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「胎盤」って、どんなもの? 食べられるって、本当? トラブルも詳細解説!

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grinvalds/gettyimages

胎盤は妊娠継続を維持するホルモンを分泌するとともに、栄養の吸収や排せつ、内臓の代謝機能を代行するなど、ワンオペレーションで、いくつもの役割を掛け持ちしています。
胎盤の具体的な役割やしくみ、まさかのトラブルについて、東峯婦人クリニック院長の松峯寿美先生に聞きました。

関連:どれも危険度大!ママと赤ちゃんを結ぶ「胎盤」のトラブルを産婦人科医が解説

そもそも胎盤って、一体なに? どんな役割をしているの?

胎盤には、母体から赤ちゃんに酸素や栄養を届ける働きと、赤ちゃん側にとって不要な老廃物を母体の血液に戻す働きの両方があります。おなかの赤ちゃんにはまだ内臓器官の働きが備わっていないため、外の世界に出てくるその日まで、赤ちゃんに必要な臓器の役割をすべて胎盤が担当しているのです。
胎盤には消化器、呼吸器、循環器、排せつ器、内分泌系器官の役割を代行するのとともに、羊水(ようすい)を作る働きも備わっています。
これらすべての役割をワンオペレーションで果たし、生命を維持するというすごい機能があるのです!

1・呼吸器の役割

子宮の中の赤ちゃんはまだ肺呼吸ができません。母体から胎盤の血流を通して酸素を受け取っています。

2・消化器の役割

子宮の中の赤ちゃんは、まだ何も食べることができません。
胃や小腸、大腸で消化・吸収できる機能が備わっていないため、胎盤の血流を通して、水と栄養をママから受け取っています。

3・循環器の役割

妊娠8~10週には心拍が見られるようになりますが、まだ大動脈や大静脈の働きはできません。
赤ちゃんの循環器の役割も胎盤が行っているのです。

4・排せつ器の役割

赤ちゃんはママから酸素や水、栄養をもらうのと引き換えに、いらなくなった二酸化炭素や老廃物をママの血液中に戻しています。
腎臓や膀胱(ぼうこう)、尿管などの排せつのしくみを胎盤が代行しています。

5・内分泌器の役割

胎盤から分泌されるホルモンには、子宮内膜を維持したり、子宮収縮をおさえるなど、妊娠の継続を支える役割が。赤ちゃんに優先的に栄養を送って成長を促す働きもあります。

6・羊水を作る役割

胎盤には羊水を作って、子宮内の赤ちゃんの小宇宙を守る働きもあります。
胎盤ができ始めるのとともに、胎盤からは早くも羊水がじわじわとにじみ出ているのです。

ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤には、神秘的なしくみがあります

Milkos/gettyimages

一見、血液のかたまりのような胎盤の構造はとても複雑。胎盤の中はママの血液に満たされ、いわば血液のプールのような状態です。そこに赤ちゃんの血管組織(絨毛)が水草のように密生し、ママの血液に含まれる酸素と栄養素を吸い上げています。
赤ちゃんの絨毛は、ママの血液につかった状態ですが、毛細血管の壁から母体側の酸素と栄養を吸収しているため、お互いの血液が混ざり合うことはないのです。ですから、ママと赤ちゃんの血液型が違っていても問題はありません。

妊娠中の胎盤は、どのように変化していくの?

子宮の内側に根づく胎盤は母体から作り出されたものではなく、赤ちゃんと同じ1つの受精卵から作られたもの。
妊娠16週くらいには胎盤の位置が超音波で見えるようになり、その後、赤ちゃんとともに胎盤もぐんぐんと成長していきます。やがて予定日が近づくと、赤ちゃんを守り育てる役目を終えた胎盤は、徐々に老化し始めると考えられています。

妊娠初期

赤ちゃんも胎盤も、もとは1つの受精卵。胎盤の位置がどう決まるかは、よくわかっていませんが、受精卵の着床(ちゃくしょう)後、妊娠13週くらいから胎盤ができ始めます。
受精卵の一部の絨毛膜と、子宮内膜の一部の脱落膜が合体して、胎盤のもとが作られていきます。そして、胎盤のもととなる部分から羊水がじわじわとにじんでくるため、子宮内には妊娠初期から、少量ながらも羊水が存在しているのです。

