妊娠超初期~初期のつわり いつまで? この症状は異常? 正しい対処法は?
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妊娠とつわりはセットのような存在です。でも、つわりには注意したい妊娠悪阻(にんしんおそ)という病的な状態になる可能性もあります。つわりの主な症状や、症状をやわらげる対策、どんな状態なら受診すべきかなどについて、産婦人科医の長岡貞雄先生に教えていただきました。
つわりになる時期 いつ始まっていつ終わる?
つわりは、個人差がありますが、妊娠が判明して間もない妊娠5~6週で始まり、妊娠8~11週でピークを迎えることが多いようです。そして、胎盤が完成する妊娠16週ごろには症状が落ち着いてくる人がほとんど。ただ、ごくまれに妊娠後期、あるいは出産まで続いたりすることがあります。症状としては、吐きけやムカつき、何かを口にしていないと気持ちが悪い、唾液(だえき)が出る、眠いなど、さまざまです。
つわり対策レベル1 よくあるつわりのタイプと対処法、教えて!
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つわりの症状は、多岐にわたり、そして個人差もあります。また、日によって症状が違うこともあれば、1日のなかで症状が変わったりすることもあるので、よくあるつわりの症状と対策をチェックしておきましょう。
吐きづわり
つわりの代表的な症状です。吐くのを我慢するよりも吐いてしまったほうがスッキリします。野菜ジュースやフルーツジュースなど、吐いても気持ち悪さが軽減できそうなものをとってみてはどうでしょう。また、吐きづわりの場合は、水分不足になって脱水状態になるのが心配。一度にたくさん水分をとると吐きけがするときは、スプーン1杯ずつでもいいのでのどをうるおす感覚で水分の補給を。水を飲めないときは、スポーツドリンクを製氷材で凍らせて口に含んでみるのもいいでしょう。
食べづわり
空腹時に気持ち悪くなるのが食べづわり。食べられるものを小分けにし、1日のうちで食べる回数を増やして気持ち悪くなるのを防ぎましょう。一口大のおにぎり、小袋のクラッカーやクッキー、ひと口ゼリーなどを携帯し、いつでも食べられるようにしておくのもおすすめ。また、血糖値が下がるのも気持ち悪くなる一因なので、仕事中や、電車やバスの移動中など、すぐに食事がとれないときは、キャンディーを口に含むなどしましょう。起床時に気持ち悪くなることも多いので、一口大のおにぎりなど、就寝前に軽く食事をとるのもおすすめです。
においづわり
特定のにおいや、強いにおいをかぐと気持ち悪くなります。窓を閉めきっているとにおいがこもりがちなので、小まめに換気を。また、外の空気を吸うだけでもリフレッシュするので、オフィスでは、まめに外に出るなどしましょう。マスクをしたり、ミントガムをかんだり、柑橘系のにおいは気分がスッキリするという人も多いです。また、自分の好きな香りのアロマオイル(※)を利用してもいいでしょう。ティッシュに2~3滴たらしたり、アロマポットを利用したりして芳香浴を。好きな香りで包まれることでつわりを軽減できることもあります。
※妊娠中は、使ってはいけないアロマオイル(精油)と、使っていいアロマオイルがあります。また、妊娠時期によっても使えるものと使えないものがあるので、アロマオイルは、専門店の人に、妊娠中であることや、妊娠時期を伝えてから選んでください。
そのほかこんなつわりも
●唾液が多くなる
●ひどい眠けがある
●頭痛 など
唾液が多い人はミントガムをかんで気分をスッキリさせる、ひどい眠けがあるなら、5分でいいので寝る時間をつくる、頭痛ならスマホやパソコンの画面を見すぎないなど対策を。仕事をしているときは難しいこともあるでしょうが、自分なりに工夫し、職場の人たちにも協力してもらうといいでしょう。
つわり対策レベル2 注意! 医師に相談すべきつわりって?
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妊娠したからつわりはしかたないと思っていませんか? つわりは多くの妊婦さんが体験しますが、症状が悪化すると治療が必要になります。どんな状態が注意すべきなのかチェックしておきましょう。
妊娠悪阻(にんしんおそ)
水を飲んでも吐いてしまったり、食べ物がのどを通らなかったり、急激な体重の減少など、つわりの重症な症状を妊娠悪阻といいます。自分では大したことがないと思っていても、妊娠悪阻の状態になっていることもあるので、次の受診の目安を確認し、我慢しすぎず、心配なときは受診しましょう。
受診の目安
●体重が妊娠前より5%以上減った
●空腹感・満腹感を問わず、吐きけが起こり、水も飲めない
●排尿の回数が減る
●吐いたものに胆汁や血液が混じる
●めまいや頭痛があり、ふらつく
治療方法
エネルギー補給のために、ビタミン類やブドウ糖の入った点滴をします。通院して外来で点滴を受けることも可能ですが、状態がひどい場合は、入院し、1日かけて点滴治療に。また、ストレスも影響することが考えられるため、入院したほうがいいと判断されることもあります。
回復・退院の目安
妊娠悪阻の判断材料にもなるのがケトン体という物質。これは、人が飢餓状態になると、体に蓄えられている脂肪を分解してエネルギーに変えるときにできる物質です。このケトン体が、尿中に出なくなることや、体重がある程度戻ってくるなど、総合的に判断されます。
つわりの程度には個人差があります。ほとんど感じない人から、妊娠悪阻になってしまう人まで人それぞれですし、症状もさまざまです。でも、つわりをラクにする方法はあります。自分のつわりパターンを知っておくこと。次の3つくらいを頭に入れ、自分のつわり症状軽減には、どれが効くのかを探っておくといいでしょう。
(1)食べられるものはどれか(どの食べ物なら問題なく食べられるのか)
(2)満腹度による症状の変化(食べてすぐに気持ち悪くなるのか、食べないと気持ち悪くなるのか)
(3)時間帯(1日のうちで朝がつらいのか、夜がつらいのかなど)
また、つわりは、ストレスが多い状態にあったり、仕事がハードだったり、もともと胃腸が弱いなど、体質や環境にも影響されます。なるべくリフレッシュできるよう、今の生活を見直してみましょう。つわりのことを考えすぎず楽しいことを想像することも大事。たとえば、つわりの時期が終わったら赤ちゃんグッズを買い物に行くなどもいいでしょう。ほとんどの人が、妊娠16週くらいには症状が治まっていきますから、その日を楽しみに、つわりの時期を乗り越えましょう。
(文/たまごクラブ編集部)
監修/長岡貞雄先生(長岡産婦人科クリニック 院長)