妊娠中の歯周病で早産のリスクが増すって本当!?
妊娠中は、虫歯や歯周病などが起こりやすくなります。しかも、これらのトラブルは赤ちゃんに影響することもわかっています。妊娠中に歯科受診をして、正しくセルフケアすることが大切です。そこで、マタニティ歯科外来の歯医者さんと歯科衛生士さんに、受診の注意点やセルフケアについて、詳しく教えてもらいました。
どうして妊娠中のお口ケアが大切なの?
「つわりなどの影響で歯磨きを怠って、口腔(こうくう)内の環境が悪くなると悪玉微生物が増え、虫歯や歯周病を引き起こします。中でも、重度の歯周病の場合につくられる炎症性物質は、子宮を収縮させる物質と同じものが含まれることがわかっており、早産のリスクが髙くなります。羊水(ようすい)中に歯周病菌が移行すると、おなかの赤ちゃんの発達が阻害される恐れも。
一方、虫歯はおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはなく、赤ちゃんは虫歯菌ゼロで生まれてきます。ただし、ママやパパに虫歯があると、産後、虫歯菌が唾液(だえき)を介して感染するため、赤ちゃんが虫歯に感染する確率が高くなるのです」(代田先生)
こんな症状が見られたら要注意!
□口の中がネバネバする
□口臭が気になる
□歯を磨くと出血する
□歯ぐきが赤く腫(は)れるている
→以上4つは、歯周病の可能性があります
□歯が部分的に茶色い、黒い
□甘いもの、冷たいものがしみる
□デンタルフロスを使うとき、スムーズにできない
→以上3つは虫歯の可能性があります
妊娠時期別の歯科受診のポイント
妊娠時期に合わせて、歯科を受診するときに気をつけたいこと、セルフケアのコツを、歯医者さんと歯科衛生士さんがアドバイスします。
【妊娠初期】体調のよいときに早めに歯科受診を!
「妊娠初期はつわりなどで、なかなか思うように外出できないことが多いですが、なるべく早めの受診がおすすめです。口腔(こうくう)内をチェックして、無理のない治療計画を立てることができます。体調がいいときに、必ず妊娠していることを伝えて受診しましょう」(代田先生・以下同)
【妊娠中期】歯科治療をしやすい時期
「妊娠中のどの時期に歯科治療を行っても問題はありませんが、妊娠16週以降であれば歯科医も積極的に治療できます。妊娠16~27週くらいまでは負担も少ないので、とくに受診におすすめの時期」
【妊娠後期】姿勢がつらいときは遠慮せず伝えて
「治療中に姿勢がつらく感じたり、気分が悪くなったりしたときは遠慮せず、すぐに伝えるようにしましょう。いすの角度を調節できる上に、場合によっては横向きの体勢や、短時間での治療も可能です」
正しい歯磨きの方法を再確認しよう!
虫歯や歯周病を予防するためには、正しいケア方法も大切です。汚れをきちんと落とす歯磨きの方法を、歯科衛生士・松澤さんに伺いました。
1.順番を決めて、一筆書きのイメージで
上の歯の外側→上の歯の内側→下の歯の内側→下の歯の外側、というように磨く順番を決めて、一筆書きをするイメージで磨くのがベスト。少しずつずらしながら磨いていくと、磨き残しを防ぐことができます。
2.歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当てて小刻みに
歯磨き粉はフッ素の効果を生かすため、歯ブラシのヘッドの端から端まで塗ります。歯と歯ぐきの間にブラシを当て、小刻みに動かします。ブラシを強く当てると、毛束の中央でこすることになり上手に磨けないのでNG。
3.前歯の裏側は歯ブラシの先または後ろで
歯の裏側はとくに念入りに。奥歯はブラシを横に、前歯はブラシを縦に当てて、汚れをかき出すように。前歯の裏側は歯ブラシの先または後ろで磨きましょう。
4.磨き残しがないかチェック!
歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間は磨き残しの多い場所。さらに、上の奥歯の外側や下の歯の内側も磨き残しやすいので要注意です。舌で歯を触ってツルツルになっているか確認して、磨き残しがないかチェックを。
きちんとケアできていると思っていても、知らないうちに虫歯や歯周病になっている可能性も。おなかの赤ちゃんのためにも、妊娠中に歯科を受診しましょう!(文・たまごクラブ編集部)
■監修/日本歯科大学附属病院マタニティ歯科外来
歯科衛生士 松澤澄枝さん
■参考:『たまごクラブ』2018年6月号「赤ちゃんをリスクから守るニンプのお口ケア」