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産後のママを支援するために社会が動き始めている!~産後ケア学会リポート~

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alenaZ0509/gettyimages

「産前産後ケア」って、知っていますか? 妊娠中のマイナートラブルの軽減や、産後の母体の回復、育児サポートなど、あらゆる側面からママと赤ちゃんをサポートすることを産前産後ケアといい、その拠点となるのが、最近少しずつ増えている「産前産後ケアセンター」です。
先日、産婦人科医や助産師さんたちが中心となり「日本産前産後ケア・子育て支援学会」が設立され、第1回目の学会が開催されました。
以前も学会の内容をこちらの記事でリポートしましたが、今回は産後のために、妊娠中のママが知っておきたい情報にスポットあててお伝えします。

第1弾リポートはこちら→産後ケアの普及を訴える学会がスタート。女優・小雪さんも講演

産前産後ケアセンターは「宿泊」「日帰り」「訪問」の3タイプ

まず初めに、学会の立ち上げに積極的だった今回の大会長・松峯寿美医師は、会長講演で産婦人科医の立場から、「今なぜ産後ケアなのか。産後ケアを日本の文化に」と述べられました。また、厚生労働省子ども家庭局母子保健課長・北澤潤氏が、産前産後ケア事業が導入されるまでの流れと今後の取り組みについて解説してくれました。

産前産後ケアセンターは病院、産婦人科クリニック、助産院などが運営し、「宿泊型」、「日帰り型」のデイサービス、家庭に訪問する「アウトリーチ型」の3タイプの利用法があります。対象となるのは、主に産後4カ月までの母子です。
厚生労働省が2014年にモデル事業を開始した当初は、全国1700市町村のうち、わずか29市町村でしたが、2016年度には179市町村になり、現在では182市町村で実施されています。

「2011年度のアンケートでは、30~40%のママたちから『社会が子育てに無関心と感じている』という回答が寄せられました。子育て世代の不安を軽減するためにも、妊娠・出産~生後3才まで、‟切れめのない継続的な支援”をめざしたいと考えています」(北澤氏)。

自治体の補助があれば、1割負担で利用できるケースが多い

「産前産後ケアセンター」の利用料金は保険適用外。料金設定は施設によって異なりますが、自治体が補助している場合は1割程度の負担額で利用できるケースが増えています。東京都江東区の「産前産後ケアセンター東峯サライ」では、区民は1日5~7時間のデイケア利用を3000円で、1泊2日の宿泊利用を1万2000円、3泊4日を2万4000円で利用できます。
各施設で、アロママッサージ、エクササイズ、骨盤底筋ケアなど、さまざまなプログラムを取り入れており、それらはオプションとして別途料金がかかります。

小雪さんの、フィトテラピー(植物療法)による産後ケア体験

女優の小雪さんと、植物療法士の森田敦子さんの「産後ケア対談」では、「1人目の産後に疲労した経験から、2人目と3人目は産後ケアを重視した」という小雪さんの体験を聞くことができました。
森田さんのサポートのもと、植物療法による産後ケアを実践した小雪さん。中でも、よもぎ湿布や、真正ラベンダー、アプリコットカーネルオイルを使ったケアが効果的と感じたそうです。

「産前産後の体のケアをポジティブに、楽しく続けていたことが、ママになっても変わらない美しさを保つ秘訣(ひけつ)だったのですね」と、第1回学会大会長を務めた東峯婦人クリニック院長・松峯寿美先生。

「皮膚に塗布できる専用のよもぎの粉をペースト状にして、ガーゼに塗って会陰(えいん)の傷を癒やす‟よもぎ湿布”を試したり、オーガニックの真正ラベンダーオイルをよもぎ湿布に混ぜて使ったら、止血効果や抗炎症作用が実感できたというお話が印象的でした。また、産前にあんずの種子が原料のオイルでマッサージしたら、会陰が柔軟になって分娩がスムーズになったとうかがって、命のもととなる種子のオイルと、命を守りはぐくむ生殖器の粘膜との相性がいいというのは、興味深いと思いました」(松峯先生)。

孤独な育児は、心と体の不調を招きがち。第三者のサポートが重要

シンポジウムでは「孤独な育児に陥るママたちをサポートしたい」「産後うつをなくしたい」など、産婦人科医や助産師さんたちから熱い思いが語られました。

2人の女の子のママでもあるポートサイド女性総合クリニックビバリータ院長・清水なほみ先生は、

「多くの人が‟ジェンダーバイアス(男女の役割について固定的な観念を持つこと)”に縛られて、『私は母親だから、育児も家事も頑張らなくては』と、自分自身を追い込んでしまっているように感じます。産後うつなどの不調を予防するには『女性はこうあるべき』という足かせをとりのぞくことが大事。夫や家族を教育する第三者を派遣するなどのケアも今後は必要ですね」。

産前産後の家事代行会社を運営し、子育て中のパパでもある渡邊大地さんからも、

「最近では、産後のサポートにまじめに取り組む夫が産後うつに陥るケースが少なくないんです。家庭内に他人を入れたくないと考える人もいますが、第三者の支援がカギになると思います」とお話がありました。‟産後の子育て家庭を孤立させない支援”が今後の課題となっています。

関連:【助産師が解説】「産後うつ」と「産後のマタニティブルーズ」はどう違う?

産前産後ケアセンターでは、母体の不調や心の悩みの相談、おっぱいケア、赤ちゃんのお世話のナビゲーション、ママの休息のサポートなど、さまざまな角度からママと赤ちゃんのケアを行っています。心身ともに消耗する産後は、不安を抱え込まないことが大切。妊娠がわかったら、近隣の「産前産後ケアセンター」の情報を早めに調べておくと安心ですね。(監修/東峯婦人クリニック名誉院長・松峯寿美先生 文/たまごクラブ編集部 ライター大石久恵)

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