出産予定日過ぎちゃった… 陣痛はいつくるの? 赤ちゃんは大丈夫? お産ってどうなるの?【産婦人科医】
出産予定日が近づいてもお産が始まらないと妊婦さんは不安になりますよね。赤ちゃんは大丈夫か、できることはあるのか、予定日超過のリスクなどを産婦人科医の善方裕美先生に聞きました。
予定日はあくまで目安。いつ始まるかはわかりません
出産予定日の前3週間から後ろ2週間のお産を正期産といい、赤ちゃんがいつ生まれてもいい時期に。でも、予定日を過ぎてもお産兆候がなく、健診で先生に「まだだね」と言われたら、「いつになったら陣痛は来るの?」という気持ちになりますよね。実は、“陣痛がなぜ起こるのか”については諸説あるものの、十分な解明がされておらず、陣痛がいつ始まるのかは、だれにもわからないのです。予定日はあくまで目安なので、あせらずにリラックスして過ごしましょう。
健診で胎盤機能をチェックし、赤ちゃんの状態を確認
個人差はあるものの、胎盤は予定日ごろをピークに徐々に古くなります。そのため、健診ではNST(ノンストレステスト)をして赤ちゃんの元気度を確認。羊水量や、必要があれば臍帯の血流をチェックします。心配なときは、数日後に健診をして確認することも。また、妊娠42週を過ぎると過期産といって確実に胎盤機能が落ち、羊水が減少したり、濁ってしまうリスクが心配になります。そのため、一般的に41週ごろには入院になるでしょう。過期産になる原因も医学的にはわかっていません。ママの体質や年齢、妊娠中の行動などは関係しないので、自分を責めたりせず、赤ちゃんにもうすぐ会えることに目を向けて。
37週を過ぎたら安産に向けた体づくりをパワーアップ!
正期産の時期になれば、いつ出産しても大丈夫です。陣痛が来てからお産がスムーズに進むよう、これまで以上に体を動かして、安産のための体力づくりの強化を。それまで安静指示が出ていた人も少しずつ体を動かして、できるだけ体力づくりをしておきましょう。
パパや家族が言いがちな3大NGワード
予定日を過ぎてもお産が始まらないことと、ママの行動は無関係。ママに、「まだなの?」「いつなの?」「どうなの?」と聞いても答えられないし、なんだか責められている気がするのでこの3つの言葉はNGと心得て。パパや家族はママの気持ちに寄り添って、「いつかは来るよ」「大丈夫だよ」といった言葉で不安をぬぐってあげてください。できるだけリラックスしながら、マッサージや一緒にストレッチをするなど、スキンシップの時間も大切にしましょう。
必要があれば行われる医療処置
お産を進めるための医療処置も紹介します。
卵膜剥離(らんまくはくり)
分娩時期になってもなかなかお産が始まらず、子宮口がかたい場合は、医師が子宮口から指を入れて卵膜をはがすことがあります。これを卵膜剥離といいます。その後、しばらく痛みがあったり、出血したりすることもありますが心配はいりません。お産を促す意図で行いますが、お産が始まるかどうかは個人差が。
子宮口を広げる or やわらかくする処置
子宮口が開いていないときは、子宮口に器具を挿入し広げる処置をすることがあります。子宮口がかたい場合は、頸管熟化薬で子宮口をやわらかくすることも。どちらもすぐに子宮口に変化が起こるものではないので、時間をかけて赤ちゃんとママの状態を管理しながら様子を見ます。
陣痛誘発剤(陣痛促進剤)
分娩につながる陣痛がなかなか来ないとき、子宮収縮させる(誘発)ために使います。分娩につながる有効な陣痛にならないときは、陣痛を強くする(促進)ために使います。分娩監視装置などで、陣痛や赤ちゃんの状態を確認しながら投与します。
監修/善方裕美先生 文/早田佳代、たまごクラブ編集部
お産が予定日を過ぎても無闇にあせる必要はありません。健診では赤ちゃんの元気度を確認していますし、医療処置などのフォローで過期産を防ぐ準備も。ただ、陣痛を乗りきるにはママの頑張りはなくてはならいないもの。自分と赤ちゃんを信じて、担当医とともに心と身体の準備をしましょう!
参考/『たまごクラブ』2022年1月号「出産予定日を過ぎたら、お産どうなるの?」
※掲載している情報は2022年1月現在のものです。