妊娠中期

子宮内膜で絨毛組織が発達して胎盤を形成し、16週くらいにはほぼ完成。母体から栄養を受け取り、赤ちゃん側の老廃物を母体に戻すなど、胎盤が呼吸器や消化器、排せつ器官などの臓器の役割を行うようになるのは妊娠20週以降からです。
妊娠週数に伴って、赤ちゃんと一緒に胎盤も成長していきます。

妊娠後期

胎盤の重さは妊娠30週で約300g、40週で約500g程度に。臨月間近になると徐々に老化して、石灰化が進んでいきます。
これは役目を果たした胎盤がいわば動脈硬化のような状態になるためと考えられています。

胎盤について知りたい! 本当のところQ&A

「ネットの記事で読んで気になって…」「私はママ友から聞いたんだけど、本当のところはどうなのかな?」など。
ママたちから寄せられた素朴な疑問や、気になるうわさについて、松峯先生が答えてくれました!

Q 味覚や嗅覚(きゅうかく)など、ママの五感が胎盤を通して赤ちゃんに伝わるって本当?

A おなかの赤ちゃんはまだ感覚器官が完成していません。
ママが感じたにおいや味覚が赤ちゃんに直接伝わることはありませんが、ママが快・不快を感じたときに血中に放出されたホルモンを通じて、赤ちゃんもママの五感を共有していると考えられます。
たとえば、ママが「いい香り!」と心地よさを感じると、脳下垂体から幸せを感じるホルモンが分泌され、胎盤を通して赤ちゃんにも届くのです。

Q 胎盤が大きいと赤ちゃんも大きめ、小さいと赤ちゃんも小さめって、本当?

A これは本当です。胎盤が赤ちゃんに栄養を送って育てているわけですから、胎盤が大きめだと、生まれた赤ちゃんは大きめになり、逆に胎盤が小さければ、赤ちゃんも小さめになります。
通常、胎盤の重さは赤ちゃんの体重の5分の1から6分の1程度とされています。

Q 胎盤の血流をよくするために、妊娠中のママができることってあるの?

A まずは体の冷えを予防すること、心地よくリラックスして過ごすことです。入浴時はシャワーですませずに、浴槽で温まると血行促進に効果的です。また、長時間同じ姿勢をとらないように注意して、適度に体を動かすなど、一般的に冷えの予防に効果的とされることを心がけるといいでしょう。
どれも当たり前のことなのですが、現代人はその当たり前のことができずに体が冷えている人が少なくありません。「赤ちゃんのため」と考えて、生活を見直してみましょう。

Q 産後に自分の胎盤を食べることって、できるの?

A 国によっては、「産後に胎盤を食べる」という風習が残っている地域もあるようですが、日本の医療施設では、基本的に産後に自分の胎盤を食べることはないでしょう。ほとんどの医療施設が医療廃棄物としてのルールに従って、胎盤を処分しているはずです。
そもそも野生動物などが産後の胎盤を食べるのは、分娩直後の痕跡とともに、胎盤の血液のにおいを消し去るため。あくまでも、わが子を守るための行為であり、栄養補給のために食べているわけではないのです。胎盤は血液で満たされた臓器のため、生臭いにおいがしますし、しかも老化して石灰化した胎盤は動脈硬化を起こした状態。
栄養的に食べて問題があるわけではありませんが、感染などの心配もありますし、視覚的にも、味覚的にも、嗅覚的にもおすすめしません。    

胎盤のトラブルについて知っておきましょう

RossHelen/gettyimages

胎盤は血液に満たされた臓器。突然はがれるなどのトラブルが起きると、激痛とともに多量の出血に見舞われる心配があります。
それぞれのトラブルについて、主な症状や出産方法などを知識として知っておきましょう。

前置胎盤・低置胎盤(ていちたいばん)

●どんなトラブル?
通常、胎盤の位置は子宮底(子宮の上部)にできることが多いのですが、胎盤が子宮口をふさぐように下のほうにできることがあります。胎盤が子宮口の一部か全部をふさいでいる状態を「前置胎盤」、子宮口の近くにある状態を「低置胎盤」といいます。
最終的な診断は28週ごろに超音波検査で行われます。なぜなら、妊娠20~25週くらいに前置胎盤のように見えても、赤ちゃんとともに子宮が大きくなるにつれて、子宮底が上に上がり、胎盤の位置が上にずれてくることが多いからです。

