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知っておきたい! 切迫早産のポイント

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早産になると、赤ちゃんにトラブルが生じるリスクが高くなります。でも、切迫早産・早産は、治療やママの心がけで防げることも多いのです。切迫早産・早産の原因は何か、どうしたら防げるのかを産婦人科医の新村朋美先生に伺いました。知っておきたいポイントをおさえて、元気な赤ちゃんを迎えましょう。

関連:【切迫早産】5人に1人が経験!妊娠22週以前のプレママは絶対に見て!

切迫早産ってどういう状態?

妊娠22週以降から37週未満の分娩のことを「早産」といいます。早産の原因は、ママの感染症が一番多く、早期発見と早期治療で防ぐことができます。

「切迫早産」って?

妊娠22週~36週に、おなかの張り(子宮収縮)を自覚したり、出血、破水がみられ、子宮の出口である子宮頸管が短くなったり開いてきて「早産に進む可能性がある状態」のことを「切迫早産」といいます。たまごクラブのアンケートではママの19%※が経験したというデータも。妊娠37週未満で生まれると「早産」になり、赤ちゃんの身体が十分に成長していないため、赤ちゃんの体に負担がかかるだけでなく、障害や後遺症が生じるリスクが高くなります。
※たまごクラブ特別編集「最新 月数ごとに見てわかる! 妊娠・出産新百科mini」先輩ママ278人DATAより

原因は? いちばんはママの感染症

早産の一歩手前の状態が「切迫早産」。「早産」の原因は、ママ側にある場合と赤ちゃん側にある場合があります。

<早産の原因>
・ママの感染症「絨毛膜羊膜炎」
一番多いのはママの感染症。ママの細菌感染は、まず腟で起こり「細菌性腟症」に。その感染が子宮頸管まで到達して「頸管炎(けいかんえん)」になります。ここまでは自覚症状がないこともありますが、炎症が赤ちゃんを包む膜である卵膜の羊膜と絨毛膜に達すると「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」となり、前期破水やおなかのはりやおりものの変化など、多くの場合は自覚症状を伴ってきます。絨毛膜羊膜炎に進んでからでは早産になる可能性が高くなり、子宮口がやわらかく開いてしまったり、破水が起こったりします。さらに進行すると羊水や赤ちゃんに感染がおこることもあり、早期発見・早期治療が大切です。

【絨毛膜羊膜炎になるまで】
細菌性腟症 腟で細菌感染による炎症が起こる
↓感染が子宮の入口まで進む
頸管炎
↓感染が赤ちゃんを包む膜である卵膜(絨毛膜・羊膜)まで達する
絨毛膜羊膜炎 破水、腹痛、おりものの変化など

・子宮頸管無力

腟と子宮をつなぐ「子宮頸管」が、子宮が収縮していないのに短くなったり子宮口が開いたりしてしまう病気。自覚症状はありません。子宮頸管は通常閉じていますが、子宮頸管の閉じている部分(頸管長)が短くなると、早産になりやすくなります。妊娠20~24週の頸管長は通常35~45mm程度ありますが、頸管長が25mm未満で早産のリスクは通常の6倍以上、20mm未満になると75%のママが早産になるとも言われています。

・妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降、高血圧や尿タンパクの数値が高くなると、胎盤の機能が低下するため、おなかの中から出したほうが赤ちゃんの成長によいと医師が判断した場合は、帝王切開で人工的早産にする場合もあります。

・他にママ側や胎盤の原因
高年妊娠、円錐切除後、子宮筋腫、子宮奇形、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、飲酒、喫煙など

・他に赤ちゃん側の原因
多胎、羊水過多・過少、胎児機能不全、子宮内胎児発育遅延、胎児奇形(胎児形態異常)など

こんな症状があったら受診を

以下の症状があったら、次の妊婦健診を待たずに産院を受診して。緊急度の高い症状のときは、診療時間外でも産院に連絡して急行しましょう。

※画像クリックで拡大表示可

産院に連絡するとき伝えること

・妊娠の週数
・その症状がいつから出ているか
・(おなかの張りの場合)痛みの強さや持続時間(「15分おきに張る」「座っていられないほどの痛みが30分以上続いている」など)、いつもの張りとの違い(「いつもなら横になればすぐ治まるのに治まらない」など)
・他の症状(出血の量・色、おりものの変化、胎動が減ったなど)

そのとき、赤ちゃんは苦しいの?

