お正月のごちそうで気になるメニュー「妊娠中、これは食べても大丈夫?」【産婦人科医・管理栄養士監修】
イベントの多い年末年始は、この時季ならではのごちそうがいっぱい。
でも妊娠中となると、食べないほうがよかったり、食べる量に注意したいメニューも…。我慢ばかりはつらいから、正しい食べ方をチェックして、年末年始を楽しく過ごしましょう!大晦日~お正月のごちそうで食べがちなメニューについてまとめました。妊娠中のママだけでなく、パパやお友だちなど、身近に妊婦さんがいる人もぜひ確認してみてください。
お正月の食事でありがちシーン 、どう乗りきる?
お正月にありがちな食事のシチュエーション、今までどおりに過ごして大丈夫なの?
妊娠中のイベントをどう乗りきるか、シーン別にテクニックを伝授します!
シーン1 実家に行ったらおせちやおすしがいっぱい!
おせちは日もちしやすいように、塩分・糖分が多く入っています。食べすぎないように注意して。また、おすしは生ものなうえに、魚介類に含まれる水銀量も気になるところ。卵や蒸しえびなど、加熱してあるものを選ぶのもおすすめです。
シーン2 お雑煮、焼きもち…お正月はおもち祭り
おもちは1個でも高カロリー。きな粉やあんこなどの糖分も組み合わさると、血糖値上昇の心配も
出てきます。できるだけたくさん食べないように気をつけて。いろんな味を食べたいときは、1個を切り分けて楽しむようにしましょう。
シーン3 こたつでダラダラお菓子やみかんを食べちゃう!
お菓子や果物は糖分が多いので、たくさん食べ続けるのはNG。手に取れるところにあると、つい食べてしまうから、手が届く範囲に食べ物を置かないようにして、お菓子の買い置きも控えましょう。食べるときは、量と時間を決めて。
妊娠中とくに注意したいポイントは4つ!
妊娠中の食生活でとくに気をつけたいポイントは以下の4つ。年末年始に限らず、毎日の食事でも注意しましょう。
【塩分】とりすぎは妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)のリスクも
【生もの】加熱していないと菌が潜んでいるかも!
【アルコール】胎児の成長に影響が出る可能性が
【高カロリー】体重の急激な増加に直結!
【ほかにも】
妊娠中はカフェインやハーブ、魚に含まれる水銀や海藻に含まれるヨード、妊娠初期にはビタミンAの過剰摂取などに注意が必要です。
とはいえ怖がり過ぎる必要はないので、ひとつのものに偏らず、いろいろなものからバランスよく栄養を取るようにしましょう。
大晦日~お正月に 食べがちな注意メニュー
年末年始の食事は、年越しそばやおせち料理など、いつもの食事より塩分が高めになりがち。
気をつけたいメニューが多いので、チェックして上手に食べましょう。
まぐろ・金目鯛・めかじき
●注意ポイント/水銀
●食べるなら/1 週間に1 回80gまで(ミナミマグロは週2 回まで)
大型の回遊魚は水銀を多く含むため、たくさん食べるのはNG。胎児は水銀を排出できないので、母体の過剰摂取は胎児の中枢神経に影響を及ぼす恐れあり。
刺し身・すし
●注意ポイント/生もの、水銀
●食べるなら/新鮮なものを週に1 回程度
妊娠中、生魚は避けたほうが無難ですが、食べるなら鮮度のいいものを選び、食べすぎないようにして。まぐろなど、水銀を多く含むネタには注意が必要です。
刺し身・すし
●注意ポイント/生もの、水銀
●食べるなら/新鮮なものを週に1 回程度
妊娠中、生魚は避けたほうが無難ですが、食べるなら鮮度のいいものを選び、食べすぎないようにして。まぐろなど、水銀を多く含むネタには注意が必要です。
しめさば
●注意ポイント/生もの
●食べるなら/新鮮なものを週に1 回か加熱したものにして
青魚は水銀量が低く、通常量を食べても問題ありません。ただ、酢でしめても殺菌作用はないので、新鮮なものを週に1 回程度か、加熱して食べて。
イクラ・明太子
