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【医師監修】妊娠中期に出血が起きたらどうする?チェックポイントと気をつけたいこと

更新

Antonio_Diaz/gettyimages

妊娠中期に心配な出血は、おなかの張りや痛みを伴うケース。おなかの張りや痛みは子宮収縮のサインで、切迫流・早産などのトラブルが起きている可能性があるからです。必ずしもトラブルと関連しない出血もありますが、自分では出血の出元がどこかわからないので、出血が見られたら産院に連絡するのが基本です。どんな点に注意すべきか、東峯婦人クリニック院長の松峯寿美先生に聞きました。

おなかの張りや痛みを伴う場合は、何らかのトラブルの可能性が!

本来は安定している妊娠中期。この時期にいちばん心配なのは、出血が止まらずに増えてくるケースです。出血に気づいたら、まずは出血の量や色、状態などをチェックして、30分から1時間ほど安静にして様子を見ましょう。出血が止まれば問題がない場合が多いのですが、安静にしても出血が止まらなかったり、増えてくる場合は、トラブルの兆候の可能性が大。早めに産院に連絡を。

出血が見られたら、・色・量・回数・タイミングなどをチェック

出血の量

出血の量は医療スタッフが緊急性を判断するための情報源。「生理の終わりごろのように、下着にちょっぴりつく程度」「出血量が多く、生理2日目くらい」など、具体的に伝えられるようにチェックしましょう。

出血の色

今まさに出血したばかりの鮮やかな赤い出血なのか、生理の終わりごろのような茶色なのか、それとも、おりものに血液が混じったようなピンク色なのか、色についても具体的にチェックしましょう。

出血の状態

サラサラしている、粘りけがある、レバーのようなかたまりが出てくる、どんどん量が増えている、止まったり出たりを繰り返すなど、産院に連絡する際に伝えられるように確認しましょう。また、おなかの痛みや張りを伴うかどうかも、重要なチェックポイント。

出血の回数や頻度

回数や頻度は心配な出血がどうかを医師が判断するための情報のひとつに。「早朝と午前中に2回」「夕方、トイレで気づいたけれど、その後は止まった」など、具体的に伝えられるようにしましょう。

出血のタイミング

就寝時のように安静にしているときなのか、立ち仕事など体を動かしているときなのか、排便時や排尿時なのかを伝えることによって、医師が出血の原因を特定する際の参考になります。

そのほかの症状


出血とともにおなかの張り、痛みを伴う場合は、切迫流・早産や前置胎盤などのトラブルの可能性が。おりものが多いなど、出血以外の情報も、医師が原因を特定する際の大事な情報になります。

まずは安静にして、出血が止まらない場合は産院に連絡を

出血に気づいたら、まずは30分から1時間ほど安静にして様子を見ましょう。出血が止まらない場合、出血が増えていく場合は産院に連絡して早めに受診してください。その際、出血の量、色、状態などを産院スタッフにできるだけ詳しく伝えることが大切です。

妊娠中期の出血 原因と対処法

妊娠中期の出血の原因としてよくあるのが子宮腟部のびらん、子宮頸管ポリープ。これらは少量の出血を伴いますが、おなかの張りや痛みを感じることはありません。おなかの張りや痛みを伴わない出血であれば、あまり心配いらないケースが多いのですが、ポリープからの出血を繰り返す場合は感染の原因にもなるため、医師が注意深く経過を観察していきます。一方、おなかの張りや痛みを伴う出血の場合は、切迫流・早産や前置胎盤などトラブルの可能性が。出血量の多い・少ないに限らず、早めに受診する必要があります。

中期の出血の原因はさまざまです

子宮腟部のびらん

子宮腟部(子宮の入り口)の粘膜がホルモンの影響で充血した状態になること。赤ちゃんが大きくなることで圧迫され、うっ血を起こして、にじむような出血が起きることがあります。出血の量は下着につく程度の少量です。びらんがあると、内診やセックスなどのわずかな刺激で出血することも。

子宮頸管ポリープ

胎盤組織がポリープ状に子宮口の外に飛び出したもの。びらんと同様に少量の出血が見られます。妊娠中期は経過観察することが多いですが、ポリープから頻繁に出血する場合は細菌感染を招いて、早産につながる心配があります。

