一生懸命絞った初乳を捨てなければならず…さざなみさんにインタビュー【妊娠・出産編】
Twitterのフォロワーが5万人超えのさざなみさんは、夫と4歳&2歳の姉妹の4人暮らし。Twitterやインスタグラムなどで、日々の育児を通して感じた“気づき”を育児漫画にしてアップしています。もの思うママ・さざなみさんの目線で見る育児は、今まで気づかなかったような発見がたくさんあると話題に!
インタビューの妊娠・出産編では、さざなみさんの妊娠・出産当時のエピソードをお聞きしました。
プロフィール /さざなみ
4歳と2歳のくせっ毛姉妹を育児中のイラストレーター・育児漫画家。子どもたちと一緒にすごす毎日の中の“発見”をTwitter(@3MshXcteuuT241U)で発信している。書籍『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!』が発売中。
イラストを描くことが日々のルーティーン
――さざなみさんが育児漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
「最初は、育児記録をつけていたノートの余白にイラストを描いていました。幼い娘の寝姿やちょっとした仕草などを、1日の終わり、娘を寝かしつけたあとに落ち着いた気持ちで描きます。仕事から帰ってきた夫にノートを見せながらその日のできごとを話すのが日課でした。
そのうち、余白では足りなくなり(笑)ルーズリーフに簡単なコマ割りをして漫画を描くようになりました。1日1枚描き続けたものが、分厚いファイル2冊分くらい残っています」
昔から絵を描くのが好きだったさざなみさん
予定日の1ヶ月半前に切迫早産で入院
――妊娠中、大変だったこと・気になったことはなんですか?
「長女を妊娠中、予定日の1ヶ月半前くらいの頃に切迫早産で入院しました。点滴でおなかの張りを抑える薬を入れることになったのですが、体が慣れるまで動悸や震えでとても苦しみました。
ひとり病室で安静にしておくだけの入院はとても不安で、時間が経つのが遅く感じました。自分のすごし方が悪かったせいで危険な状態になってしまったのかと考えて、後悔に苛まれていました。
だけど落ち込むだけ落ち込んだあとは一転、しかたないから今を楽しもうという考えに変わりました。寝そべっていたらごはんが出てくるなんて生活、このあともう何年もできないだろう。自分の好きなドラマや映画を思う存分好きな時間に見るなんてことも……。そう考えて、穏やかにすごすよう心がけてからは、だいぶんストレスを感じることも減ったように思います。幸い、予定日より少し前には退院して家に帰ることができました。出産前に、赤ちゃん用品を自分の目で見て選ぶことができたのがとてもうれしかったのを覚えています。
長女が生まれて数年経った今でも、病院の食事がおいしかったことや好きなアニメを一気見したことを、ときどき思い出します。切迫早産は喜ばしくないトラブルでしたが、入院自体は楽しい思い出となって残っています」
つわりでラーメンが超いいにおい!
2人目妊娠中、長女と“絵本”でコミュニケーション
――妊娠中やっておいてよかったことはなんですか?
「次女を妊娠中、長女のために何冊か手製の絵本を描きました。当時も今も、長女は本が大好きです。妹が生まれるという大きな変化を前に、長女が一瞬でも寂しさを感じることがないよう、何か手作りのものを渡しておきたいと考えて作りました。気に入ってもらえるよう、長女の好みに合いそうなモチーフを詰め込みました(笑)。
長女はこちらの狙い通り、絵本を気に入ってくれました。そして私は、どんなに忙しくても彼女が本を読んでほしいと言ったときは可能な限りすぐに応えるようにしました。長女もそれをわかっているようで、甘えたいときや寂しいときに本を持ってくるようになりました。次女を長い時間かけて寝かしつけたあと、振り向くと本を抱えた長女が立っていることがよくありました。私はすぐに彼女を膝に乗せて、一緒に本を読みました。
このように、手製の絵本は、まだうまく自分の気持ちを伝えられなかった幼い長女とのコミュニケーションに活用できたのです。出産後は自分に余裕がなくなり、上の子に対して細やかなケアができないことが予想できていました。あらかじめ、愛情を伝えるためのツールを用意しておくことはとても良い考えだったと思います」
絵本で親子のコミュニケーション
――出産時に戸惑ったこと、大変だったことはなんですか?
「初めての出産のとき。私の場合は、なんとなく『陣痛かな?』と感じてから本格的に痛くなるまでがとても早くて戸惑いました。じわじわ痛さが強くなるものだと思っていたのですが、ほとんど初めからハッキリと強い痛みがやってきました。おなかと腰が引き絞られるように感じ、思わず呻き声が出るくらいの痛さが来たかと思うと、サッと消えるような、自分にとっては初めての痛みでした。
病院との電話でどれくらい痛いのか問われましたが、周囲も私もまさかそれほど早く進行しているとは思いませんでした。『痛いが我慢できる』と伝えたところ、自宅待機をすすめられました。今考えるとかなり痛かったのですが、初産はゆっくり進行するものだという先入観から、長い間自宅で耐えてしまいました。その後痛みは本当に我慢できないほどになり、病院へ。やっと着いたときには、子宮口が8センチも開いていました。到着から1時間半後には出産しました。
初産は時間がかかるものだと思っていたのですが、後手に回って、慌ただしい出産になりました。結果的に苦しむ時間が短くすんだので、周囲には羨まれました。私自身も安産だったと思いますが、お産が急激に進行したためか、産道の深いところが損傷してたくさん縫いました。退院のときにはまだ傷が塞がらず、1ヶ月検診でやっと抜糸するくらいだったので、産後のダメージは大きかったです。
2人目も同じ産院だったので、先生には『今度は、ちょっと痛いな、と思ったらすぐに来てね!!』と強く念を押されました(笑)」
「母乳を捨てるのがツライ」ちっぽけな悩みに思えた
――出産直後の育児で一番戸惑ったり、困ったことはなんでしたか?
「出産直後は、血圧が高く、降圧剤を処方されていました。薬を飲んでいる間は赤ちゃんに授乳できないと説明を受けました。一旦は納得し、まずは自分の体を回復させようと考えていたのですが、搾った初乳を流しに捨てるときにはとても荒んだ気持ちになりました。だけど、周囲を見ると自分の悩みなどちっぽけなものに思えて……素直に打ち明けられるまで、ずいぶん時間がかかりました」
ひとりで調べながら一生懸命絞った初乳
頭ではわかっていても捨てるのは辛かった…
妊娠中は切迫早産で入院して気持ちが落ち込んでしまったというさざなみさん。徐々に穏やかな気持ちに切り替えて入院生活をすごすことができて本当によかったですね。
また、初乳があげられなかったエピソードは、「ほかのママと比べると私の悩みなんて」と思うと塞ぎ込んでしまう気持ちが痛いほどわかります……。どんな悩みも産後のボロボロのママのメンタルの前ではとっても大きな悩みになってしまいます。産前も産後もできる限り悩んでいることは周囲に打ち明けて、一人で抱え込まないようしましょうね。インタビューの後編は、さざなみさんの子どもたちの性格や育児中のエピソードを教えてもらいました。(文・清川優美)