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子どもを愛しい気持ちに血のつながりは関係ない…! 養子縁組で子どもと出会えるまで【体験談】

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特別養子縁組制度で子どもを迎えたいと考えた場合、相談する場所は児童相談所か民間のあっせん機関になります。民間あっせん機関での取り組みと、養子縁組の課題などについて、養子縁組あっせんを行っているアクロスジャパン代表理事の小川多鶴さんに聞きました。

(上の写真は、小川さん夫婦が特別養子縁組をした息子さんが2才のときのもの)

研修や家庭調査、面談を経たのち、子どもを迎えるための待機登録へ

産科による実習を夫婦で受講します。コロナ禍の現在は個別対応になっているそうです。

――アクロスジャパンを介して特別養子縁組が成立するまでの過程を教えてください。

小川さん(以下敬称略) メールで問い合わせをいただいた方に、電話で個別に養子縁組の流れを説明し、質問やご夫婦の基礎的なお話を伺うことからスタートします。
その後、厚生労働省が定める公的書類と、当団体への登録書類などを提出していただき、研修・実習・家庭調査へと進みます。このステップごとに次に進むかご夫婦に確認し、必要に応じ幾度か面談も行い、待機登録に進みます。
マッチングした子どもとの出会いがあれば、委託・入院育児実習を行い、その後はいよいよ親子での生活が始まります。

――研修・実習・家庭調査ではどのようなことを行いますか。

小川 養親(ようしん)になるには、厚生労働省の規定により、基礎研修、演習・実習の計8講義を、最低6日間かけて受けることが決められています。
子育ては夫婦で行うものですから、子どもを迎え、育てることの責任と義務を理解してもらうため、夫婦での参加が必須となっています。

家庭調査では、家屋内の危険物の点検や、子どもを迎えるにあたっての準備のノウハウなどを、助産師などが具体的にアドバイスし、実際にどのような準備が必要かなどを、ご夫婦と一緒に確認していただきます。

――養親となる基準として「夫婦ともに45才以下」という年齢制限を設けていますね。

小川 特別養子縁組に関する法律では、養親の年齢の上限はありません。でも、子どもが健やかに育つ環境を担保するには、子どもが成人するときに親が60代半ば、というのはぎりぎりのラインだと判断したうえで上限を設けています。大きな年齢のお子さんだとその限りではありません。

――養子となるお子さんはどのようなタイミングでやってくるのでしょうか。

小川 当団体は、産科との連携による支援を行っている性質上、新生児のお子さんを委託するケースがほとんどなため、お子さんとのマッチングのタイミングは突然やってきます。赤ちゃんはいつ生まれるかわかりませんし、実親さんの決意に負担がかからぬよう、マッチングはお子さんが生まれる前に絶対に行ってはならないと法律でも決められています。赤ちゃんが生まれたあと、実親さんの意思をていねいに確認したうえで養親候補のご夫婦に連絡し、赤ちゃんを迎え入れる決意を確認します。

――赤ちゃんを迎えると決めたら、委託・入院実習を受けるのですね。

小川 そうです。事前研修でも十分な指導は行いますが、新生児や乳児を迎えると生活は一変します。迎えるお子さんとともに産院・助産院に入院して実習を受けてもらうのは、ご自身で出産した場合と同じようにスタートするためです。
(ただしコロナ禍により、現在は医療従事者が自宅まで出向いて家庭内で育児指導を行うか、連携先の医療施設で密にならないよう配慮して入院指導を行うかを、状況に応じて対応しています)

赤ちゃんとの生活が始まってもすぐに養子縁組が成立するわけではありません。ご夫婦が家庭裁判所に特別養子縁組の申し立てを行い、法律により養子縁組の確定には6カ月以上の試験養育期間が必要です。

試験養育期間中は、当団体の職員、家庭裁判所の担当調査官や、家庭裁判所から照会を受けた児童相談所の職員も、養育の様子を確認するために家庭訪問を行います。


実親さんも家庭裁判所の調査官によって再度、養子縁組への意思確認がなされ、実親さんの意思に変わりなく、6カ月間の試験養育期間中の調査によって、子どもにとっての最善の選択肢が養子縁組である、と認められれば、家庭裁判所の許可が下り、「審判確定書」によって特別養子縁組は成立します。