おなかが張ったり胎盤の近くで出血すると、赤ちゃんへの血流が悪くなり、赤ちゃんにストレスがかかることがあるかもしれません。でも、一時的なら赤ちゃんの成長に悪影響はないので心配しないで。
ただ、妊娠高血圧症候群や胎児機能不全など、早産のリスクが高くなる病気は赤ちゃんの成長を妨げる場合があります。きちんとした検査や治療を受けましょう。

切迫早産と診断されたら

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切迫早産は、薬を使いながら自宅安静や入院安静で治療をしていきます。目指すは妊娠37週! 妊娠34週を過ぎれば赤ちゃんが元気に生まれてくる可能性が高くなります。

どんな治療をするの?

子宮収縮を抑える薬(通称「張り止め」)を飲んだり、子宮口の炎症を抑える薬や抗菌薬を腟内に使用したりします。子宮収縮が軽く子宮口があまり開いていない場合は外来通院、子宮収縮が強く子宮口の開きが進んでいる場合は、入院して点滴治療をします。
それでも子宮口の開きが止まらない場合は、子宮頸管の出口をしばる子宮頸管縫縮術をしたり、早産に備えてステロイドで赤ちゃんの肺や消化管の成熟を促すこともあります。
妊娠34週未満で破水した場合は、抗菌薬で赤ちゃんの感染を抑えながら入院安静に。妊娠34週以降ならそのまま出産する場合もあります。
赤ちゃんや母体の状態によっては、帝王切開など人工的に早産にする場合もあります。

目指すは正期産の妊娠37週

現在の日本の医療では、妊娠22週~24週で早産になっても4割以上は救命できますが、後遺症がないような生存が見込めるのは妊娠28週以降です。28週以降でも32週未満は、赤ちゃんの脳内出血、未熟児網膜症、呼吸器不全、黄疸などのリスクが高くなります。妊娠34週を過ぎると赤ちゃんの肺の成熟が進み、生まれたあと大きなサポートがいらないことが多くなります。切迫早産と診断されたら、まずは28週、32週、34週、そして正期産の37週をめざしてがんばりましょう。

どんな薬が処方される?

通院治療の場合は、主に「張り止め」といわれる子宮収縮を抑える飲み薬が処方されます。入院すると、張り止めや抗菌薬を点滴します。

薬の種類効果副作用
塩酸リトドリン子宮収縮を抑える(内服・点滴)ママの脈が速くなる、倦怠感、筋肉痛、肺水腫、横紋筋融解症など
硫酸マグネシウム子宮収縮を抑える(点滴)頭痛、腱反射低下、脱力感など
抗菌薬感染の治療(内服・点滴・腟剤)発疹、下痢、肝障害など
ステロイド赤ちゃんの肺の成熟を促す。赤ちゃんの脳室内出血や壊死性腸炎の予防となることも(ママに筋肉注射)ほとんどないが、感染の増強、高血糖、肺水腫(子宮収縮抑制剤との併用で)
ウリナスタチン子宮頸管熟化の予防(腟内の洗浄、腟剤)ほとんどなし
血圧降下剤血圧を下げて子宮収縮を抑える頭痛、顔のほてり、動悸など

