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【藤井 知行医師監修】40代の4人に1人が持つ子宮筋腫とは?検査と治療法、妊娠&出産への影響を知っておこう

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Masafumi Nakanishi/gettyimages

40代女性の3~4人に1人は、子宮筋腫を持っていると言われます。初期には症状がないため気づきにくいですが、子宮筋腫がない人よりは流産・早産になりやすい傾向があります。子宮筋腫とはどういう病気なのか、妊娠・出産との関係や治療についてなど、東京大学医学部産婦人科学教室主任教授・藤井知行先生に聞きました。

【監修医師】藤井 知行先生(東京大学医学部産婦人科学教室 主任教授)

【監修医師】藤井 知行先生(東京大学医学部産婦人科学教室 主任教授)

1957年東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院産科婦人科研修医、米国フレッドハッチンソン癌研究所ヒト免疫遺伝学部門への留学を経て、東大医学部に戻り現在に至る。厚生労働省が行う「母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究班」の代表として、全国の医師・一般の妊婦さんへの啓発活動に尽力。日本産婦人科学会理事長を経て、現監事。『週数別妊婦健診マニュアル』『流産の医学』など著書多数

関連:「子宮内膜症」の主な症状は「痛み」。その原因と治療法を知っておこう

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性の腫瘍(しゅよう)です

子宮筋腫は、子宮を形づくる筋肉の壁にできる良性の腫瘍です。エストロゲン(卵胞ホルモン)が作用して大きくなり、閉経すると数年かけて次第に小さくなっていきます。
筋腫ができる原因はまだ解明されておらず、体質的な影響が大きいとされています。そのため、予防法もないのが現状です。

30~40代が発生のピークで、40代では3~4人に1人が筋腫をもっていると言われています。

筋腫ができる場所は主に3つ。症状も異なります

子宮筋腫の主な症状は、月経量が多くなる、月経が長くなる、不正出血があるなどですが、自分では気づかないケースが多くあります。出血が多くなるため貧血になりやすく、貧血の原因を調べる際や、不妊治療の過程で筋腫の存在を知る人も大勢います。
また、腰痛、頻尿(トイレが近い)などの症状が出る場合も。症状はできる場所と関係があり、大きく分けて以下の3つに分類されます。

子宮の外側にできる「漿膜下(しょうまくか)筋腫」

子宮の外側をおおっている「漿膜」の下にできる筋腫で、子宮筋腫の約2割がこれです。自覚症状があまりないのが特徴で、筋腫がかなり大きくなるまで気づかないことが多々あります。
月経量が多くなる、月経が長くなる、不正出血などの基本的な症状は出にくいですが、お腹がぼこっと出たり、頻尿や便秘になることがあります。

子宮の筋肉の中にできる「筋層内(きんそうない)筋腫」

子宮の筋層の中にできる筋腫で、全体の7割を占めます。
筋腫の大きさはさまざまで、大きくなって子宮内腔に影響すると過多月経や月経痛を引き起こしたり、不妊症や不育症につながったりする場合があります。

子宮の内側にできる「粘膜下(ねんまくか)筋腫」

子宮の内側をおおっている内膜のすぐ下にできる筋腫で、「全体の1割程度にみられます。
子宮の内側に向かって発育していきます。子宮内膜からの出血が止まりにくくなるため、大きさがまだ小さいうちから過多月経や月経痛などを起こしやすく、下腹部痛、腰痛といった症状も現れます。子宮の内側に飛び出ていくため、不妊症や不育症の原因になることもあります。

月経の変化、特に「血の塊」が出たときはすぐ受診を

以前より経血の量が増えたと感じたり、月経期間が長くなったなど、何らかの異常を感じた時は婦人科を受診しましょう。特に、血の塊が多く出た時は、それが1回だけであっても受診することをおすすめします。

また、普段は問題なく登ることができる階段を、動悸や息切れなどで登れなくなった場合には、貧血が起きていることが考えられます。この場合もすみやかに受診してください。

検査は超音波(エコー)検査で、痛みもなく安全

病院での検査では、触診などの婦人科診察と超音波検査を行います。筋腫が大きい、症状がでやすい場所にある、手術を考えるなどの場合には、MRI検査をすることがあります。いずれの場合も出血や痛みなどの心配はありません。

子宮筋腫が小さい場合、すぐに問題があるわけではありませんが、「自分は筋腫がある」ということを自覚しておくことがとても大切です。そのうえで、定期的に検診を受けることが体を守ることにつながります。

妊娠・出産への影響は?

