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【理学療法士に聞く】首すわり前、腰すわり前からの”おすわり練習”がNGな理由

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iStock.com/Charlie4mav

早く「おすわり」ができるように、早く「あんよ」ができるように…と思うのが親心。おすわりができる前から、中には首がすわる前から、ベビー用のソファやおすわり練習用のソファなどに座らせている家庭が少なからず見られるのが現状です。
しかし、「発達が進む前に無理な姿勢をとらせることには、いろいろな弊害があります」。そう話すのは、赤ちゃんの神経発達や骨や筋肉の発達を多く見てきた、理学療法士の中原規予さん。どんな問題があるのか、詳しく聞きました。

低月齢からおすわりをさせると、どんな問題が生じる?

補助がなくても、自立しておすわりができるようになるのは、6~7カ月ごろから。けれども、首がぐらつかなくなる4カ月ごろからベビー用のソファなどにおすわりをさせているケースも。ソファで赤ちゃんの体ががっちり支えられるので、おすわりの姿勢ができているように見ますが…。

赤ちゃんの筋肉も疲労し、かたくなる

「自分の体を自分で支えておすわりをするというのは、体を支える組織の成熟が進み、運動の発達が脊柱(せきちゅう)にまで到達している証拠。発達が進むことで初めて、できるようになります。

ところが、自分の力でできるようになる前に、ベビーソファなどを使って強制的におすわりをさせると、腹筋や背中を支える靱帯(じんたい)や骨、関節を支える構造物などの組織が育っていないので、背中の筋肉がすごく頑張らなくてはいけなくなります。
長く座らせておくと、大人が肩凝りで肩が痛くなるように、赤ちゃんの背中も筋肉疲労を起こし、かたくなって痛みが出ることがあります。抱っこから降ろしたときに泣く場合は、もしかしたら、背中の筋肉が痛くて泣いている可能性もあるかもしれません」

自分で遊ぶ余裕がなく、意欲が低下

「未発達の子をベビーソファに座らせると、おとなしく座っていることが多く、つい座らせたままにしておくママもいるようです。
しかし、おとなしく座っているのは、心地いいからだけではなく、『姿勢を保つことに必死だから』ということもあります。余裕がなく、手を出すこともキョロキョロと周囲を見回すこともできない子も、中にはいます。無理なおすわりを日常的に続けてしまうと、『動けない→動く気持ちが起こらない→自発的に動くことを断念する』といったように、周囲に興味を持つ意欲が失われてしまう恐れもあります」

体のバランス感覚が育たない

「ねんね、うつぶせで頭を上げる、おすわり、立っち…と体の重心の位置が、少しずつ高くなるにつれて、強い力で重力に対抗する必要が出てきます。自分の体を支えるというのは、重力を感じながら自分の筋力で体のバランスをとり、支え方を少しずつ覚えていくということ。ですから、一足飛びにねんねからおすわりに姿勢を変えても、体のバランスをとる筋力も感覚もついていきません。正しいバランス感覚で体を動かす「バランス反応」は、運動能力の基礎。バランス能力のある子に育てるためには、発達に合った姿勢を自発的に遊びの中でとることが重要なのです」

発達に合っていない姿勢を長時間とらせることは、赤ちゃんの体に相当な負担をかけることになるんですね。首すわり前の縦抱きも、長時間は避けるべきだそう。同じ姿勢を長く続けると大人でも疲れますが、赤ちゃんは大人以上に疲れるもの。「抱っこひもで抱っこするときも、こまめに出してあげて」とのことでした。
(取材・文/ひよこクラブ編集部)

監修/中原規予さん
理学療法士。中央愛育園など療育施設に非常勤勤務。不定期で理学療法士向けや子育て支援者向けの勉強会講師も行っています。

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●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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