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300人の赤ちゃんが協力!大人と同じようにモノが見えるのは何カ月から!?【2021年:最新調査】

写真は、中島先生などによる実際の実験の様子。

人間の脳のメカニズムは、まだ解明されていないことがいっぱい!2021年6月、中央大学の中島悠介先生、山口真美教授たちが2年間にわたる研究を経て、赤ちゃんの視知覚の能力は6カ月以下の赤ちゃんと7カ月以上の赤ちゃんで大きな違いがあることを発表しました。今回の実験からわかったことについて、中島悠介先生に聞きました。

大人と同じように見えるのは何カ月から!?実験には300人の赤ちゃんが協力

中島先生の専門は、認知心理学です。認知心理学とは、人間の脳が物や世界などをどのように認識しているか、認識できるようになっていくかを研究する学問です。目に入ってきたものを脳で認識するしくみを分析し、脳のメカニズムから、人は物をどのように見ているかなどの認知機能を調べています。

「人は物を見るとき、目から入ってきた情報を脳に送り、脳の中で複雑な情報処理をして物を認識します。赤ちゃんの脳は発達中の状態なので、大人と同じような視知覚の処理メカニズムになるのはいつごろなのか、その発達過程は今まで明らかになっていませんでした。

今回の実験は、そこを解明するのが目的で3~4カ月、5~6カ月、7~8カ月と月齢ごとにグループ分けした赤ちゃんたちに対して5つの実験を行い、実験ごとに各20人の赤ちゃん計300人に2年間にわたって協力をしてもらいました」(中島先生)

認知心理学で知られる「逆向マスキング」という知覚現象をキーに実験を

上のイラストは、逆向マスキングの例。人の顔がほんの一瞬現れると、おおまかに人の顔が認識できます(イラスト左)。しかし直後に、ほかの物体が現れると、最初の人の顔が認識できなくなります(イラスト右)。

「逆向マスキング」とは、認知心理学ですでに知られている視知覚に関する現象です。

「脳は、物体がほんの一瞬だけ見えても、それが何なのかおおまかに認識することができます。しかし物体が見えた直後に、同じ位置にほかの物体が現れると、最初の物体に気づくことができなくなります。この現象は『逆向マスキング』と呼ばれ、脳の中で、高次の視覚領域から低次の視覚領域へ情報が伝達されるトップダウンの処理が妨害されることによって起こると考えられています。
大人の脳では『逆向マスキング』が生じることがわかっています」(中島先生)

6カ月以下と7カ月以上では、実験結果に明らかな差が!

上の写真とデータは、実験の一例。赤ちゃんが人の顔を好んで見る性質を利用した実験のため、モニター画面には人の顔が映し出されています。

中島先生に2年間かけて行われた5つの実験のうちの1つを解説してもらいました。

「今回の実験は、赤ちゃんは人の顔を好んでよく見る性質を利用した選好注視法という方法を用いました。
実験のやり方は、3カ月から8カ月の赤ちゃんを対象に、0.25秒だけモニター画面に顔をうつします。その際、顔と一緒に4つの点を提示します。そして顔が消えると、左の『非マスキング条件』には点がなく、右の『マスキング条件』には4つの点が残ります。

この実験で、赤ちゃんがモニター画面を見ている時間を比べたところ、7~8カ月では4つの点が残ったモニター画面のほうを見ている時間が短く、3~6カ月では注視時間はほぼ同じでした。

前述のとおり、赤ちゃんは人の顔を好んでよく見る性質があります。
7カ月以上の赤ちゃんは、大人と同じように『逆向マスキング』が生じ、右の『マスキング条件』の実験では顔が見えなくなっているため、注視時間が短くなったことが予測できます。
一方3~6カ月の子は、注視時間に差がないので『逆向マスキング』が生じず、『マスキング条件』の実験でも人の顔が見えていることが考えられます」(中島先生)

6カ月以下の赤ちゃんの脳には、トップダウン処理が備わっておらず一方通行

上のイラストのように、6カ月以下の赤ちゃんと、7カ月以上では脳のメカニズムに違いが。

300人の赤ちゃんへの「逆向マスキング」に関連する実験によりわかった脳の中の視知覚の処理についてまとめると、上のイラストのようになります。

「人の脳内では、物を見るとき「トップダウン処理」といって、低次視覚領域と、物体のさまざまな特徴など複雑な情報を処理する高次視覚領域との間で、情報をループしながら物の認識を深めます(イラスト右)。しかし6カ月以下の赤ちゃんは、脳が未発達なため情報のループがないことが今回の実験からわかりました(イラスト左)。6カ月以下の赤ちゃんは低次視覚領域から高次視覚領域への一方通行だと考えられます。

今回の実験ではループが起こる、大人の視知覚に近づくのが7カ月以降とわかりました。
6カ月以下の子では初めに見えたものがそのまま見え続け、7カ月以上の子とでは、見えるものが異なるということが想像できます」(中島先生)

今回の実験の結果を、日々の子育てで生かすことはできるのでしょうか。

「6カ月以下の赤ちゃんは、大人とものの見え方が違うことをわかってください。おもちゃを見せてあやしたり、絵本を見せたりするときは、ゆっくり・じっくり見せてあげたほうが認識しやすいでしょう」(中島先生)

イラスト/LAIMAN、取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・資料提供/中島悠介(なかしま ゆうすけ)先生

6カ月以下の赤ちゃんをあやしても反応がイマイチと悩んでいるママやパパは、中島先生のアドバイスを参考にしてみてください。また今回の実験結果をもとに、たとえば発達障害をもつ子の脳内メカニズムや視知覚の特性なども明らかになっていく可能性があると言います。

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