●原因や症状は?
受精卵がたまたま子宮口の近くに着床したために起こります。一般的には無症状ですが、おなかが張りやすくなる28週以降に突然の出血を起こすことが。
これは胎盤と密着した部分の血管が傷ついたのが原因で、警告出血と呼ばれます。子宮収縮によって子宮壁(しきゅうへき)と胎盤がずれてしまうと、大出血を起こす心配があるため、もしも出血が見られたら直ちに受診しましょう。

●お産はどうなるの?
前置胎盤は予定帝王切開が原則。それ以前に出血が起きたら緊急帝王切開となるでしょう。施設の方針にもよりますが、管理入院となるケースが多く、出血が見られたら、その時点で入院となります。
産後の出血が多くなりがちなので、自己血を採って出産に臨むことも。低置胎盤の場合も危険があると診断されたら、入院や安静が指示されます。

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

●どんなトラブル?
胎盤は赤ちゃんが生まれたあとに子宮壁からはがれて、外に出てきますが、分娩前に胎盤の一部が先にはがれてしまう状態を常位胎盤早期剥離といいます。
胎盤がはがれ始めると、母体側から赤ちゃんに酸素が届かなくなるのと同時に、大出血が起こって母子ともに命にかかわる危険な状態に陥ります。胎盤剥離が進行すると出血多量になり、ママがショック状態に陥る危険も。一刻も早い処置が必要です。

●原因や症状は?
おなかを強く打つなどの外部からの衝撃や、妊娠高血圧症候群が原因になるケースもありますが、詳しい原因はわかっていません。
持続的な子宮収縮や、おなかが板のようにカチカチにかたくなって激痛が起こるのが特徴。出血を伴うケースと、出血がないケースもありますが、いずれにしろ、これらの症状が起こったら、すぐに産院に連絡を。また、痛みはないものの、胎動を感じなくなったときも注意が必要です。

●お産はどうなるの?
いったん発症したら、もはや症状を止めることはできません。
分娩の前に胎盤がはがれてしまうと、おなかの赤ちゃんとママの生命にかかわるので、一刻も早く赤ちゃんを子宮の外に出してあげなければいけません。直ちに緊急帝王切開を行って出産します。

胎盤機能不全(たいばんきのうふぜん)

●どんなトラブル?
胎盤が老化して、母体から赤ちゃんに酸素や栄養を運ぶシステムがうまく機能しなくなる状態のこと。赤ちゃんは胎盤がないと生命を維持できないため、胎盤と赤ちゃんの状態を、超音波検査やNST(ノンストレス)検査でチェックします。

●原因や症状は?
予定日を2週間すぎると胎盤の機能が落ちるといわれ、過期妊娠の人はとくに起こりやすいとされます。
しかし、臨月前に起こるケースもあり、妊娠高血圧症候群などの合併症や高年出産なども影響するといわれます。ママ自身には自覚症状がないため、毎回の健診をきちんと受けること以外に予防法はありません。

●お産はどうなるの?
胎盤機能不全を起こすと、子宮内胎児発育遅延(IUGR)を起こしたり、羊水量が減ることがあります。陣痛促進剤でお産を促したり、一刻を争う場合は緊急帝王切開になることも。

癒着胎盤(ゆちゃくたいばん)

●どんなトラブル?
通常、胎盤は赤ちゃんが生まれてから、子宮収縮とともに自然に出てきます。
しかし、胎盤の一部または全部が子宮筋層内に入り込み、はがれない場合、癒着胎盤と診断されます。

●原因や症状は?
原因はよくわかっていませんが、過去の帝王切開などの手術で子宮内膜に傷があったり、流産を繰り返した場合、前置胎盤の場合に起こりやすいとされています。

●お産はどうなるの?
癒着胎盤は分娩時に初めて判明します。基本は医師が手を入れてはがす処置を行いますが、それでもなかなかはがれない場合は手術を行います。
場合によっては子宮ごととらざるを得ないケースもあります。

赤ちゃんのためにワンオペレーションで日夜働き続ける胎盤。赤ちゃんの命の要として、日々の成長を支えてくれる胎盤は、まさに奇跡の臓器といえますね。
気になる胎盤のトラブルについても正しく理解して、安全なお産ができるように毎回の健診を欠かさずに受けてくださいね。
(文/大石久恵、たまごクラブ編集部)

監修/松峯寿美(東峯婦人クリニック院長)

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