子どもの事故の予防に、母子健康手帳のQRコードを活用しよう!【小児科医】
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#13は、赤ちゃんの事故・けがの予防についてです。コロナ禍であることと、これから秋から冬に季節が変化するなかで、自宅で過ごすことが増えるかもしれません。赤ちゃんの事故予防対策を考えてみませんか。太田先生は、赤ちゃんのお世話で必須の母子健康手帳が、ここでも役に立つと言います。
おっと危ない!伝い歩きができるようになったら事故予防の徹底を
私のクリニックでは、「伝い歩きをするようになったら健診に来てね」と言っています。この時期には、ソファに上がる、椅子によじのぼる、そこからテーブルの上にも上がって立ち上がる、手にしたものはなんでも口に入れてしまう、など危なっかしいことだらけで、親はひやひやし通しです。それにともなう事故発生リスクが一気に高まります。そのような事故の予防対策を知ってもらうための情報提供をしたいからです。
健診では、母子健康手帳の“事故の予防”というページ(任意洋式/千葉市版では80ページ)を開いて説明します。残念ながら、お母さんやお父さんがこのページを事前に読み込んだ形跡はほとんどありません。でも、ここにはとても大事なことが書いてあります。このページには不慮の事故を起こさないための情報が満載です。
自分で動けるようになると事故が増えます
そこには、“月齢・年齢別で見る起こりやすい事故”という一覧表が載っています。新生児、1~6カ月、7~12カ月、1~4歳と分かれていますが、7~12カ月の欄には事故もその原因も掲載内容が一気に増えています。
乳児は、自分で動けるようになってもまだ危険察知能力は低いので、怖いもの知らずの行動をします。けがをしないように予防対策を立ててほしいのです。
事故の中身も、“転落・転倒・はさむ (扉、階段など)、やけど (アイロン、ポットのお湯、炊飯器など)、 溺水 (浴槽、洗濯機など)、誤飲・中毒 (たばこ、医薬品、コイン、ボタン電池、など)、 窒息 (食品がのどにつまる)、 車中のけが (座席から転落など)”と盛りだくさん。
母子健康手帳内のQRコードの活用を!
こんなにある原因を、健診中に短時間で説明するのは無理、時間がたりません。でも、いい方法を見つけました。今の母子健康手帳にはQRコードも載っているので、それを利用してもらうことにしました。“月齢・年齢別で見る起こりやすい事故”のページには、三種類のQRコードが載っています。
それぞれ、消費者庁ウェブサイト「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」の中の「子どもを事故から守る!!事故防止ハンドブック」ページ、Twitterページ、子ども安全メール登録、につながっています。「子どもを事故から守る!! 事故防止ハンドブック」(Twitterページも同じサイトに入れます)には、予期せず起こりやすい事故とその予防法、もしもの時の対処法など、具体的な情報がたくさん載っています。これをケータイのお気に入りに登録しておけば、いつでも活用できます。あ、危ないと思ったあとに、対象法は?予防策は?とすぐに調べられます。
検索・登録は、ばあば・じいじにもおすすめ
このサイトを利用してほしいのはママ・パパだけではありません。夏休みやお正月などに、ばあば・じいじの家に行った時などはとくには事故を起こしやすいので、普段以上に注意が必要なのです。
普段、子どもが住んでいない家は、事故につながりやすい危険がいっぱいな環境です。子どもは好奇心が旺盛なため、見たことのない物があれば、興味を持って手を出します。それが、やけどや誤飲の原因になります。事故防止対策の一環として「子どもを事故から守る!! 事故防止ハンドブック」も共有して活用してほしいのです。
さらに便利なのが、“子ども安全メール”です。登録しておくと「子ども安全メールFrom消費者庁」から、子どもの事故を防ぐための注意点や、豆知識のメルマガを受け取ることができます。
私も登録して乳幼児健診時の説明にも利用しています。毎週来るのでしつこいくらいですが、その内容には、毎回ハッとさせられます。季節やイベントに関連したトピックスが配信されるので、タイムリーな内容を使って、具体的な注意喚起ができます。この登録は、ばあば・じいじにもおすすめです。これを読んでもらい、子どもたちに安全な環境を整えてもらっておけば、実家でもひやひやしないで過ごせるかも。
QRコードの活用が、子どもの事故予防になるなら素晴らしいことです。ドンドン使いましょう。
文・監修/太田文夫先生 構成/ひよこクラブ編集部