男性側の不妊治療もオープンにしたいとSNSで発信!「ありがとう」と感謝の言葉を伝えることが夫婦の当たり前に。男の子のパパ、おばたのお兄さんインタビュー
昨年8月、奥様であるフジテレビアナウンサー・山崎夕貴さんが第一子となる男の子を出産し、パパになった芸人・おばたのお兄さん。立ち会い出産も叶い、念願だった三人での暮らしもスタートしました。今回は、ご夫婦で向き合った不妊治療の話、またこれからの子育てについてパパの視点から聞きました。
不妊治療中は、妻の心のケアをすることを最優先に
――第一子を妊娠するまでに不妊治療をされていたことをご夫婦で公表されていましたが、男性側の立場として、どんな思いで奥様のサポートをされていましたか?
おばたのお兄さん:やはり、妊娠して出産するのは女性ですし、僕たち男性はそれができないので、できることは妻の心のケアをすることなのかなと思います。大前提として「二人でいられたらいいよね」「子どもはもし生まれてきてくれたらラッキーだよね」と、妻の心に余裕を持たせることを一番に考えて、それを言葉にして伝えていましたね。
もし妻が治療を辞めたくなったら、辞めればいいと思っていました。もちろん、妊娠できて無事に生まれてきてくれたらすごくうれしいけど、でも、その時点で一番大切なのは、夫婦が楽しくいられることだと思っていたんです。
――ご自身もSNSなどで不妊治療を公表したり、情報を発信していましたが、どんな思いがあったのでしょうか。
おばたのお兄さん:実は、まわりに不妊治療をしている男性がめちゃくちゃ多いんですよ。芸人の楽屋では、比較的何でも、包み隠さずに話をすることが多いのですが、そのひとつに不妊治療の話が出たりもしました。「今、不妊治療してて」「実は、うちもなんですよ」「今、治療ってどのあたりまでですか?」という感じで。だから僕にとっては、男性同士で不妊治療についてフランクに話せるこの感じを、SNSで世間に向けて発信してみたという感覚だったんです。単純に、情報共有やコミュニティぐらいに思ってやっていましたね。
というのも、実際に不妊治療について知ろうと思っても、男性側からの考えや情報が得られなかったんですよ。それに、僕自身ももっと知りたい情報もありましたし。
男性同士でも、こんな風に不妊治療の話をするのって、すごく素敵なことだと思っていたんです。それって、自分たち夫婦の将来のことや、奥さんのことを大切に思っていないと、こういう言葉って出てこないじゃないですか。
不妊治療って、こそこそやることじゃないし、今の時代ではごく普通のことだと思うんです。僕は、男性が精子を採取することも、検尿や検便と同じ感覚なんです。自分の体のことを知る大事なことですよね。それが恥ずかしいという世間の感覚も、取っ払えたらいいんじゃないかなと思っています。
公表に関しては、妻から相談されたのがきっかけです。「まわりにもすごく多いし、でもなかなか言えないし、不妊治療に対してもネガティブな意見が多い。不妊治療について発信したいと考えているけど、どう思う?」と。それで、僕も「いいと思うよ!」と伝えました。
――男性側の立場として不妊治療を経験したこと、また子育てをする中で、社会の仕組みや制度で、もっとこうなったらいいのにという思いはありますか?
