妊娠期にかかると怖い「風疹」。男性の感染者が多いため、パパも注意を!厚労省も抗体検査と予防接種の無料クーポン配布で後押し。
風疹は2013年に爆発的に流行。そして2018年からも流行が続きました。最近は落ち着いていますが、流行には周期性があり今後、再流行する可能性もあります。
これからママになる女性のため、生まれてくる赤ちゃんのため、パパ世代はもちろん、風疹の抗体保有率が低い、今年43才~60才*になる男性にも知っておいてほしいことを、産婦人科医の倉澤健太郎先生に聞きました。
※1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は、子どものころに風疹の予防接種制度がありませんでした。
妊娠初期に風疹にかかると、胎児に障がいが現れる可能性も
“風疹”は、風疹ウイルスによって起こる急性の発疹性感染症。妊婦さんが妊娠20週ごろまでに風疹にかかると、先天性風疹症候群といって、おなかの赤ちゃんの目や耳、心臓に障がいが現れる可能性があります。
予防接種を受けることで防げる感染症ですが、妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。妊婦さんは妊婦健診で風疹の抗体価を調べ、抗体価が低ければ、風疹に感染しないように注意しなければならないのです。
風疹の感染者は男性が多いことを知っていますか?
※1国立感染症研究所「風疹 発生動向調査 速報グラフ」2020年第1~第53週より一部抜粋
妊婦さんを風疹から守るためには、パパなど同居する家族はもちろん、周囲の人も風疹の抗体価を調べ、抗体価が低い場合は予防接種を受けることが重要です。
実は、感染が確認されているのは、女性に比べて男性のほうが多いことを知っていますか?
2013年および2018年の流行を経て、2019年4月から国の事業として、子どものころに風疹の予防接種制度がなかった1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性へ、風疹抗体価検査および予防接種の無料クーポン券の郵送が始まりました。
当初、2021度までの予定でしたが、受検率が伸び悩み、2024年まで延長されることが決定。新型コロナウイルス感染症の流行による受検控えもありますが、働く世代の男性にとって、検査に出向くこと自体が負担になっているとも考えられています。
パパ世代はもちろん、社会全体で予防に努める必要が
妻が妊娠。その後、風疹抗体価が低いことがわかったという男性に話を聞きました。
「妻が4年前に第一子を妊娠したときは風疹抗体価が十分あったのですが、3年後、第二子を妊娠したときは、検査で抗体価が低くなっていることがわかりました。“とくに妊娠初期は風疹にかからないように注意して”と医師から言われたそうです。
僕は1977年生まれ。妻から“パパは風疹抗体価が低い世代だから、すぐにでも予防接種を打ってほしい”と言われて調べてみると、まず、抗体検査を受けて、抗体価が低ければワクチンを接種する手順になっているとのこと。
注射が大の苦手な僕は、当初、抗体検査で血液をとって、その結果を聞いて再度、予防接種を受けること、また病院を数回訪れることにもハードルの高さを感じてしまいました。
ですが仕事の調整をし、予防接種を済ませて妻に報告すると、“赤ちゃんの万が一のリスクを一つ減らしてくれてありがとう”と言われて。
予防接種自体も思っていたよりスムーズに済み、受ける前になぜあんなにハードルが高いと感じていたのかと、反省しました。その後、“先天性風疹症候群”がどういうものであるかをあらためて知りましたが、自分の抗体価も予想どおり低かったので、受けておいて本当によかったです。
その後、職場で奥さんが妊娠した同僚がいると“風疹の検査した?”と聞くようにしています」。(N.Kさん:取材当時44才)
風疹は、パパ世代はもちろん、抗体保有率が低い世代の男性も含め、社会全体で予防に努める必要があります。予防接種を2回受けていれば抗体がついていると考えられますが、予防接種を受けたかどうか記憶があいまいな人が多いのが現状。まずは医療機関で抗体検査を受けることから始めてみてください。
監修/倉澤健太郎先生 取材・文/たまごクラブ編集部
最近は流行が落ち着いているとはいえ、2020年の風疹感染者数は101名、2021年は12名*とゼロではありません。また、先天性風疹症候群と診断された赤ちゃんが2020年も2021年も報告されています。「自分のため」「妻のため」だけでなく、「これからママになる女性のため」「まだ見ぬ新しい命のため」にも、ぜひ行動しましょう。
*国立感染症研究所「風疹に関する疫学情報:2022年3月2日現在」より
※掲載している情報は2022年5月現在のものです。