便秘に悩む妊婦の救世主★腸の専門医に聞いた!便秘に効く食べ物15
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妊娠を機に、便秘がちになる人は多いもの。便秘解消に役立つといわれる食べ物はいろいろあるけれど、実際のところはどうなのか、4万人以上の大腸内視鏡検査を実施してきた腸の専門医、松生クリニック院長の松生恒夫先生に、便秘に効く食べ物や食べ方についてうかがいました。
妊娠中でなくても、便秘が気になる人は必見です!日常の食事に取り入れて腸活を。
食べ物を知る前に…妊婦の便秘対策の鉄則!
「腸にいい食べ物をとることは大切ですが、それだけで便秘解消はばっちり!ということではありません。便秘解消には、まず自律神経を整えることが大切。そのためには、なるべく1日3食、決まった時間にとり、夜更かしをせず規則正しい生活をするように心がけましょう。そして、腸にいい食べ物を同じものばかりに偏って食べるのはNG。たくさんの種類からとるほうが、腸が元気に働きます」(松生先生・以下同)
腸を元気にする主な成分を知ろう
「腸内細菌には、腸にいい働きをする『善玉菌』と、有害な『悪玉菌』、そしてどちらにも属さない『日和見菌(ひよりみきん)』があります。
代表的な善玉菌には乳酸菌やビフィズス菌があり、善玉菌を優位にすると腸内環境が整って便秘が改善。一方、悪玉菌が優勢になると有害物質が増え、下痢や便秘、体の不調につながります。腸を元気にして、便秘を改善するには、善玉菌を増やすような食べ物を取るといいのですが、中でも食物繊維と植物性乳酸菌、オリゴ糖が含まれる食べ物がおすすめです」
●食物繊維
「便のかさを増やして、腸の動きを促進。水に溶けない不溶性と、水に溶ける水溶性とがあり、主に水溶性はゲル状になって有害成分を吸着し、便とともに排せつします。また、腸内の善玉菌によって分解されると、腸内が酸性になり、悪玉菌のすみにくい環境になります」
●植物性乳酸菌
「みそ、しょうゆ、漬物など日本の伝統的な発酵食品に含まれます。ヨーグルトやチーズなどの『動物性乳酸菌』と比べ、生きたまま腸に届く割合が高く、腸内を酸性にして悪玉菌をすみにくくし、善玉菌を増やします」
●オリゴ糖
「善玉菌のえさとなり、善玉菌を増やします。1日3g摂取すると、腸内のビフィズス菌(善玉菌)が数倍に増えるといわれています。善玉菌を増やす乳酸菌や発酵食品と一緒に食べると効果的。また、善玉菌はそれぞれ好むオリゴ糖が違うため、いろいろな食品から取るといいでしょう」
松生先生お墨つきの便秘解消に役立つ食べ物15
1●もち麦
大麦の一種で、穀物類の中でもダントツの食物繊維量。水溶性食物繊維の一種、β-グルカンが含まれる。
2●キウイフルーツ
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく含み、善玉菌のえさになるオリゴ糖が多く含まれる。またビタミンCが便をやわらかくし、ぜんどう運動を促す。
★松生先生の調査では、1日1回の排便がない、便秘ぎみ・便秘の中高生とその母親に、1日1個のキウイを2週間継続して食べてもらったところ、約7割に1日1回以上の便通頻度の改善が見られたという結果も。
3●バナナ
善玉菌のえさとなるオリゴ糖が豊富に含まれている。バナナのトリプトファンとビタミンB6が腸の活動リズムを整える。
4●オリーブ油
小腸で吸収されにくいため、刺激となり排便を促す。腸内で便のすべりをよくして、排便がスムーズに。1日に大さじ1~2杯を目安に。妊娠中は取りすぎに注意を。
5●納豆
不溶性、水溶性の食物繊維バランスが理想的。納豆に含まれる納豆菌が腸内で善玉菌になる。
6●しば漬け
漬物の中でも植物性乳酸菌が多く含まれる。塩分量が高いので、食べすぎに注意。
7●オクラ
ねばねばしている部分に水溶性食物繊維が多く含まれ、不溶性、水溶性の食物繊維バランスが理想的。
8●はちみつ
善玉菌のえさとなるオリゴ糖が含まれている。
9●なめこ
食物繊維が豊富で、ぬめりに水溶性食物繊維が含まれる。腸管内の水分を吸収し、便をやわらかくする。
10●切り干し大根
食物繊維量が生の大根より多い。
11●ごぼう
不溶性だけでなく水溶性の食物繊維も多く含んでおり、オリゴ糖も含んでいる。
12●みそ
メラノイジンという成分が善玉菌を増やし、腸内環境を整える。ただし、塩分が多くなりがちなので、量には注意。
13●りんご
水溶性植物繊維のペクチンが豊富に含まれている。
14●もずく
ぬめりの部分に水溶性食物繊維が含まれている。
15●アボカド
水溶性、不溶性の食物繊維のバランスが理想的。また不飽和脂肪酸が多く、便の潤滑油にも。ただしアボカドはカロリーが高いので食べすぎには注意。
妊娠中は栄養のバランスを考えた食事が基本。健康にいいといっても、同じものばかりを大量に取るのはおすすめしません。便秘に効く食べ物もしかり。腸にいい栄養素や成分をいろいろな食べ物から取ることがカギですよ!(文・たまごクラブ編集部)
■監修:松生クリニック院長 松生恒夫先生