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26歳で早発閉経と診断。妊娠が難しい体と知ってメンタルはどん底に【気象予報士・千種ゆり子インタビュー】

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早発閉経診断後の28歳のころ、さまざまな思いを抱えながら不妊治療をしていた千種さん。

脱炭素キャスター、気象予報士、防災士、映画プロデューサーなど、さまざまな顔を持つ千種ゆり子さん。26歳のときに早発卵巣不全=早発閉経と診断されたことを2022年に公表。20代の若さでの閉経と「妊娠が難しい」というニュース記事は多くの反響を集めました。千種さんに診断前の治療のこと、診断時の心境、症状を公表してからのことなどを聞きました。全2回インタビューの1回目です。

ただの生理不順かと思ったら、早発閉経という聞いたこともない診断が・・・

――24歳の夏に初めて体の不調に気づいたとのことですが、それ以前は体の不調を感じたことはありましたか?

千種さん(以下敬称略) 学生のころはとくに生理痛が重いとかはなかったのですが、22歳のときに生理が遅れていたので、一度婦人科に行って診察してもらったことを記憶しています。おそらくそのあとまた普通に生理が来たので、婦人科からは足が遠のいていました。その次に行ったのは24歳、社会人3年目のときです。

そのときはまだ、自分の生理不順が、「妊娠が難しい」ということにつながる不調だということにまで、思いを至らせていなかったので、今振り返るとそういうことを知った上で、治療に臨めればよかったのかなと思っています。でも、20代前半の私は、そこまで考えられなかったんですね。

私の生理不順というのは、具体的には「もともと定期的に来ていた生理が来なくなる」という症状で、病院へ行ったら「ストレスからくるホルモンの乱れかもしれないから、薬を使ってホルモンのバランスを整えましょう」と言われ、ピルを処方されました。
ちょうど、2011年3月11日の東日本大震災があったあとだったので、社会も大きく動揺している時期でしたし、私の症状もストレスなんだろうなと思っていました。

多くの場合、ピルを飲んで女性ホルモンをコントロールすることで、生理不順の改善が期待できるはずなので、先生は「一度飲んで生理を起こして、そのあとまた生理が来なかったら受診してください」という感じ。私は、ピルを飲んで一度生理は来るんですが、そのあとの周期で生理が来なかったんです。

――家族や友人などに、自身の体のことを相談したりしましたか?

千種 私は、自分の体のことをまわりに相談するタイプではなかったので、そういった話は全然していなかったです。婦人科も自分で調べて受診したんですが、地元では有名な産婦人科で。でもあとあと考えると、そこは“お産”に力を入れていたところで、不妊とか若い世代の婦人疾患にはあまり強くない病院だったのかなと思います。

そのあと、青森への転勤が決まり、病院も変わりました。病院を変わると治療が一からになってしまうので、時間のロスも出てしまいました。そんな中でも、私自身は病院には行っているし、まだ20代前半でしたし、「大丈夫だろう」という風に思ってしまった部分はあります。何か明確な病名が告げられたわけでもないし…と。

もし「早発閉経」という症状を知っていたら、今ある未来は変わっていたのかな・・・と思うことも

自前のカメラで桜を撮影する千種さん。

――早発卵巣不全=早発閉経と診断されたときはどんな気持ちだったのでしょうか?

千種 24歳で婦人科に通い始めて、26歳の終わりごろに早発閉経の診断がつきました。ホットフラッシュが出てきて体がつらかったので、その理由がわかってようやくちゃんとした治療ができると、少しほっとした気持ちと、一方で自分の卵子での妊娠が難しいということがわかったときでもあったので、本当にいくつもの感情がありました。

病院に行っていたのになんでそういう診断をつけてくれなかったんだろう・・・というような、どこにもぶつけられないような、複雑な気持ちもありました。

以前通っていた病院では、ホルモン治療だけで終わっていて、それ以上の検査はなかったんです。この疾患は、AMHというホルモンの値を測る血液検査(AMH検査(卵巣予備能検査))でわかるものなのですが、早発閉経を疑わなければその検査ができないんです。私も当時、早発閉経という言葉を知らなかったので、もし知っていたら検査をお願いできていたと思います。

早発閉経については、原因の一つとしてわかっているのがターナー症候群(※)ですが、多くの場合原因はわかりません。私の早発閉経も原因はわかっていません。ほかの染色体が関係しているケースもあることもわかってきているそうですが、まだまだ研究途上の分野。研究者の先生も一生懸命取り組まれています。

※ターナー症候群…女性における性染色体の異常によって起こる病気

もっと自分の体のことやライフプランを、友だちや家族と話してみてほしい

――女性が当たり前に社会に出ていく現代で、どうしたらもっと自分の体に目を向けられるようになると思いますか?

千種 まず、将来自分が「いつごろ子どもがほしいか」「何人欲しいか」を考えてみることかなと思います。30歳を超えると妊娠率が下がっていくので、たくさん子どもが欲しいというほど、第1子を妊娠するタイミングが前倒しになっていきます。

若いと婦人科受診の経験はないと思いますが、思いきってまわりの人に話してみると、似たような女性特有の症状で悩んでいる人も実はいます。私も、自分の早発閉経ことを発信するようになってから、「実は私も不妊治療をしていた」と、話してくれる人が出てきたんです。

そうやって、自分の経験や思いが、悩んでいるだれかに届いて、直接反響が返ってくるのは、本当に大きな原動力になっています。できれば、悩んだりつらい思いをする前に、自分の体のことをもっと知ってほしいなと思います。

――自分の体のことを知るためのきっかけづくりとしての活動を具体的に教えてください。

千種 大妻女子大学の、大妻マネジメントアカデミーで講師をやらせていただいています。テーマはまさに先に話した「自分のライフプランを考える」というもので、「何歳で子どもが欲しい?人数は?」とか。視覚的にわかるように年表を作ってもらう授業をしました。選択制でいろんな学年の学生が受講してくださいました。

今は、20年前とかに比べて、性教育に対する意識もまったく違います。以前は、話すこともタブーという雰囲気があったと思うのですが、今はその空気もどんどん変わってきています。それこそ、男性向けの生理の本が売れたりとか、「話していこう」という意識に変わってきていますよね。話すためにはまず「知る」ことから始めなきゃいけないので、自分の体を知るきっかけになるといいなと思っています。

お話/千種ゆり子さん 取材・文/たまひよONLINE編集部

まわりの人たちに自分と同じような経験をしてほしくないという思いで、「どうやったらもっと多くの人に自分の体に興味を持ってもらえるか」を考えていった結果、「伝えていく」ことを選んだ千種さん。現在は、キャスターという持ち前の「伝える力」を最大限生かし、現在映画制作にも取り組んでいるそう。ひとごとでなく、自分事として考えてもらうには…と考え続ける千種さんの強い思いを感じました。

千種ゆり子さん(ちくさゆりこ)

PROFILE
脱炭素キャスター、気象予報士、防災士、富士見市PR 大使。1988 年 3 月 23 生まれ。埼玉県富士見市出身。一橋大学法学部を卒業後、一般企業に就職。幼少期に阪神淡路大震災で被災したこと、東日本大震災をきっかけに防災の道に進むことを決意。2013 年に気象予報士資格取得。 NHK 青森を経て、テレビ朝日「スーパー J チャンネル(土日)」や、 TBS 「 THE TIME, 」に出演。2021 年より東京大学大学院に進学し、地球温暖化と世論について研究。26歳のときに難治性の不妊症である早発閉経と診断され、経験を語る活動も行っている。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年1月17日の情報であり、現在と異なる場合があります。

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