●注意ポイント/生もの、塩分
●食べるなら/新鮮なものを1口程度に
どちらも生で食べると、リステリア菌への感染が心配な食材。明太子は加熱して食べたほうが◎。また、塩分も多いので、食べすぎにも注意が必要。
かにみそ
●注意ポイント/生もの、その他
●食べるなら/週に1度1口程度まで
甲殻類の内臓には、有害金属のカドミウムが多く含まれている恐れがあります。ほかにも、ダイオキシンなど汚染物質も含まれている場合があるので、少量に。
おでん
●注意ポイント/高カロリー、塩分
●食べるなら/野菜を多めに練りものは少量が◎
練り製品は、塩分やカロリーが高く、添加物も気になるので、食べすぎには注意。大根やしらたきは食物繊維が多く含まれているので、妊娠中にもおすすめ。
ラーメン
●注意ポイント/高カロリー、塩分
●食べるなら/野菜を多めに、スープは残して
塩分もカロリーも高いメニュー。スープを残すことで、塩分を控えて。脂が多いチャーシューは食べすぎに注意。野菜以外のトッピングは、ゆで卵やわかめが〇。
年越しそば
●注意ポイント/塩分
●食べるなら/つゆは残して深夜を避けること
大みそかの深夜に食べる家庭も多いですが、遅い時間の飲食は胃腸に負担がかかります。できれば、夕食の時間までに食べるのがいいでしょう。
天ぷら
●注意ポイント/高カロリー、塩分
●食べるなら/副菜とともに4 ~ 5 品まで
油を多く使用しているので、食べすぎには注意。しかし、具材は低カロリーなものも多いので、少量を食べる程度なら問題ありません。つゆや塩は控えめに。
うな重
●注意ポイント/高カロリー、ビタミンA(妊娠初期)
●食べるなら/うなぎは40~50gまで
うなぎにはビタミンA(レチノール)が多く含まれ、脂質も高め。たまに食べる程度なら大丈夫ですが、とくに妊娠初期は続けて食べないようにしましょう。
ちらしずし
●注意ポイント/生もの、高カロリー
●食べるなら/具材をたっぷりにして酢めしは控えめに
酢めしは、砂糖が多く入っている場合もあるので、食べすぎると糖質過多になる恐れが。砂糖を控えめにする、具材を多めにするなど、手作りで工夫すると◎。
お雑煮・焼きもち
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/野菜を多めに、おもちは1 個まで
おもちは1 個でも高カロリーなので食べすぎ注意。お雑煮は、おもち以外の具材を多くするようにしましょう。つゆは塩分が気になるので薄味を意識して。
スモークサーモン
●注意ポイント/生もの
●食べるなら/新鮮なものか加熱したものに
燻製(くんせい)は加熱されていると思いがちですが、十分に火が通っていないため、リステリア菌が心配。リステリア菌は低温にも強いため、冷蔵庫内でも増殖します。
だて巻き
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/糖分が多いので1 ~ 2 切れ程度に
だて巻きは、練り製品の中でも、カロリーと糖分が高いメニュー。1 切れで約50kcalもあるので、食べすぎると体重の急増につながる恐れがあります。
田作り
●注意ポイント/高カロリー、塩分
●食べるなら/塩分、糖分が高め。1 ~ 2 口程度に
妊婦さんに必要なDHAやカルシウムが豊富ないわしを使っています。でも、砂糖としょうゆで煮からめているので、糖分も塩分も高めです。食べすぎには注意。
かずのこ
●注意ポイント/生もの、塩分
●食べるなら/体調がいいときに1 ~ 2 口程度
にしんの卵を干したもので、塩漬けされていることが多いです。塩分が高く、食べすぎには注意。生ものなので、食べるなら体調がいいときに、少量にして。
紅白かまぼこ
●注意ポイント/塩分
●食べるなら/1 ~ 2 切れ程度まで。ゆでると◎
製造工程で塩分を多く使うので、食べすぎには注意。ゆでこぼしてから食べると、塩分を減らすことができます。しょうゆはつけずに、そのまま食べましょう。