おばたのお兄さん:経済的な理由で二人目や三人目をあきらめたという声をけっこう聞くので、その辺りの子育て支援がもっと充実してくるといいなと思いますね。最近は、不妊治療が保険適用になったり、子育て関係の無償化が進んだりと、少しずつ変わってきているとは思いますが。
僕は四人兄弟の3番目なんですが、そんなに家が裕福というわけではなかったから、お金の面では母親は大変だったんじゃないかと、親になってあらためて思いますね。地方か都会かでも違いますが、とくに東京で一人子どもを育てるのって、きっとすごくお金がかかるんだろうなと感じています。
それから最近思うのが、命を預かる保育士や介護士の給料をもっと上げるべきなんじゃないかと。お給料がもっともらえるようになれば、保育士さんの数が増えて、保育園の数も増えていって、子どもを預ける側も預けやすくなると思うんですよね。先日、息子の保育園の見学に行ってみて、そういった部分にも目が行くようになりました。
育休に関しても、男性も取るのが当たり前という社会になっていくべきだと思っています。女性だけの子どもではないし、女性が育てて当たり前という時代でもないですしね。二人の子どもなので、二人で育休を取ってもいいし、女性が仕事をして男性が育休を取ってもいいだろうし。僕はこういう仕事をしているので、なかなか育休を取るのは難しいんですが、取れるのであれば取ってみたいですね。
感謝の言葉を常に伝えていることで、夫婦の関係性もプラスに
――夫婦で子育てをする上で、奥さまへの声掛けで気をつけていることはありますか?
おばたのお兄さん:感謝の言葉は、その都度伝えるということを、別に決めごとにしているわけではないけれど、お互いが意識していると思います。それが、夫婦の関係性にもいい方向に働いているのかなと。
僕たち夫婦は、息子が生まれる前から家事を分担していないんですね。料理も家事も掃除も、できる時間があった方がやるというスタンスなんです。それぞれ自分がやるというのが大前提にあるので、相手にやってもらったから、その都度感謝を伝えるのが当たり前になっているのかもしれません。妻からも、息子をお風呂に入れたり、寝かしつけをするなど、僕がやった行動全部に「ありがとう」と言ってくれますね。
それから、相手に対して不満があったら、その気持ちが爆発する前に、「こう思っているんだけど」と、問題解決するようにしています。
実は先日、僕が仕事から帰ってきて、ドアを開けて「ただいま」と言った瞬間に、妻から「はい、パス!」と息子を渡されたんです。その時はさすがに、相手に対しての思いやりがないのでは?と思ってしまいましたね。その後、妻とはきちんと話し合いました。「僕は遊びではなく仕事から帰ってきているんだから、いきなり“はい、パス”は、ちょっと違うんじゃないかな」と。
子育てで少しのゆとりを持つには、夫婦でお互いに思いやりを持ち合った上でのコミュニケーションが大事だと思うので、気になることがあったときは、必ず二人で話し合うようにしています。
――お子さんをこれからどのように育てていきたいか、また、どんな家族になっていきたいでしょうか。
おばたのお兄さん:息子の名前は二人で一字ずつ考えて、それを合わせてつけたんです。僕は心優しい子に育って欲しくて、妻は明るくて健康になって欲しいという思いを込めています。
実は僕が小さい頃、ジャイアン気質なところがあって。体もまわりより少し大きかったのもあって、僕の記憶では“お山の大将”タイプだったんです。それで、自分が友だちに対して優しくできていたかどうかを後悔しているところがあって、息子にはとにかく優しい子になって欲しいと思っています。
それから僕自身、メンタルトレーナーの資格をもっているんですが、他者との比較をしすぎて、滅入ってしまう方ってものすごく多いと日頃から感じていました。だからこそ、人と比べるんじゃなくて、「自分たちが幸せならそれでいい」という自己肯定感をそれぞれが持った、そういう家族になりたいなと思っています。息子はもちろん、家族みんなが自分を大切にできるといいなと思いますね。
お話・写真提供/おばたのお兄さん、取材・文/内田あり、たまひよONLINE編集部
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。
<プロフィール>
おばたのお兄さん
1988年生まれ、新潟県出身。小栗旬のモノマネで人気を博し、さまざまなバラエティ番組に出演。日本体育大学卒で、よしもとアスリート芸人としても活躍。2018年、フジテレビアナウンサー・山崎夕貴さんと結婚し、今年の夏に第一子となる男の子が誕生。
※山崎さんの「崎」の字は、正しくは「たつさき」です。