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“あそこは切りたくない”妊婦必見! 会陰切開の傷と痛みを最小限にする方法【産婦人科医】

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病院での労働の後彼女の生まれたばかりの赤ちゃんの子を持つお母さん。
NataliaDeriabina/gettyimages

分娩中、多くのママが“切る・切れる”を経験しているようです。“あそこを切る”なんて、怖いし痛そうだし、産後の生活がどうなるか不安になりますよね。痛みと傷を最小限にするための対策を、葛飾赤十字産院の林瑞成先生にお聞きしました。

まずはお産時の赤ちゃんと会陰の関係を知ろう

会陰とは、腟口(腟の出口)と肛門の周辺部位のこと。2〜5cm幅で、うすい皮膚と筋肉からなり、子宮などの臓器を下から支えています。分娩時、会陰は赤ちゃんの頭に押し広げられながら、ゆっくり伸びていくことに。でも、伸ばしたことのない皮膚を10cm(赤ちゃんの頭の大きさ)ほども伸ばさなければならないので、スムーズに伸びないとさまざまなトラブルの要因になり得ます。

会陰の伸びが悪いと起こり得るトラブルを理解しよう

会陰の伸びが悪くて自然に切れてしまうと、産後ライフに支障が出ることがあります。自然に切れる場合、筋肉などの影響で、左右にキレイに裂けることはまずありません。大きく複雑に、深く裂けるだけでなく、肛門や尿道口方向に裂けてしまうと、産後の生活に支障が出る可能性が考えられます。また、会陰の伸びの悪さなどの理由でお産に時間がかかると、赤ちゃんの心拍が下がったり、時間をかけてお産しても、予後の影響などを考えると1秒でも早く赤ちゃんを出してあげる必要があることも。このように、自然にまかせると赤ちゃんやママへのダメージが大きいと判断した場合は、赤ちゃんの頭を急激に産道通過させなければなりません。そんなとき、会陰切開(医療処置)をして、肛門や尿道口方向に裂けるのを予防します。

会陰の伸びをよくするためにできることをやってみる・意識してみる

上記で解説したとおり、会陰の伸びをよくすることで、会陰切開せずに済んだり、傷が小さくて済むことがあります。また、赤ちゃんはお産が始まると、ママの骨盤の入り口に合わせて回旋しながら下りてきます。この動きの妨げにならないよう、骨盤まわりの筋肉をしなやかにしておくことも、会陰の負担を減らすためには大切なこと。できることからやってみましょう。

骨盤をしっかり立たせて“立つ” “歩く” “座る”を意識

おなかが重いと、ついつい姿勢が悪くなりがちに。まずは骨盤をしっかり立たせることを意識して生活してみましょう。骨盤を立たせるとは、腟を真下に向けるような姿勢のこと。前後・左右に傾かないよう、まっすぐな姿勢で“立つ” “歩く” “座る”を続けると、赤ちゃんが産まれるとき回りやすくなります。

冷え&むくみを予防する

冷えは血液循環の妨げになり、陣痛が強くなりにくくお産が長引き、切開につながることも。おすすめは、腰を大きくゆっくり回してほぐすストレッチ。骨盤のゆがみを整えながら血液循環もよくしてくれます。フラフープを回すような要領で何度か回したら、逆回しも同様に。

ホットパックで循環UP

会陰部のホットパックもおすすめ。水でぬらしたタオルを保存袋などに入れてから、電子レンジ500Wで30〜60秒ほど温めます。じんわり気持ちいい程度に温めたら、その上に座りましょう。血行がよくなり、会陰にあるツボもじんわり温まります。

※加熱時間は目安です。低温やけどに注意し、ご自分で調整してください。

筋力をつけるためのウォーキング

股関節を大きく動かして歩くことは、筋力アップにつながります。筋力アップは冷えを改善し、スムーズなお産につながり、赤ちゃんへのストレスや会陰の負担を減らせるかもしれません。妊婦さんは歩幅が小さくなりがちなので、いつもより歩幅を大きくするように意識して歩くといいでしょう。

お産が近づいたら、会陰マッサージに挑戦

会陰マッサージは、妊娠経過によってできる・できないがあるので、必ず担当医に相談してから行ってください。できる週数も産院の方針によって異なるので、事前に確認をとりましょう。つめは短く切って清潔にし、おなかに負担にならない体勢で行うのが基本。おふろ上がりや入浴中は、体が温まっているのでおすすめです。目安は1〜2分ですが、会陰が温かくなったり、じんわりしてきたら終了の合図。時間や回数は決まっていないので「伸ばさなきゃ!」と力まずに、会陰をほぐすくらいの気持ちで行いましょう。

How to会陰マッサージ

オイルや馬油をつけた指で、会陰の表面を、肛門方向とその左右に伸ばすようにマッサージ。最初はなでる程度でよく、慣れてきたら少し圧を加えます。

もしくは、Uの字を描くように会陰の表面をくるくるとなでるやり方もあります。やりやすい方法でOK。

バースプランの利用と、お産本番でできることを確認

お産の希望を伝えるバースプランに、会陰切開について記入して、医師や助産師さんに気持ちを伝えても大丈夫です。「できれば切開したくない」といった希望や、「会陰を切るなんて怖い」といった不安な気持ちがあれば、事前に書いておきましょう。もちろん、必要があれば行われる医療処置ということは、理解しておきましょう。

お産本番でできること

・破水していなければ入浴OK
陣痛を進めるのに体を温めるのは有効です。破水していなければ湯船につかってリラックスしてもOK。お産がスムーズに進めば、会陰の負担も軽くなります。

・好きな香りや音楽でリラックス
好きな香りをかぐことで心がしずまったり、心地よい音楽を聴いて気持ちがほぐれることも。リラックスして筋肉の緊張をほどくことで、会陰の伸びをよくしましょう。

・力を抜いてラクに呼吸
陣痛の波がくると、痛みで体に力が入りやすいので、いきみたくなったら助産師さんに声をかけましょう。そのときのママと赤ちゃんにとって、最良の方法を伝えてくれます。

・不安を一人で抱え込まない
助産師さんに声をかけ、体をさすってもらったり、話を聞いてもらって気持ちをラクにすることも大切。不安感による体の緊張をとり進行をスムーズにして、母体と赤ちゃんの負担を減らします。

監修/葛飾赤十字産院 林 瑞成先生
イラスト/鳥居志帆 取材・文/早田佳代、たまごクラブ編集部

スムーズなお産をめざすことで、結果的に会陰も守られることに。もちろん、必要があれば行われる医療処置ということは理解した上で、できることをできる範囲で取り組んでみましょう。


参考/『たまごクラブ2021年4月号』「「会陰切開」の傷と痛みを最小限にする対策10」

Profile
林 瑞成先生
葛飾赤十字産院・産科第一部長。日本母体保護法指定医。日本周産期・新生児学会(周産期)専門医。日本医科大学校大学院 医学科卒業。日本医科大学付属病院、葛飾赤十字産院、東京都立墨東病院・周産期センター産科部長などを経て現職

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