お煮しめ
●注意ポイント/高カロリー、塩分
●食べるなら/少量なら問題なし。食べすぎに注意して
食材自体はヘルシーですが、砂糖としょうゆを使った煮汁をじっくりしみ込ませているので、糖分と塩分は高め。油断して食べすぎないように注意しましょう。
紅白なます
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/意外と味つけ濃いめ。1 ~ 2 口程度に
すごくカロリーが高いというわけではありませんが、意外と味つけが濃いものも。砂糖を使っているので、食べすぎには注意。砂糖を減らして手作りしても◎。
昆布巻き
●注意ポイント/ヨウ素
●食べるなら/ヨウ素を含むので1 ~ 2 口程度まで
昆布は、赤ちゃんの甲状腺に影響があるといわれるヨウ素を多く含みます。とくに妊娠初期は、少量にとどめるのがベター。また、続けて食べないようにして。
たたきごぼう
●注意ポイント/塩分
●食べるなら/1 ~ 2 口程度。薄味を選んで
ごぼうは食物繊維を多く含む食材ですが、味つけによっては、塩分と糖分が多くなる場合も。薄味のものを選ぶか手作りにして、食べる量にも注意しましょう。
ローストビーフ
●注意ポイント/生もの、高カロリー
●食べるなら/しっかり加熱してから
生肉はトキソプラズマやリステリア菌に感染する恐れがあるので、中までしっかり火を通しましょう。外食時にも注意して。また、脂身は食べすぎないように。
おしるこ・ぜんざい
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/1 杯まで。おもちなら1 個、白玉なら5 ~ 6 個まで
とくに、おもちや白玉だんごの量に注意。あんこは砂糖をたくさん使っているので、糖質過多にならないように気をつけて。おなかいっぱい食べるのは控えましょう。
栗きんとん
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/デザートとして1~2口程度
栗きんとんは砂糖をたくさん使っていて、食べすぎには注意が必要です。デザートの位置づけで、少量をつまむ程度にするか、手作りして砂糖を控えめに。
黒豆
●注意ポイント/高カロリー
●食べるなら/糖分はかなり高め。1 ~ 2口程度に
おせちの黒豆は砂糖を多く使っていて、糖分がとても高い上、黒豆自体もカロリーは高め。少量にとどめておかないと、すぐにカロリーオーバーになります。
甘酒
●注意ポイント/アルコール
●飲むなら/原料が米こうじのものを1 日1杯程度
酒かすが原料の甘酒は、アルコール成分を含むので避けましょう。米こうじが原料のものを選ぶように注意して。糖度が高いので、1 日1 杯程度が目安です。
日本酒・おとそ
●注意ポイント/アルコール
●飲むなら/ノンアルコールにするか口をつける程度に
日本酒にもノンアルコールのものがあります。おとそは、みりんと日本酒で造られています。縁起物ではありますが、妊娠中なので遠慮するのがベターです。
監修/佐藤雄一先生(産婦人科医)、水出恵子さん(管理栄養士) 取材・文/たまひよONLINE編集部
妊娠中の年末年始は、大晦日もお正月も、おなかの赤ちゃんと過ごすスペシャルイベントですね。妊婦だからと何でもあきらめる必要はないので、注意ポイントをしっかり押さえて、楽しく過ごしましょう!
佐藤雄一先生(さとうゆういち)
PROFILE
産科婦人科舘出張 佐藤病院院長 群馬県高崎市の歴史ある産婦人科医院。女性の生涯にわたる専門病院として、各年代における心と体の変化をサポートしています。
産科婦人科舘出張 佐藤病院
参考/日本人の食事摂取基準(2025年版)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
●掲載している情報は2024年12月現在のものです。