胎児の心拍について知りたい! チェックのしかたとわかること
胎児心拍はおなかの赤ちゃんの状態を知る重要な手がかり。妊婦健診のときに超音波検査などで心拍を確認することで、赤ちゃんからのサインをキャッチすることができます。
先生はいつ、どうやって心拍を調べているのでしょうか? 心拍数からわかることは? 産婦人科医の丸茂元三先生に伺いました。
心拍って何? チェックのしかたは?
心拍とは、心臓の拍動のこと。妊婦健診では、赤ちゃんの状態を知るため、心臓が1分間に何回拍動したか(=心拍数)を確認しています。おなかの赤ちゃんが元気に育っているかをチェックする上で欠かせない検査項目。
主に超音波検査で確認していますが、出産予定日前後や、妊娠経過に気になることがあるときはノンストレステスト(NST)によって、より時間をかけて心拍の様子を調べます。
心拍のチェック1・超音波検査
最初におなかの赤ちゃんの心拍が確認できるのは、早くて妊娠6週ごろ。超音波検査でわかります。モニターに心臓の動きが小さく点滅しているのを見たママもいるのではないでしょうか。
このころに胎児心拍が確認できると、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)の確率がぐっと下がるといわれています。超音波検査は赤ちゃんの様子とともに心拍を目で見て確認しますが、ドップラー聴診器といって、耳で赤ちゃんの心音を聞き、心拍数やリズムを確認する方法も。産院によって、妊娠12週ごろから検査に取り入れられることもあるでしょう。
心拍のチェック2・ノンストレステスト(NST)
出産では赤ちゃんにも陣痛のストレスがかかります。出産予定日近くになると、赤ちゃんがお産に耐えられるかどうか判断するため、胎児の心拍数、胎動、子宮収縮を同時にチェックできるノンストレステストを受けることがあります。
ラクな姿勢になり、専用の装置をママのおなかにつけて30~40分間、計測。また、予定日前後ではなくても、張りが強く切迫早産(せっぱくそうざん)などが疑われる場合に使われたり、分娩時には分娩監視装置として母体と赤ちゃんの状態を見守る役割があります。
おなかの赤ちゃんの心拍数ってどれくらい?
胎児の心拍数は成長とともに変化します。妊娠9週ごろもっとも速くなり、170~180bpm(beats per minute)。妊娠期間を通じた平均値は140bpmで、120~160bpmが正常の範囲といわれています(成人の約2倍!)。
とはいえ、いつも一定の数字というわけではなく、大人がそうであるように、赤ちゃんの心拍数も起きて動いているときは上がり、寝ているときは下がります。これは自然なことで問題ありません。
心拍数が問題になるのはどんなとき?
動いたり寝たりして一時的に心拍が上がったり下がったりするのは自然なこと。ですが、心拍数によってトラブルのサインをキャッチできることもあります。
心拍数が速いとき(頻脈)
胎動によって赤ちゃんの心拍数が一時的に正常範囲の上限160bpmを超えることがあっても、それはむしろ元気な証拠と判断されます。そうでない場合には、絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染が疑われるので抗菌薬の投与などの治療が必要になります。
心拍数が遅いとき(徐脈)
110bpm未満となる状態が持続する場合、妊娠初期だと流産の可能性が疑われます。また、先天的な心疾患や胎盤機能不全によっても遅くなることが。
子宮収縮で赤ちゃんにストレスがかかり、一時的に心拍が遅くなるのは正常な反応なので問題ないでしょう。
心拍数が安定しないとき
ゆっくりだったのが急に速くなるなど、心拍数が大きく乱れる場合は「胎児機能不全(※)」が疑われます。おなかの中にいるよりも外に出して育ててあげたほうがいいと判断されると、予定日を待たずに帝王切開で出産となることも。
妊娠中だけでなく、へその緒が赤ちゃんの首にきつく巻きついたり、胎盤機能が低下したりして分娩時にも起こることがあり、その場合は帝王切開に切り替えられる場合もあります。
※胎児機能不全:何らかの原因で赤ちゃんが低酸素状態となり、臓器の機能が低下することで元気がなくなっている状態。
直接見たり触ったりできないおなかの赤ちゃんの状態を教えてくれる心拍。赤ちゃんに何かあったときの変化をママが身をもって感じ取ることはできないので、心拍をチェックしてもらえる妊婦健診を受けること、検査の内容を理解しておくことがとても大切です。
(文/たまごクラブ編集部)
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