食卓やリビング、おふろ、おでかけ、泣きやませ…日常シーンに潜む危険、家庭内の赤ちゃんの事故
いちばん気をつけたいのは、家庭内の赤ちゃんの事故。また、チャイルドシート未使用時の事故も多く、大人が気をつけることで防げる事故も。どんな環境づくりをすればよいか、佐久総合病院 佐久医療センター小児科医長の坂本昌彦先生にうかがいました。
1位の窒息事故、2位の転落事故に続き次の多いのが交通事故
消費者庁が、厚生労働省の「人口動態調査」を基に、0才から14才までの不慮の事故死を年齢別に分析したところ、0才児が4分の1を占めることがわかりました。さらに、0才児の事故死の原因を分析すると、窒息が多く80%。1位の窒息事故、2位の転落事故に続き次の多いのが交通事故です。
年令別の死亡事故発生比率
チャイルドシート未使用による交通事故
赤ちゃんが泣いてしまうからと、チャイルドシートに乗せずに大人が抱っこして、急停車や衝突の際に赤ちゃんを危険な目に遭わせてしまうケースもあります。 “すぐそこまでだから大丈夫”はありません。
【防ぐためにできること】
✓短時間でも必ずチャイルドシートに乗せる
✓赤ちゃんがぐずっても乗せることを習慣に
✓1才になるまでは後ろ向きで後部座席に装着を
ちょっとした不注意で起こるやけど事故
暖房器具を使う冬に起こりやすいやけど事故。抱っこしている赤ちゃんが不意に動き、手にしていた熱い飲み物をかけてしまうという事故も起こっています。
【防ぐためにできること】
✓赤ちゃんを抱っこしながら熱いものを飲まない、食べない
✓床暖房、ホットカーペットなどの上に直接、長時間寝かせない
✓高温の飲み物や食べ物は手の届かないようテーブルの中央に置く
✓テーブルクロスやテーブルマットは子どもが引っ張り、容器が倒れる原因となるため使わない
水まわりで起こるおぼれ事故
赤ちゃんの首につける浮輪をおふろで使い、おぼれる事故が発生しています。入浴時の首浮輪の使用は絶対にやめましょう。また、赤ちゃんが沈むときはもがくこともなく、静かであることも知っておきましょう。
【防ぐためにできること】
✓おふろで首浮輪など赤ちゃん用浮輪を使わない
✓赤ちゃんがおぼれるときは静かであることを知っておく
赤ちゃんが泣きやまないからと 激しく揺さぶるのはNG!
生後4~5カ月ごろまでの赤ちゃんはとくに理由がなく泣くことがあります。けれど、なかなか泣きやまないと「どうして?」「何がいけないの」と不安やあせりを感じてしまうもの。原因を追及したくなりますが、そんなときに知ってほしいのは「赤ちゃんは何をやっても泣きやまないことがある」こと。
なお、泣きやませようと赤ちゃんを強く揺さぶっても泣きやむことはないばかりか、揺さぶることで脳の血管が切れて出血し、命にも関わる「揺さぶられ症候群」を起こすことがあります。激しく揺さぶることは絶対にやめましょう。
【家族みんなが知っておきたいこと】
✓赤ちゃんを強く揺さぶると命に関わる
✓赤ちゃんは理由なく泣くことがある
赤ちゃんが泣きやまないときはどうすればいいの?
まず、授乳、おむつ交換、抱っこ、室内の温度などを確かめたり、試してみましょう。
それでも泣きやまないときは、赤ちゃんを寝かせる場所を変えたり、外に出てみたりして気分転換を。泣きやまないときの役割分担を、あらかじめ決めておくことも大切です。夫婦で共有することで精神的な負担が軽くなります。また、夜泣きの原因を追及しすぎると、親はストレスがたまってしまいます。泣きやまないことでイライラしたら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、少し離れてみることも一つの方法です。
監修/坂本昌彦先生 取材・文/茂木奈穂子、たまごクラブ編集部
赤ちゃんと過ごす部屋の環境づくりや、日ごろ大人が使っているものの保管方法など、赤ちゃんの危険につながることはないか、夫婦、家族みんなで確認してみましょう。
参考/『たまごクラブ2021年4月号』「どこでどう起こるを家族みんなで知って、今から対策生まれてすぐからまさか!?赤ちゃんを危険な事故・けがから絶対守る!!」
【監修】
坂本昌彦先生
Profile
佐久総合病院佐久医療センター 小児科医長。2004年名古屋大学医学部卒業。福島県立南会津病院小児科、ネパール・ラムジュン郡立病院勤務などを経て2014年より現職。「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者として、子どもの病気やホームケア、受診の目安などをまとめた冊子の制作や無料アプリの開発などを行い、子育て支援にも力を入れていらっしゃいます。
「たまごクラブ4月号」では、生後4カ月以降からさらに気をつけたい事故・けがについても詳しく掲載されています。