切迫流産(せっぱくりゅうざん)・後期流産

22週未満におなかの痛みや張りを伴った出血が起こると、切迫流産と診断されますが、赤ちゃんの心拍が見られれば妊娠を継続できる状態です。一方、後期流産とは妊娠22週未満に妊娠が終了してしまうこと。妊娠12週未満に起こる早期流産に比べて、起こる可能性は少ないですが、赤ちゃんの染色体異常に限らず、細菌感染による絨毛膜羊膜炎などが原因で起こる場合があります。出血量には個人差があり、出血が見られないケースもあります。

切迫早産(せっぱくそうざん)

妊娠22週以降におなかの張りや痛みを伴った出血が起こり、子宮頸管が短くなったり、子宮口が開いてきたりして、早産しそうな状態になるのを切迫早産といいます。原因はさまざまですが、細菌感染による絨毛膜羊膜炎や、出血しやすい前置胎盤・低置胎盤などのケースがあります。突然出血が起こったり、鮮やかな赤色の出血が見られたり、出血量が多いときには、早産のリスクが高まっている可能性が。

前置胎盤・低置胎盤


通常、胎盤は子宮の上のほうにつくられますが、何らかの理由で子宮の下のほうにつくられ、胎盤が子宮口の全部または一部を覆うようになるのを前置胎盤(ぜんちたいばん)といいます。また、子宮口の近くに胎盤がつくられるのを低置胎盤(ていちたいばん)といいます。胎盤の位置は子宮が大きくなるにつれて上のほうに移動していくことが多いので、通常は妊娠28週ごろに診断されます。とはいえ、28週以前であっても、子宮口に近い位置に胎盤がつくられると、出血が起こる可能性が。医師から「胎盤の位置が子宮口に近い」と伝えられている人は、急に出血したら前置胎盤・低置胎盤の可能性があります。

医師が診断するときのポイントは?

医師が診断するポイントは、出血量、出血が見られる部位、おなかの張りや痛みを伴っているかどうかです。おなかの張りや痛みを伴う出血が見られる場合は切迫流・早産のケースが多く、おなかの張りや痛みがなく、少量の出血だけという場合は子宮腟部のびらんや、子宮頸管ポリープの可能性が高いでしょう。
妊娠中期は、本来は出血することがない時期。前置胎盤による出血が心配されるのは32週ごろ、分娩前に胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離が心配されるのは28週以降です。とはいえ、出血は何らかのトラブルが原因で起こっているので、不安なときは産院に相談しましょう。

治療法は?

子宮腟部のびらん

妊娠経過に影響する出血ではないため、出血がおさまれば問題ありません。

子宮頸管ポリープ

出血を繰り返すと細菌感染から子宮頸管炎や絨毛膜羊膜炎感染を招き、流産・早産につながる心配が。医師がポリープの大きさや、できている場所に応じて、今後の処置を行う時期を慎重に見極めます。

切迫流・早産

妊娠を継続させるためには、安静生活がいちばんの薬。おなかの張り具合や子宮口の状態、出血量などに応じて、医師から自宅安静または入院安静を指示されるでしょう

前置胎盤・低置胎盤

前置胎盤かどうかを診断するのは妊娠28週ごろ。通常は妊娠中期に出血することはほとんどないのですが、28週以前に出血が起こる可能性もあることを知っておきましょう。もしも出血が見られたときには、自宅安静または入院安静が指示されます。

その後はどうなるの?

tommaso79/gettyimages

切迫流・早産、前置胎盤・低置胎盤の場合は、妊娠を継続させるために、医師の指示を守って安静に過ごすことが大切です。出血が見られても、赤ちゃんが元気であれば、あとは出産予定日まで妊娠経過を見守っていきます。

妊娠中期の出血 こんな場合は?Q&A

出血の量や色、状態には個人差があります。心配な出血かどうかは、色と量がポイントに。「安定期に突然の出血を経験して不安になった」というママたちから寄せられた質問に、松峯先生が答えてくれました。

【Q】少量出血で受診。腟内に細菌が入ったことが原因と言われたのですが…(22週)

