0才児の死亡原因No.1「窒息事故」、うっかりしがちな「転落事故」から大切な命を守る!
ステイホームで気をつけたいのは、家庭内の赤ちゃんの事故。毎年悲しい事故も起こっています。そのなかには大人が気をつけることで防げる事故も。どんな事故が多く、防ぐためにどんな環境づくりをすればよいか、佐久総合病院 佐久医療センター小児科医長の坂本昌彦先生にうかがいました。
子どもの不慮の事故死のうち4分の1が0才児!
消費者庁が、厚生労働省の「人口動態調査」を基に、0才から14才までの不慮の事故死を年齢別に分析したところ、0才児が4分の1を占めることがわかりました。さらに、0才児の事故死の原因を分析すると、窒息が多く80%。中でも就寝時の窒息と誤嚥による窒息の割合が多くなっています。
年令別の死亡事故発生比率
生まれてすぐから3カ月ごろまでで とくに注意したい事故・けが
「低月齢の赤ちゃんは寝返りをしないうちはほとんど動かない」と思い込むのは危険です。手足をバタバタして、思わぬ方向に体が動くこともあります。常に“動くかもしれない”と考えて、赤ちゃんのお世話をしましょう。生後3か月まででとくに注意したい事故・けがと、それらの防止策を紹介します。
発生率ナンバーワンの窒息事故
0才児に多い窒息事故。とくに生後数カ月の赤ちゃんは顔に覆われたものを手で払うことができません。ふかふかの大人用の敷布団やマットレス、掛け布団を使うことで事故のリスクがアップ。布団はベビー専用布団を使うようにし、顔のまわりにはぬいぐるみや大人の衣類など物を置くのは避けましょう。
ほかにもこんな事故が…●大人用のマットレスなどに顔がうまってしまう●カーテンやブラインドのひもが首に巻きついてしまう
【防ぐためにできること】
✓ベビーベッドや布団の上、赤ちゃんの顔のまわりに物を置かない
✓就寝時、赤ちゃん専用の布団で寝かせ、大人の布団と必ず別々にする
✓窓際に赤ちゃんを寝かせる場合、カーテンやブラインドのひもがベッドや布団にかからないように
予想外の動きで起こる転落事故
赤ちゃんが動かないからと思って、大人用のベッドやソファに寝かせたり、ベビーベッドの柵を下げたまま寝かせて、その場を離れている間に、赤ちゃんが転落することがあります。短い時間でもその場を離れるときは、赤ちゃんを安全な場所に寝かせましょう。
ほかにもこんな事故が…●床板の高さが変えられるベビーベッドの収納扉が開き、ずり落ちて挟まってしまう●抱っこひもの着脱時に赤ちゃんが転げ落ちてしまう●ショッピングモールなど商業施設のおむつ替えコーナーで赤ちゃんが転げ落ちてしまう
【防ぐためにできること】
✓大人用のベッドに寝かせない。生後18か月未満はベッドガードを使わない
✓短時間でも、ソファの上に赤ちゃんを寝かせない
✓ベビーベッドの柵を下げたままその場を離れない。必ず柵を上げてロック
✓ベビーベッドの収納扉は必ず閉めてロック
✓抱っこひもの着脱時、使用時は赤ちゃんに片手を添える
✓おむつ替えコーナーでは、先に物品の準備をすませ、必ずベルトを装着して、赤ちゃんに手が届く場所にいる
監修/坂本昌彦先生 取材・文/茂木奈穂子、たまごクラブ編集部
「赤ちゃんを守るといっても、1日中ずっと赤ちゃんから目を離さないでいることはできません。また小さなケガも全てゼロにする必要はないのです。というのも赤ちゃんは小さな失敗を繰り返すことで学び、発達していくからです。大事なことは『一瞬目を離しても大きな事故やケガを防ぐ環境を整えること』です」と坂本先生。赤ちゃんと過ごす部屋の環境づくりや、日ごろ大人が使っているものの保管方法など、赤ちゃんの危険につながることはないか、夫婦、家族みんなで確認してみましょう。
参考/『たまごクラブ2021年4月号』「どこでどう起こるを家族みんなで知って、今から対策生まれてすぐからまさか!?赤ちゃんを危険な事故・けがから絶対守る!!」
【監修】
坂本昌彦先生
Profile
佐久総合病院佐久医療センター 小児科医長。2004年名古屋大学医学部卒業。福島県立南会津病院小児科、ネパール・ラムジュン郡立病院勤務などを経て2014年より現職。「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者として、子どもの病気やホームケア、受診の目安などをまとめた冊子の制作や無料アプリの開発などを行い、子育て支援にも力を入れていらっしゃいます。

「たまごクラブ4月号」では、生後4カ月以降からさらに気をつけたい事故・けがについても詳しく掲載されています。