食べてくれない!遊び食べをやめさせたい!離乳食のリアルな悩みを解決するQ&A【専門家が解説】
赤ちゃんが5~6カ月ごろになったら始める離乳食。ただ、初めてのことだから、いろいろなことがわからなかったり、心配だったりで、離乳食って大変そうと思っているママ・パパが多いようです。
そこで、ひよこクラブが、妊娠中~1才11カ月の赤ちゃんを持つ412人のママに(※1)、「離乳食がツライ!大変」「離乳食は大変そう!」と思う理由についてアンケートを行ったところ、「作るのが大変」「メニューを考えるのが面倒」「赤ちゃんが食べてくれない」が離乳食の3大ツライに挙げられました。この3大ツライを少しでもラクにするために、先輩ママたちが離乳食を「ツライ!」と思った具体的なお悩みについて(※2)、ひよこクラブの離乳食特集でおなじみの管理栄養士、中村美穂先生にアドバイスをもらいました。
まとめて下ごしらえして冷凍した離乳食用の食材が、余ってしまいます…(10カ月のママ)
離乳食用に、食材の下ごしらえをしてまとめて冷凍保存をしていますが、一度に使う量が少ないからか、使用の目安とされている2週間では使いきれずに余ってしまいます…。
【中村先生から】大人の食事に取り入れましょう
大人ならば、保存状態にもよりますが、2週間を少し過ぎたものでも食べて大丈夫なので、ママ・パパの料理に取り入れて使い切りましょう。
離乳初期の野菜や魚などのペーストは、コンソメスープを加えて大人用のスープに活用を。離乳中期以降などでみじん切りにした食材などは、ホットケーキミックスに混ぜて焼いたり、小麦粉や片栗粉と混ぜてお焼きにしたりすれば、こちらも手軽に食べられる栄養満点の軽食になります。または、ソースやケチャップ、マヨネーズにまぜて料理にかけるのも、簡単でおすすめです。
赤ちゃんが苦手な食材をうまく食べさせるには?(1才のママ)
味なら、酸っぱいとか、苦いとか、食感なら、ぼそぼそしている、パサパサしているといった食材が苦手なようで、なかなか食べてくれません。ひと手間でうまく食べさせられる方法はないでしょうか?
【中村先生から】「甘み」と「とろみ」をプラスするのがポイント
パサパサしている食材を食べさせるのにいちばん簡単なのは、おかゆに混ぜ、とろみをつけて食べさせることです。
酸っぱい、苦いといった食材を食べやすくするなら、さつまいもやかぼちゃのマッシュで、甘みととろみをプラスするのがおすすめ。さつまいもやかぼちゃのマッシュは、まとめて作って冷凍ストックしておけば、使いたいときにさっとレンチンして、苦手な食材に混ぜることができます。
離乳後期以降なら、バターなどの油脂を調理の際に少量加えても、味と口あたりがよくなりますよ。
上の子の幼児食と下の子の離乳食、両方準備するのが大変…(2才&7カ月のママ)
上の子はすでに幼児食を食べていますが、下の子はまだ離乳中期。子ども2人、一緒に食べさせたいけれど、幼児食と離乳食の両方を準備するのが大変です。
【中村先生から】できるだけ一緒に調理するようにしましょう
離乳食と幼児食の両方を「別々に作らなきゃ」と思わずに、できるだけ一緒に調理してしまいましょう。
たとえば、野菜をゆでるときには、消化力の違いや味付けの面から、調理のしかたを下の子に合わせます。野菜は下の子が食べられるやわらかさにゆでて、それぞれの時期に合った大きさや形状にします。必要なら、上の子の分は別に味つけをしてあげましょう。
または、大人の食事や幼児食を作る際に、下の子の分は味つけをする前に取り分けておき、さらに加熱してやわらかくするという手も。
どちらの場合も、下の子の離乳時期から食べられる食材を選んでおくといいでしょう。
上の子のメニューが物たりないときには、いも類やトマト、チーズなど、簡単に出せるものを添えてあげましょう。
前日までパクパク食べていたものを、急に食べなくなった…(8カ月)
前日までパクパクとよく食べていたものを、次の日になったら急に食べなくなり、あわててほかの食材で離乳食を準備することに…。なにが気に入らないのでしょうか?
