で群居
maroke/gettyimages

2021年3月11日で、東日本大震災から10年がたちます。そんな中、2020年1月からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、新しい生活様式が取り入れられています。赤ちゃんがいる家庭ではコロナ禍での防災備蓄としてどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。NPO法人 MAMA-PLUG事業代表の冨川万美さんに話を聞きました。

備蓄に「マスク」と「消毒液」は必須で追加を!

――コロナ禍の前とあとで、赤ちゃんや妊婦がいる家庭の防災備蓄に変化はあったでしょうか。また、とくに注意したほうがいい点はありますか。

冨川さん(以下敬称略) コロナ禍では、今までの防災備蓄の考え方にアップデートが必要です。まず、被災時に避難所に行くか行かないかで迷う方が多くなると思われます。命に危険があれば、速やかに避難行動を取るべきですが、避難所は密を避けられないので、感染症対策が絶対に必要です。そこで、備蓄に追加してほしいのが「マスク」と「消毒液」になります。

東日本大震災ではインフルエンザ、熊本地震ではノロウイルスなど、感染症が出ていました。そもそも災害時の感染症対策は以前より課題だったのです。コロナ禍で感染症対策の意識が高まったことはよかったと思われます。

避難所に行く指示が出ているのに、マスクを切らしていて避難所に行くことをちゅうちょしていたら、命を守る行動ができなくなります。たとえ新型コロナが収束したあとでも、今後はマスクや消毒液といった感染症対策グッズは備蓄の常識となっていくでしょう。

――各自治体でも「感染症対策」には留意をしていると思いますが、各家庭で備蓄品、持ち出しグッズ、などで追加しておいたほうがいい感染症対策について、具体的に教えてください。

冨川 避難所に行く場合のグッズは最低限で大丈夫です。赤ちゃん連れや妊婦が長期間避難所にいることは好ましくありません。消毒液とマスクは数回変えられる分、使い捨て手袋は箱ごとではなく数回分を持ち出せばOKです。

赤ちゃんを抱っこして持てる荷物の重さは限られています。子育てファミリーにとっていちばんの防災バッグは「ママバック」なので、あらためて防災バッグを用意するより、いつものママバッグに必要な物を切らさないようにして、マスクと消毒液、使い捨て手袋を入れておけばそれを持ち出すだけで済みます。避難する場合は、刻一刻を争う状態。しまい込んだ防災バッグを取りに行くより、いつものママバッグを持って逃げましょう。

一晩過ごせるくらいや半日〜1日過ごせる量から準備してみましょう。防災バッグであれば、赤ちゃんの成長に合わせて定期的に中身の確認や重さのチェックが必要ですが、ママバッグは今の赤ちゃんに必要な物がそろっています。まずは“持ち出せる重さであるかどうか”がポイントです。

2021年2月13日に東北地方で発生した地震では、夜遅かったため赤ちゃんはもちろん、小学生でも目を覚まさなかったという体験談が寄せられています。万が一、津波でもきていたら大きな子どもを抱きかかえて避難することになるかもしれません。

在宅避難ができるように、最低でも3日間は備蓄して

――災害時、自治体からのアナウンスや指示に従ったほうがいいとは思いますが、避難所に行かなくてもいい場合や、避難所に入れないときには、どのようなことに気をつけるといいでしょうか?

冨川 前提として、赤ちゃんのいる家庭では、避難所に長くいることは考えないほうがいいでしょう。できれば在宅避難が望ましいです。自宅内に危なくない場所、危なくないスペースを確保しましょう。上から物が落ちてきたりしない場所です。家全体を危なくないようにすることは不可能なので、寝室や玄関など1カ所でも多く、安全なスペースを作るように日ごろから心がけてください。

西日本豪雨では、電気が10日間、ガスが3〜6カ月、水道が1カ月ぐらい止まりました。東日本大震災ではライフラインの復旧までに6カ月程度かかったところもありました。
政府は7日分の備蓄をしておくことを推奨しています。しかし、7日分となると場所も取りますし、「めんどくさい」と思う人も多いと思います。

そこで、最低でも「3日分」用意しておいてください。防災は、まったくやらないのと、少しでもやっておくのでは全然違います。なぜ3日かというと、「72時間」のボーダーラインがあります。災害がおきてから、72時間=3日は混乱が続き、情報も錯綜(さくそう)し、交通もストップします。給水車が来たり、ボランティアセンターが動き出すのも72時間後と思っていてください。ですので、ライフラインが止まった72時間をいかにしのげるかで大きく変わってきます。最低でも3日分は備蓄しておいてくださいね。

「行動の備え」をしておくことがとっても大切

――赤ちゃんのいる家庭でしておいてほしい対策はありますか。

冨川 避難の考え方として、「避難所に行くこと」だけが避難ではありません。「安全な場所にいること」が大事なことです。避難所に行かなければいけないのは、「1:命を守りに行く場合」「2:情報収集をする場合」など、必要なときに利用するようにしましょう。

とくに赤ちゃんがいる家庭では、ライフラインが滞った状態は赤ちゃんにとっては劣悪です。赤ちゃんの体を清潔に保つことも難しいと考えられます。
ですから、可能であれば被災した土地を脱出していいんです。日ごろから災害が起こったら脱出することも考えて、家族と相談をしたり近県の友だちの家など脱出先を確保しておくことが大切です。車での移動を想定するのであれば、ガソリンを切らさないようにしておくことも重要な対策です。


お話・監修/冨川万美さん 取材・文/乾瞳、ひよこクラブ編集部

避難所で密を完全に避けることは不可能。そこで、大切になってくるのが、ライフラインが止まった状況で72時間は在宅避難ができるように備蓄をしておくとのこと。3日分であれば、イメージもしやすいですし、置いておくスペースも確保できそうですね。
「防災は”やるか””やらないか”ではなく”ちょっとでもいいからやっておくこと”」だと冨川さんは言います。

冨川 万美(とみかわ まみ)さん

Profile
NPO法人 MAMA-PLUG事業代表。
東日本大震災で被災したママたちの支援活動を通して、防災に関する事業を開始。最新著書に『全災害対応! 子連れ防災BOOK』(祥伝社)があります。

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