【A】
腟内に細菌が入って、腟内や子宮頸管に炎症を起こすと、それが原因で少量出血を起こすことがあります。細菌が腟内→子宮頸管→絨毛膜羊膜へと進むと、おなかの張りを招いて切迫早産の原因になりますが、腟剤などが処方され、炎症がおさまれば問題ありません。

【Q】おなかの張りがないのに、生理2日目のような大量出血があります(27週)

【A】
前置胎盤の可能性が高いので、産院に連絡して受診してください。一方、赤ちゃんを包む絨毛膜と脱落膜の間にたまった血液が、赤ちゃんが成長したことによって押し出されて出てくるケースもあります。一時的な出血で、その後止まってしまうようなら心配いらないことが多いのですが、やはり大量に出血するのは心配です。一度受診するほうが安心です。

【Q】生理1日目のような少量出血があります(20週)

【A】
おなかの張りや痛みがない中期の少量出血の場合、原因としていちばん多いのは子宮腟部のびらんでしょう。一時的な少量出血で、そのまま止まれば問題がないことが多いのですが、もしも生理2~3日目のように出血量が増えていくようであれば、必ず受診してください。

【Q】痛みはないけれど、生理の終わりのような茶色い出血が続いています(18週)

【A】
鮮血ではなく茶色い出血ということは、子宮内にたまっていた古い血液が出てきたということ。おなかの張りや痛みがないのであれば、子宮腟部のびらんからの出血かもしれません。一時的な少量出血で、そのまま止まれば問題ないでしょう。そのまま様子を見てください。一方、途中から出血の色が鮮やかな赤い色に変化したり、出血の量が増えていくようであれば、切迫流・早産などのトラブルの可能性が高いため、直ちに受診しましょう。

【Q】「どこから出血しているかわからない」と医師から言われました(22週)

【A】
「妊娠経過や赤ちゃんには問題はないけれど、どこから出てきたのか、よくわからない」と医師から言われたときは、子宮腟部のびらんから出血しているケースが多いでしょう。

【Q】血の混じったピンク色のおりものが続いています(24週)

【A】
子宮腟部のびらんがうっ血して、血液がおりものに混じって出てきたのでしょう。びらんからの出血であれば問題ありませんが、ピンク色のおりものが続いているのであれば、一度診察を受けてください。

【Q】少量出血があり、「子宮頸管ポリープがある」と言われました(24週)

【A】
子宮頸管ポリーブの場合も、子宮腟部のびらんと同様にピンク色のおりものが見られることがあります。ポリープからたびたび出血する場合は、細菌感染が心配されます。感染が子宮頸管を突破して胎盤まで行ってしまうと、早産につながることもあるため、ポリープの大きさや位置に応じて、医師が経過観察にとどめるか、切除するかを見極めることになるでしょう。ポリープを切除する場合は医師が慎重に観察して、処置を行う時期を判断します。

【Q】鈍い腰痛とともに、出血しています(26週)

【A】
鈍い腰痛は子宮収縮であることが多いもの。子宮収縮を腰痛として感じるケースが結構多いのです。従って、これは子宮収縮とともに出血が起きている状態と考えるほうがよいでしょう。切迫早産の可能性が高いので、早めに受診してください。

【Q】性行為のあと出血しました。切迫早産につながる心配はない?(26週)

【A】
妊娠中はホルモンの影響で子宮頸部や腟内が充血し、びらんを起こしやすい状態です。性行為や内診の際の接触によって、一時的に出血が起こることがありますが、じきに止まれば問題ありませんし、それがもとで切迫早産などのトラブルにつながることはないでしょう。ただし、性行為のたびに出血する場合は、性行為自体を控えるほうがいいでしょう。

監修/【産婦人科医】松峯寿美先生

妊娠中期は安定期と呼ばれ、本来は出血を伴うトラブルが少ない時期です。もしも出血が見られたときには、あわてず、騒がず、出血の色や量、状態などをチェック。30分から1時間ほど安静にして様子を見ましょう。出血が止まれば問題ないことが多いのですが、出血の出元は診察を受けなければわかりません。産院に連絡して出血の現状について伝えたうえで、すぐに受診するほうがいいかどうか、指示を仰ぎましょう。
(文/大石久恵、たまごクラブ編集部)

初回公開日 2019/4/8

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