年間の問い合わせは1300件程度、登録手続きに進むのは30件程度

夫婦で受講する基礎研修では、児童福祉論、発達心理学、小児医学などを学びます。

――子どもを迎えるまでには、だいたいどれくらいの時間が必要ですか。

小川 一概にはいえませんが、当団体の過去のデータでは、養子縁組を考え始めてからお子さんを迎えるまでの期間は、平均で約3~4年でした。

――数年単位で養子を迎える準備を進めるとなると、その間にあきらめてしまう人もいそうです。

小川 年間に1300件くらいの問い合わせがありますが、養親希望者が登録の手続きに進むのは30件程度。年間15件程度の特別養子縁組が当団体を介して成立しています。

――児童相談所の中には、年間の養子縁組成立件数がゼロというところも少なくないようです。

小川 この支援は成立件数が多ければいいというものではありませんが、実親さん側から見ると、児童相談所はどうしても敷居が高く、平日5時以降や土日は相談窓口が閉まっている、相談の段階で身分を明かさないといけない、子育てに悩む相談をすると悪い親のように扱われる、メールなど電子媒体での相談窓口がないなど、気軽に相談できる体制はまだまだ整っていません。また、養子縁組制度についての経験がなかったり、不慣れだったりする職員も多いようです。こうしたことが、養子縁組成立件数の少なさに現れてくるのかもしれません。

育児は大変。でも子どもは愛しい。その気持ちに血のつながりは関係ないんです

助産師による新生児実習の様子。夫婦で一緒に学ぶことで、親としての自覚と責任が芽生えていきます。

――小川さん自身も特別養子縁組でお子さまを迎えています。

小川 私には最初の結婚の時に産んだ娘がいますが、今の夫との間にも子どもがほしかったし、子どもを育てる喜びを夫にも味わってほしかったんです。夫はアメリカ人で、私たちは当時、アメリカに住んでいました。
4年間不妊治療を行っても授かることができず、夫から「養子を迎えればいいじゃない?」と提案されました。あらためて周囲を見渡すと、夫の家族には養子縁組の当事者がたくさんいました。アメリカでは、子どもを連れて再婚するのと同じくらい、養子を家族に迎えることは特別でない自然なことなんだと納得し、40才のときに養子を迎えることができました。

――息子さんは現在16才。反抗期でしょうか。

小川 まさに反抗期まっさかりで、「うるさい!」とか言われています(笑)。
「『養子にしてくれなんて言ってない!』と将来子どもから言われたらどうしよう」という相談を受けることがありますが、実子が「生んでくれなんて頼んでない!」と反抗するのと同じ。子どもを育てる大変さに、実子と養子の違いはありません。もちろん、楽しさも同じです。

――実子の場合、妊娠期間中に少しずつ親になる準備をしていきますが、養子の場合は突然親になることに戸惑う、という話を聞きます。

小川 アメリカでは、養子縁組の登録期間を「ペーパー・プレグナンシー(書類による妊娠期間)」と呼びます。日本よりずっと多い莫大な書類を用意し、面接や審査、研修を受ける、自宅を整えるなどの準備期間を「妊娠期間」と考えるのは、夫婦の心の準備のためにも大切な時間だと思います。当団体の進め方で考えると、お問い合わせから子どもと出会えるまでがみなさんの「妊娠期間」。この間に親になる準備を進めていけるといいですね。

日本の養子縁組に対する考え方は、20年ほど前のアメリカのムーブメントにとてもよく似ています。最近は日本でも、若い世代を中心に「家族のあり方は多様でいい」という認識が広まりつつあり、20代から養子縁組を考える夫婦も増えてきています。家族をつくる選択肢の1つが養子縁組制度、ということが広まれば、幸せになれる家族も増えることでしょう。


現在日本には、国から許可を受けた養子縁組あっせん機関が23団体あります。まだまだ少ないですが、児童相談所や機関同士の連携も強化するよう、厚労省からも通知が出ています。
家庭と親が必要な子どもと、子どもを育てたい夫婦の橋渡しに尽力しています。特別養子縁組制度で家族になれる子どもと夫婦が増えるように、私も活動を続けていきます。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・写真提供/小川多鶴さん

監修/林浩康(はやしひろやす)先生(日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授)

特別養子縁組の成立までは年単位での準備が必要になるため、養子縁組を考えている場合は、早めに行動する必要がありそうです。まずは民間のあっせん機関に相談だけでもしてみるといいかもしれません。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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