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「3時間おき」「体重が増えていない」… 母乳神話に振り回された授乳の日々

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ライター“ぶよこ”、40歳です。7年間の不妊治療の末、34歳で体重2656gの男児を出産しました。何度もあきらめながら、やっと授かった赤ちゃん。しかし、産後の私を待っていたのは、とてもつらい“母乳神話”の呪縛でした。

「ミルクは3時間あける」…地獄の日々の始まり

「15分経っても母乳を吸わなかったら、ミルクをあげてね」。母子同室が始まった生後2日目の夜、授乳室で助産師さんにそう指導され、軽い気持ちでミルクをあげました。その瞬間、地獄のスパイラルが始まったのです。

助産師さんは気軽に「次もミルクなら3時間あけて」と言います。でも、うちは夜通し泣きやまない赤ちゃん。部屋で泣かせると同室のママと赤ちゃんの迷惑になるし、授乳室は授乳室でほかのママたちに泣いている子は迷惑そうな顔をされているように感じてしまいました。

結局、産院の廊下で3時間抱っこしているしかありません。母乳を飲まない、ミルクをあげる、泣き続ける赤ちゃんを3時間抱っこし続ける…。退院までの4日間、そして、帰宅後も、このスパイラルが24時間続く日々が始まりました。
 

泣き続ける赤ちゃんを昼は“散歩”、夜は“抱っこ”  

いくら母乳を吸わせようとしても、泣いて、泣いて、全然ダメ。さらに、生後2週間で行った母乳外来では体重が増えていないと叱られ、ミルクの量を増やすことになりました。

「ミルクは3時間あけなくてはいけない」ことに加え、「ミルクでも何でも飲ませなくてはいけない」と言われ、ダブルプレッシャーに。

次の授乳までの3時間、なぜかいつも泣き続ける赤ちゃんを抱いて、日中は抱っこひもで灼熱の中を散歩、夜はただ立ちすくんでいました。

隣の親子は母乳をあげてすぐ泣き止ませているのに、私には“おっぱい”という武器がありません。「なんで飲んでくれないのよ」。ついに、わが子まで恨めしい気持ちになっていきました。

「母乳飲むまでミルクあげない」…我慢くらべも完敗

「助けて…」。“3時間地獄”から抜け出したい一心で、母乳マッサージに定評がある助産院へ行ってみました。そこで助産師さんが衝撃の一言。

「ミルクを飲ませすぎ。太らせすぎ」。

母乳外来で指導された内容を告げると、「体重の増え方はひとりひとり違うのだから気にしなくてよい」と言われたのです。

「いったい何を信じればよいの?」と、私は大混乱。とりあえず、助産師さん指導のもと「母乳を吸うまでミルクをあげない」という作戦を決行しましたが、うちの子は意思が強すぎました。真夏に6時間泣き続けても母乳を吸わず、我慢くらべはこちらの完敗です。助産師さんもお手上げのようでした。

でも、この作戦をゆるく続けるうちに10秒ほどは吸ってくれるようになり、私自身も助産院で悩みを聞いてもらえて、少し落ち着いた気がします。

丈夫に育っているけれど…「ダメなママでごめん」

生後6ヶ月になったとき、私は逃げるように仕事に復帰しました。悔しいことに、それでもおっぱいは張るのです。復帰後1ヶ月ほど職場の寒いトイレで搾乳。

子どもは保育園で、「よく飲みますね」と1度に240ccのミルクを授乳されては下痢が続くようになりました。何が正しいかわからなくなっていた私は、保育園にミルクを減らすようお願いすることもできません。途方に暮れる毎日でした。

帰宅すれば、相変わらず泣き続けるわが子。「何もかも母乳じゃないからいけないんだ。ダメなママでごめん」と、子どもを抱きながら一緒に声をあげて泣いていました。

それから5年。母乳を飲まなかったけれど、子どもは丈夫に育っています。「これでいいのだ!」と開き直りつつも、鈍い罪悪感は消えません。

今思えば、ネットやあらゆる人の言葉を気にしすぎていました。だから私は、後輩ママには助言はせず、何か聞かれたら「信じるソースを1つに絞ったほうがよい」とだけ答えています。私の場合は、もっと早く助産院に行けばよかったのかもしれません。ちなみに母乳が出なかったおかげで、断乳にはまったく苦労しませんでした。

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[ぶよこ*プロフィール]
ライターぶよこです。妊婦さんをたくさん取材してきて、出産・育児の知識は自信あり! でも、実際は教科書どおりにいかず、3歳ごろまでわが子を「かわいい」と思えず悩みました。今は、5歳男子と遊べる週末が待ち遠しい毎日です。

※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。

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