【医師監修】双子の帝王切開、手術はいつ?赤ちゃんとすぐ会える?気になる疑問に産婦人科医が回答
双子出産は帝王切開になる場合がほとんどなので、予習は必須! ただ、帝王切開手術に関する一般的な知識は得られても、双子ならではの違いがあるのか、気になるママも多いのでは?そんなママたちの素朴な疑問に、産婦人科医の北島米夫先生がズバリお答えします!
双子の帝王切開―基礎知識編
Q 双子の場合、帝王切開になる確率はどのくらい?
A ほとんど予定帝王切開になるでしょう
経腟(けいちつ)分娩をするには、双子の発育具合や胎位(たいい)、ママの健康状態など、複数の条件がそろわなければいけません。母子共に問題がなく、赤ちゃんが頭位(とうい)の場合、NICU(新生児集中治療室)のある病院であれば経腟分娩できることもありますが、ほとんどは予定帝王切開でしょう。
Q 双子だと何週くらいで帝王切開するのが一般的?
A 妊娠37週ごろが多いでしょう
妊娠経過が順調であれば、妊娠37週ごろに手術日を設定することが多いでしょう。ただし、双子の場合、切迫早産(せっぱくそうざん)や胎児の発育状況などによって、37週まで待てないこともよくあります。また、破水・陣痛スタート、さかごなどの理由で、緊急帝王切開になることも。
Q 手術の際、おなかは縦と横どちらに切る?
A 最近は、横のほうが若干多いようです
横だと、おなかのしわなどに隠れて傷口は目立ちにくくなるので、最近は横に切るほうが若干多いようです。しかし、縦切りには、横切りよりも短時間に開腹できるというメリットがあります。そのため、緊急性のある場合は、縦に切ることが多いでしょう。
双子の帝王切開―双子ならではの質問編
Q 双子だと、手術の麻酔は増えるの?
A 使用する麻酔の量は単胎出産と同じです
麻酔はおなかの赤ちゃんに対してではなく、ママに対して使用します。ですから、「双子だから麻酔がききにくい」ということはありません。麻酔の方法も使用量も、単胎出産と何も変わりません。さらにいえば、帝王切開手術の手順は、単胎も多胎もまったく同じです。
Q 双子だと手術時間は長くなるの?
A 単胎の場合とほとんど変わりません
おなかを切開してから赤ちゃん1人を取り出すまで、5分もかかりません。双子の場合は、1人取り出したあとに、続けてもう1人も取り出します。その後の処置も単胎と変わらないので、手術時間はほぼ同じです。
Q 双子だと、おなかを大きく切るの?
A 切る長さは、単胎も双子も10㎝くらいです
赤ちゃんは、1人ずつ順番にママのおなかから取り出します。だから、切る範囲は赤ちゃん1人が取り出せるサイズで十分です。単胎でも多胎でも、縦か横に10㎝ほど切ることになります。
Q 2人いると取り出すのは難しい?
A 双子だから難しいということはありません
双子だと経腟分娩は難しくなりますが、帝王切開に関しては単胎と変わりません。単胎の手術で取り出すのと同じ要領で、2人続けて取り出します。経腟分娩よりも帝王切開のほうがリスクが低くなるからこそ、双子は帝王切開での出産が多くなるのです。
Q 双子だと出血量は多くなるの?
A 出血は多くなる傾向があります
2人の赤ちゃんが入っていた子宮は伸びきっているので、単胎に比べて、産後の子宮収縮は弱くなりがちです。そのため、出血は多くなる傾向に。子宮の戻りを早めるために子宮収縮剤を投与されますが、それでも、単胎の場合よりも100~200ml出血が多くなるでしょう。
Q 先に取り上げたほうがきょうだいで上の子になるの?
A 先に出てきたほうが兄・姉になります
昔は、「双子は、あとに出てきたほうが兄・姉」という風習の地域もあったようですが、現代は戸籍法によって、先に生まれたほうが兄・姉になります。これは、経腟分娩でも帝王切開でも同じです。
Q 手術台の上で誕生直後の赤ちゃんと対面できる?
A 緊急でなければ、対面できるでしょう
どの程度、対面できるのかは、病院の方針によりますが、たいていは近くに赤ちゃんを連れてきてくれるでしょう。ただし、小さく生まれた赤ちゃんは体の機能が未熟なので、急いで保育器に入れる必要があります。その場合、チラッとしか見られないことも。
双子の帝王切開―産後編
Q 双子だとすぐに母子同室は無理?
いつから可能?
A 健康状態がよければ翌日より可能です
病院の方針にもよりますが、母子共に産後の経過が良好な場合は、翌日からでも同室は可能です。同室だからといって、ママが赤ちゃんのお世話をすべてやらなければいけないわけではありません。また、赤ちゃんを1人ずつ交代で同室にする方法もあります。
Q どのくらいの大きさだと赤ちゃんがNICUに入るの?
A 大きさだけでなく、週数にもよります
赤ちゃんの体重が2300g未満であれば、NICUに入ることが多いでしょう。ただし、体重だけでなく、生まれた週数も判断材料になります。たとえ体が大きくても、体の機能が未熟な場合は、ある程度発達するまでNICUで育てる必要があるからです。
Q 小さく生まれた場合、どれくらいで
退院できるの?
A 体の機能の発達を見て退院日を決めます
赤ちゃんの体の機能が、37週ごろに生まれた赤ちゃんと同程度になったころが、1つの目安。ただし、退院時期は病院の方針によっても異なります。赤ちゃんが2500g未満でも、医師が大丈夫だと判断した場合は、退院になることもあります。
Q 双子を帝王切開で出産したあと、入院中に心がけることは?
A 少しでも双子育児に慣れておきましょう
退院後は、双子の育児に追われる日々が待ち構えています。助産師さんが近くにいる入院中に、双子育児のウオーミングアップをしておきましょう。ただし、ママ1人でなんでもしなきゃ!なんて、思わずに。パパや親きょうだいに頼ることにも慣れていって。
双子の場合、「少し早めの週数で帝王切開手術になることが多い」、「出血量が多め」。この2点が、単胎との大きな違いです。出血への備えもした上で手術するので、心配いりません。帝王切開は安全に生むためなので、安心してお産に臨みましょう。(文・たまごクラブ編集部)
初回公開日 2018/10/14
■参考:『たまごクラブ』2018年8月号「双子CLUB」より
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