知って安心!超音波検査で診ていること・わかること
超音波検査では何がわかるの?
超音波検査は、おなかの中の赤ちゃんを目で見ることができるので妊婦さんにとってちょっと楽しみな検査だと思います。産院によって行うタイミングが違うこともあり、妊娠初期、20週ごろ、30週ごろ、36週以降~など、ポイントとなる週で行う産院もあれば、もっと頻回にもしくは毎回行う産院もあります。
この検査で診ていることは、時期によっても多少異なりますが、基本的には、赤ちゃんの大きさ、向き、奇形の有無、胎盤の位置、へその緒の位置、羊水の量などが挙げられます。ただ、普段の健診での超音波検査は短時間で行いますので、限られたことしか診ることができません。もし気になる所見があった場合は、改めて超音波の専門外来などを受診してもらうこともあります。
超音波検査で産科医が診ていることは?
妊娠時期別で特に注意して診ていることを挙げてみましょう。妊娠初期は個人差がなく、ほとんどの赤ちゃんが同じように発育をするので、12週までは経腟超音波を利用し胎嚢(たいのう)や心拍の確認、頭からおしりのサイズ(CRL:頭殿長)を測り、出産予定日を修正・確定します。
首の後ろのむくみ「NT(ヌーカル・トランスルーセンシー)」を気にされる方もいらっしゃいますが、明らかに厚い場合は健診で指摘されることもあるかもしれません。ここが厚くなるのは、ダウン症、もしくはなんらかの事情で循環が悪くなっている可能性があるからです。ただ普段の超音波検査で確定できるものではありませんし、実際、染色体に異常がないこともあるため、何も言われないのであれば、あまり気にしなくてもいいと思います。
妊娠中期では、体がだいぶできてきているので、心臓や脳など各部位の構造がきちんとつくられているかを確認しています。また羊水の量も併せてみています。
妊娠後期になると、お産を見据えて赤ちゃんの大きさや、逆子(骨盤位)などになっていないか、胎盤やへその緒の位置が問題ないか、などを確認しています。骨盤位の場合、赤ちゃんがどちらを向いているかで、頭が下にまわりやすいように、ママの寝る向きを教えてあげたりもします。
超音波検査や超音波写真を見るときに妊婦さんが注意したいことは?
超音波検査で多くの妊婦さんが気にされるのは、赤ちゃんの性別だと思います。もし知りたいのであれば、15~16週以降ならわかる可能性もでてきますので、検査中に担当医に尋ねてみましょう。逆に先生のほうから性別を言ってしまうこともあるかもしれませんので、もしも生まれる時までのお楽しみにしておきたい場合はあらかじめその旨を伝えておくほうがいいですね。ただ、超音波検査での性別は100%ではありません。男の子の場合、おちんちんが見れてしまえばほぼ確実なのですが、おちんちんが見えなかったために女の子と判断したものの、ただ隠れていただけで、生まれてみたら男の子だったということもあります。
また超音波写真をもらったときに注意してほしいのが、計測によって出ている数値です。頭殿長や児頭大横径(BPD:赤ちゃんの頭の左右のいちばん長い部分)、大腿骨長(FL:大腿骨の長さ)、腹部横径(TTD:赤ちゃんのおなかの横幅の長さ)などは赤ちゃんの発育の目安となり、その数値などから妊娠週数や推定体重が算出されます。その数値を見て大きめ、小さめを気にする方も多いですが、ただ超音波での計測は誤差が出てしまうもの。先生が何も言わないのであれば、標準内の範囲には入っているということなので、気にする必要はありません。学校で背の順に並んだときの後ろのほう、もしくは前のほうなんだ、程度に考え、数字に惑わされすぎないようにしましょう。赤ちゃんみんなが同じ大きさで生まれてくるわけではありませんので、個性だと考えてその子なりの成長を楽しんでほしいと思います。

佐藤真之介 先生
日本赤十字社医療センター 産婦人科医師
「妊娠中はいろいろ心配事も多いと思いますが、インターネットの情報だけに頼らず、かかりつけの先生や助産師さんに相談して悩みを解消しましょう。」
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。