自宅安静を指示されたら

「安静」といっても、日常と変わらない生活をしながら「疲れたら横になる」という軽いものから、入院安静に近いケースまで症状によって違うので、医師に確認して。

行動○×△ 
家事最小限に。立ちっぱなしは厳禁。トイレ掃除などおなかを圧迫する動きや、高いところに手を伸ばす姿勢も避けましょう。家事をせず横になっているよう指示される場合もあります
階段×陣痛の促進になるので、なるべくエレベーターやエスカレーターを使いましょう
外出・買い物×近所の買い物はOKの場合もありますが、ネットスーパーを活用するなど工夫して、不要・不急の外出は控えましょう
×振動が刺激になるので、不要・不急の運転・乗車は控えましょう
入浴体力を消耗するので、基本的にシャワーで済ませて
仕事×必要に応じて医師に診断書を書いてもらい休みましょう
上の子できるだけ家族やシッターなどのサポートを頼りましょう

入院安静になったら

早産のリスクが高いと入院安静になる場合もあります。症状が治まれば妊娠週数などを考慮して退院できますが、37週までは自宅安静になることが多いです。

行動○×△ 
読書・テレビ短時間ならベッドで本を読んだり音楽を聞くなどもOKですが、「疲れない程度に」が大切
見舞い客とおしゃべり気分転換は大切ですが、長時間のおしゃべりは疲れるので短時間に
歩く許可が出て歩く場合もトイレや洗面など必要最低限に。病院内を歩き回るのはNGです

双子・高年妊婦は特に注意

早産するリスクが高い人もいます。以下のママは、体の変化や出血・破水などにはとくに注意しながら経過をみましょう。

・双子・・・双子は1人を妊娠しているときより早産のリスクが高いので、早い段階から早産対策が必要です
・高年妊婦・・・35歳未満の妊婦と比べ、年齢が上がるとトラブルが起きやすいので注意が必要です
・前置胎盤・・・おなかが張りやすく大量出血すると、帝王切開などで人工的に早産にする場合もあります
・流産・早産経験がある人・・・流産・早産を繰り返す医学的根拠はありませんが、心配なら医師に相談しながら注意していきましょう

パパに知っておいてほしいこと

・セックスは、切迫早産と診断をされているときはNG。診断されていないママも、出血・腹痛があるときは控えて。ママのおなかを圧迫するような体位は避けましょう。また、精液には子宮収縮を促す成分が含まれているので、必ずコンドームを使用しましょう
・自宅安静の指示が出たら、家事や上の子の世話などをどうするか、パパが率先してママや周りの人と相談するようにしましょう。親きょうだいや家事代行サービスに頼る方法もあります。「みんなに悪いから」とママが無理をしてしまうことがないようにしてあげて。ママは不安で精神的にも負担が大きい時期。メンタル面からしっかり支えてあげましょう。

早産・切迫早産にならないために

Demka/gettyimages

・いちばん大切なのは、日ごろから無理のない妊娠生活を送ること。疲れて免疫力が下がらないように心がけましょう
・妊婦健診をきちんと受けましょう
・むやみに人ごみに出てウイルスに感染しないようにしましょう
・外陰部は清潔に保ち、排便時は前から後ろにふくように、温水洗浄器(使いすぎに注意!)も前から後ろへかけるようにしましょう
・口腔ケアをしましょう。歯周病菌があると切迫早産になりやすいという報告もあります。妊娠中はだ液の分泌が減り口腔環境が悪くなりやすいので、妊娠前より丁寧なケアを心がけて

切迫早産Q&A

Q:「おなかが張る」感覚がわかりません

A:人によって感じ方は違いますが、おなかが張ると、おなか全体がキュッと固くなり、丸くなります。目安は張っていない=二の腕のかたさ、張っている=力こぶの固さ。毎日おなかを触って、通常との違いに気づけるようにしておくと良いですね。

切迫早産・早産は、治療やママの心がけで防げることもあります。妊婦健診をきちんと受け、正しい知識で赤ちゃんとママ自身を守ってあげて。切迫早産と診断されたママは、元気な赤ちゃんに会えると信じて、1日でも長くおなかの中で赤ちゃんを育てられるよう頑張りましょう!
(文/大部陽子、たまごクラブ編集部 イラスト/永峰祐子)

監修/新村朋美先生(赤枝医院/日本産婦人科学会認定 専門医)

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