【中村先生から】離乳食の過程ではよくあること。しばらく出すのをやめても
今まで食べていたものを、急に食べなくなるのはよくあること。好き嫌いが確定した、ということではありません。食べなくなった食材は、忘れたころに再び出してみましょう。また、目の前で大人がおいしそうに食べて見せるのも効果的です。離乳後期であれば、手づかみ食べのできるもの(おやき、ハンバーグ、ホットケーキなど)に混ぜるのもいいですよ。
食べ物で遊ぶのを少なくできるメニューはありますか?(9カ月のママ)
食べ物を下に落とされてもいいように、子どもの食事椅子の下にレジャーシートを敷いて食べさせています。食べることに興味が持てるようにある程度の遊び食べは必要なのかもしれませんが、食べ物で遊びすぎるのは控えたいと考えています。遊ぶのを少なくできるメニューはありますか?
【中村先生から】子どもの前に出すものは、手づかみ食べできるメニューだけにしましょう
赤ちゃんの前には、手づかみで食べさせるものだけを出しておいて、スプーンで食べさせたいものは、大人の手元に置いておくといいでしょう。
また、手づかみ食べができるのであれば、ぜひ、汁ものを飲む練習を進めましょう。手づかみ食べに向くメニューは水けの少ない乾いたものになるので、コップから汁ものなどの水分をとることができると、離乳食が食べやすくなると思います。
「遊び食べ」とひと言にいっても、一生懸命食べようとして汚してしまうのと、ただ、食べ物をグチャグチャしたり、投げたりしてしまうのでは、明らかに食べる気がないので、全然違いますよね。赤ちゃんに食べる気があるかどうかを見定めて、食べる気がないようだったら、食事を切り上げましょう。
取っ手つきのカップで汁ものを出したら、うまく飲めず…(8カ月のママ)
汁ものを飲む練習をさせたくて、取っ手つきのカップに入れて渡したら、頭からかぶってしまいました…。どんなもので練習するのがいい?
【中村先生から】最初は空のコップや水を入れたコップで練習を
最初は、直径が4~5cm、高さが5cmほどの、取っ手のない小さなプラスチックのコップを両手で持たせましょう。赤ちゃんがコップを口に当てたら、大人が補助してコップを傾けます。遊びの中で、空のコップで飲むまねをさせたり、おふろの前などぬれてもいいときに、コップに水を入れて練習したりするのがおすすめです。
数日間、まったく離乳食を食べません。離乳食を1週間お休みしてもいい?(9カ月のママ)
ここ数日間、1日3回の離乳食をそれまでと同じように作って出しても、まったく食べてくれません。もしかして、離乳食が嫌になっているのかも? 思いきって、離乳食を1週間ほどお休みしてもいいですか?
【中村先生から】食べ物をそしゃくして飲み込む練習だけは続けて
離乳初期は、離乳食以外の時間にご機嫌がいいなら、離乳食をお休みしてもOK。
離乳中期以降はかかりつけ医にまずは相談して、健康であるかを確認しましょう。健康上の問題がなければ、そしゃく力と飲み込む力はつけてほしいので、食べられるものだけでも食べさせて。
離乳後期以降なら、手づかみ食べをさせると意欲が引き出されて、食べることもあるので、メニューを手づかみ食べ寄りに工夫してみましょう。
赤ちゃんは、1週間で大人の何カ月分もの成長をします。大人にとっては、ほんの1週間のお休みでも、赤ちゃんにとっては、大きな成長の機会を逃すことにもなりかねません。赤ちゃんが好きなものや、自分で手に取って食べられるものだけでもいいので、少しずつでも離乳食を食べさせることは、続けてほしいと思います。
監修/中村美穂先生 写真/福冨ちはる 取材・文/ひよこクラブ編集部
中村先生に、具体的な離乳食のお悩みに答えてもらいました。離乳食は食べる練習なので、あまり難しく考える必要はなく、その時々の赤ちゃんをよく観察して、できるだけ食べやすい離乳食を用意することがいいようです。少しずつでもそしゃく力と飲み込む力をつけていけるようにしましょう。
※1 妊娠中~1才11カ月の赤ちゃんを持つママ412人のインターネット調査の結果(2021年5月実施)からまとめたものです。
※2 0カ月~3才の赤ちゃんを持つ読者エディター173人のアンケート結果(2021年5月実施)からまとめたものです。
参考/『ひよこクラブ』2021年10月号「離乳食の“ツライ”が劇的に“ラク”に変わる! 究極のアイデア大集合」