「こんなはずじゃなかった…」とならないために、育休復帰前に整理しておきたいこと
大企業からスタートアップ、ベンチャー企業まで経験したなかで、企業の規模に問わずジェンダー問題を深く感じたことをきっかけに、「自分らしく働き続けるには」を常に考え続けてきた志賀祥子さん。理想のライフワークバランスが実現できる環境を自ら作ろうと決意し、2015年に独立。現在はブランディングプロデューサーとして活躍しながら、企業の女性活躍推進、キャリアデザインサポートにも取り組んでいます。そんな志賀祥子さんが自ら実践する「自分らしく働く!」ための思考術を本コラムでは紹介していきます。
第4回目の今回は、育休復帰に向けて考えておきたいキャリアについて聞きました。
ずっと仕事を続けていきたい。そう思うからこその不安や葛藤
もうすぐクリスマス。あっという間に年末年始ですね。育休中の方は、来年の育休復帰に向けて、残りの数ヶ月をどう過ごそうか考える時期かもしれません。
自分一人で悶々と考えながら、今後のキャリアについて漠然とした不安を持っている方も少なくないでしょう。その不安は、役職や肩書のための昇進ということではなく、「今まで通りやりがいのある仕事がしたい、自分の裁量のある仕事をずっと続けたい」という強い想いからだと感じます。
働き続けるなかでも、ライフステージによって仕事をセーブしたり、少しお休みしたり。また、フルに戻ったりと、自分のその時のワークライフバランスで調整していけるといいですよね。
そこで年末年始、少しだけ自分のための時間をつくりませんか?そして、自分の心の声に耳を傾けて、その実現のためにどうすればいいのか、前に進むために必要なことを一緒に考えていきましょう。
目の前の不安から離れて、ちょっと遠くに視点をおいてみる
もうすぐ迫る育休復帰。毎日の「仕事と育児の両立」をどうこなすかを考えることも、もちろん大事なことですが、是非パートナーと一緒に考えていきたいところです。
その際に注意したいのが、この観点からいくと「両立するために何をすればいいか」という日々の役割分担やタスク的な整理になりがちになるということです。
もちろん、実際にするべきことを考えることも大事なことですが、キャリアを考えるうえでは、目の前のタスク整理とは切り離して、ぜひ、もう少し視点を遠くにおいてみてください。。人生100年時代、どんな仕事をしていきたいのか、どんなふうに育児と仕事を両立していきたいのか。自分はどんなことにやりがいを感じるのか、など改めて自分のやりたいこと、キャリアで大事にしていきたいことを考えていきます。
整理すべきポイントを紹介します。
仕事の価値観を考えるポイント
・今までの仕事で一番嬉しかったことは?
・どんなときに仕事のやりがいを感じる?
・仕事で譲れないポイントは?
・苦手なこと、出来ればしたくないことは?
ちょっと先を見据えて考えるポイント
・10年後、どんな人生を歩んでいたい?
・5年後、どんな風に仕事と育児を両立していたい?
・人生で大事にしたいことは?
・そのために今から出来ることは?
パートナーと一緒に考えておきたいポイント
・どんな家庭を築いていきたい?
・子育てで大事にしたいことは?
・仕事と育児の両立、どう夫婦で連携していく?
育休中は、まだ具体的に仕事と育児の両立がイメージできないこともあると思います。私も実際にそうでした。そんなときは、わからないながらもイメージができるように積極的に情報収集をしていました。ネット検索だけではなく、周りにいる先輩ママや知人を介して紹介していただいたりしながら、話を聞きにいきました。
プレママ・働くママが集まるコミュニティ「Mrelations PLUS」では、こういったキャリアや人生についてナレッジシェアやディスカッションが行われています。色んな価値観を持つ方の選択肢を知ることができるので、自分のキャリアや人生を考える上でとても有意義な情報交換ができる場になっています。
“すべき”から解放されよう。焦らずに、今できることから始めて
私たちは、育児はもちろん、これから介護や自身の更年期が重なる世代でもあります。そうした状況の中で、自分があと何年くらいどんなペースで働けるだろうか、人生100年時代をちゃんと歩める専門スキルをあと何年のうちに身に付けられるのか…色んな不安を抱えることもありますよね。
そこで少し視点を先において考えたときに、あまり不安になりすぎないことも大事なポイントです。考えても想像できない先の未来のことに頭を悩ませるのではなく、なんとなくまず少し先の未来をイメージしてほしいのです。そうすると、その将来のために、今できることからは何があるだろう?と少しずつ考えられるようになります。そして1つずつでも始めてみると新たな気づきを得ることもあります。
またこの情報過多の時代、いろんな情報を得ることはもちろん大切なのですが、その情報に左右されすぎないようにすることです。母親とはこうあるべき。というような情報もたくさんありますが、その”すべき”という考え方からは解放されましょう。子育てをしていると完璧主義でいられない場面が多々あります。私自身も親になり、完璧主義から良い意味で解放されたと感じています。
そこでぜひ上手にいろんな情報を取り入れながらも、「自分としてはどうしたいのか」という軸を忘れずにいることを心がけてください。育児と仕事の両立は、いろんな形があり、正解はありません。自分にマッチする情報をパズルのピースのように集めていく意識をもつことがおすすめです。
育休復帰まであと数ヶ月。不安や焦りも出てくる時期かもしれませんが、自分のキャリアと向き合う絶好の機会でもあります。キャリアだけでなく長い人生について考えてみたり、今の自分と向き合ってみましょう。
そして今の仕事でやるべきこと、積み重ねて学ぶべきこと、将来を見据えた人とのつながりなど、やるべきことを少しずつでも良いので明確にしていきましょう。
復帰後に「こんなはずじゃなかった・・・!」とならないように、ぜひ育休復帰前に頭の中をクリアにしてみてくださいね。
志賀祥子
PROFILE
1986年生まれ。東京都出身。上場企業からスタートアップまで様々な企業で経営企画・広報に従事。企業規模に問わずジェンダー問題を深く感じ、2015年に将来の育児期を見据えて独立しリモートでのコンサルティング事業を立ち上げる。出産を経て、2019年に株式会社MaVieを創業。ブランディングや戦略コンサルティングの支援を行う傍ら、働く女性を取り巻く社会課題の解決を目指したコミュニティやパーソナルブランディングの提供を行う。ブランディングやコーチングのメソッドを取り入れた「自分らしさ」を明確にする独自のカリキュラムは幅広い女性に支持されている。プライベートでは一児の母。
■メディア出演・掲載
日本経済新聞/日経DUAL/日経doors/日経WOMAN/日経xtech/NIKKEI STYLE/
TBSグッどラック!/テレビ朝日 スーパーJチャンネル/Markezine/FNN PRIME NEWS など