筋腫ができた場所や大きさで異なりますが、全体的に子宮筋腫がない人よりは流産・早産になりやすい傾向があります。
子宮の内側の子宮内膜のすぐ下の部分にできると、妊娠しにくくなることがあり、その場合は手術で筋腫を取ることもあります。

妊娠すると子宮の血流量が多くなり出血しやすくなるので、子宮筋腫の治療は原則として行わず、出産を待ちます。多くの場合は経膣分娩が可能です。骨盤位(さかご)になりやすい傾向があるほか、子宮口の近くや子宮と膣とのつながり部分である子宮頸部(けいぶ)に筋腫がある場合は、帝王切開分娩になることもあります。また、胎盤が子宮筋腫がある部分に乗っていると、胎盤の機能が悪くなって赤ちゃんが育ちにくくなったり、お産で胎盤がはがれた時に出血量が多くなったりすることがあります。

注意!妊娠20 週前後は子宮筋腫の「変性」が多発

妊娠中、子宮筋腫は特に妊娠前半期に大きくなることが多いのですが、大きさの変化に筋腫の栄養血管の発達が追い付かず、筋腫が酸素不足、栄養不足になって、筋腫の一部が壊死(えし)して痛みが出ることがあります。妊娠20週前後に多く見られます。

変性すると筋腫に炎症が起こり、おなかが張って強い痛みが出ることが多く、切迫流産・早産になりやすくなります。1ヶ月くらいで自然に治りますが、症状に合わせて抗生物質や鎮痛剤、子宮収縮抑制剤の投与などが必要です。

治療は症状や筋腫の状態に合わせて薬or手術

子宮筋腫が小さくて症状もない場合は治療の必要はなく、経過を見るのが一般的です。
治療が必要な場合、薬と手術があります。患者さんの希望や症状、筋腫の大きさと数、子どもを望むかどうかなどを総合的に考えて、最も合う治療方法を選択します。

薬による治療

軽度な子宮筋腫で痛みなどの症状がある場合は、鎮痛剤や貧血の薬などで症状を抑えます。
これでは十分でない場合、ホルモン剤によって月経の量を減らしたり、月経を止めて閉経状態を作り出す「偽閉経(ぎへいけい)療法」などによって、筋腫を縮小させます。
「偽閉経(ぎへいけい)療法」の場合、更年期症状(発汗やのぼせ、骨密度の低下など)が生じることがあります。

ただし、「偽閉経療法」の薬は連続して6カ月しか使えないため、休薬期間が必要です。治療中は子宮筋腫が小さくなりますが、治療を中止すると元の大きさに戻るのが一般的です。このような理由から、手術前や閉経が近い年齢の方などの一時的治療として行われることが多くなっています。

手術による治療

手術では筋腫だけ取る「筋腫核出(かくしゅつ)術」と、子宮全体を取る「子宮全摘(ぜんてき)術」があります。
将来子どもがほしい方や子宮を残す希望の強い場合は、「筋腫核出術」をしますが、直接見てもわからないような小さな筋腫が取り残される可能性もあり、数年後に子宮筋腫が再発することもあります。

最近では小型カメラの一種である腹腔鏡(ふくくうきょう)を使って手術を行う施設も増えています。腹腔鏡手術は傷が小さくて済み、術後の回復も早いなど、負担を軽減できますが、筋腫の大きさやできた場所によっては使えない場合もあります。

子宮を取った場合のメリット・デメリット

出産の希望の有無にかかわらず、子宮を取るのは女性にとって大きな問題です。子宮を摘出する場合のメリットとデメリットを知っておきましょう。

■メリット
・子宮筋腫による症状がすべてなくなり、再発の心配もない
・子宮ガンなど、子宮に関する病気のリスクがなくなる
・性生活に与える影響はほとんどない
・卵巣を残せば更年期症状は現れない

■デメリット
・妊娠・出産の可能性がなくなる
・子宮を失うことによる精神的な喪失感

先輩ママの体験談「私の子宮筋腫との付き合い方」

妊娠中に筋腫が15センチになったものの無事出産!

「7センチの筋腫があり、妊娠中はおなかが大きくなるにつれて筋腫も最大15センチにまでなりました。“これだけ大きくなったら、妊娠中に必ず変性して腹痛をおこすから覚悟して(その場合でも赤ちゃんには影響なし) ”と言われましたが、幸運にも何事もなく、楽しいマタニティーライフを送って無事に出産しました。
妊娠前は右側にあった筋腫が、なぜか妊娠中は左側になり、最終的には子どもの足下に行きました。邪魔だから子どもが足で蹴ったのかしら…なんて。今も筋腫は7センチほどですが、先生から次の妊娠も許可がおりてます!」

妊娠5ヶ月の時、子宮筋腫が変性して激痛が!

「妊娠5ヶ月のとき、筋腫の変性痛で半月くらい陣痛のような痛みが続きました。痛み止めも効かず辛かった!特に夜だけ痛くなって眠れないので、一晩中ゲームをしていました(笑)。痛みに耐えられないときは、筋肉注射で鎮めることもできると言われていました。
私の場合は子宮の外に筋腫ができる「漿膜下筋腫」で、赤ちゃんに影響はなく、普通分娩で産めました」

子宮温存手術を選択。その後出産しました

「26歳くらいで子宮筋腫の摘出術を受けました。下腹部を横に5センチほど開腹し、おへその横あたりから腹腔鏡を入れたようです。子どもを望んでいたので子宮を温存する方法で手術してもらいました。筋腫を取れるだけ取ってもらい、その後、妊娠・出産できました。ただ、今も2センチくらいの子宮筋腫がいくつかあります。
手術前は生理の量が尋常じゃないくらい多く、常に貧血状態で、鉄剤の注射をしてもらっていました。術後は生理の量もかなり減って快適です」

筋腫の大きさや年齢を考え、納得して子宮全摘しました

「開腹手術で子宮を全摘しました。私の場合は筋腫だけで15センチ、子宮も含めると20センチ近くになり、主治医から“開腹手術じゃないとほぼ不可能。43歳という年齢の場合、筋腫を取っても今後妊娠はかなり難しい”と言われ、開腹手術と子宮全摘出をすすめられました。その後、手術のできる病院に転院した際も、執刀医からほぼ同じアドバイスをされ、納得のうえ手術に臨みました。
開腹手術をするのは怖かったですが、とても腕の良い医師に切ってもらったおかげで、傷口は7センチと小さく、術後3週ほどでほぼ日常生活を取り戻せました」

筋腫で日常生活に支障が。手術後は開放感です

「子宮全摘出手術をしました。手術前は筋腫が膀胱や腸を押し、立ち仕事をしていると内臓がつるような痛みが度々発生して立っていられず、買い物中でもお店で座り込んでしまうことがありました。日常生活に支障が出ていたので、手術した後は解放感が強いです。解放感8割、今後の不安2割でしょうか。術後は痛みもなく、術後4日で退院しました」

女性特有の婦人科系検診は、優先順位が低くなってしまいがち。でも、婦人科系の病気は妊娠・出産に直結しますし、女性ホルモンの状態は体の健康そのものに大きく影響します。自分の体と生活を守るためにも、自分から積極的に検診を受けるようにしたいですね。
(取材・文/かきの木のりみ)

■文中の体験談コメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。

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