おたくマンガ家・御手洗直子の「育児日記」昭和の話をしよう。昭和といえばバキュームカー

一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者がおくる大人気不定期連載！　「つっこみが止まらないコマダム日記」⑱。あの御手洗直子がとうとう二人目を出産。果たして直子の育児はどうなった？？？

人は何才まで記憶をさかのぼれるか？

前回幼児の記憶について語ったときに私の最古の記憶は３才と書いたんですが、そういえば正しくは２才でした。

私の母は私たちが生まれたあと大学に入り直したので、しばらくは学生だったのですがその時私が預けられていた保育園が今でいうたぶん認可外の保育園で、ほかの事はほぼ何も覚えていないのですが毎日来るバキュームカーがすっごい臭くて『臭いなァ…』『臭いのが来たなァ…』とその車が来るたびに思っていたことを覚えています。当時どうして臭いのかっていうのは理解していなかったので、あとから母に聞いた話でアレはバキュームカーが来ていたのだということを知ったのですが、２才だぜ…。２才ってちゃんと臭いっていう不快感があってそれをちゃんと恨みつらみとして覚えてるんだぜ…。バキュームカーというあたりに時代を感じます。
その後新しい保育園に移って『ここは臭くない！きれい！ここはなんてすてきなのかしら！今日もここに来られるの？！今日も？！』って思ってたのもすごくよく覚えてるのでよっぽどもとの保育園は臭くて汚かったのかなァと思います…。

３才の記憶で覚えているのは母、祖父母とスケートに行って右手首を骨折していたのにそれに気付いていない大人たちに『泣いてるけど大丈夫だろう』ということで一晩放置されて翌日病院に行ったらレントゲン撮られてギプスされたことです。３人目ともなると扱いがかなり雑ですね！先生が『こう折れてるよ～』って指で折れてるジェスチャーをしてくれたのですがそれもよく覚えてるので３才でももうかなりよく覚えてるんだな～と思います。

小学生になってからはもうかなりいろんなことを正確に覚えていますが、今思い出すとたいへんおそろしいのがたぶん小学校低学年のとき近所の資材置き場に積んであった鉄骨をよく登っていたという記憶です。コレ一本数十キロ～数百キロあるような鉄骨やら鉄の棒が積んである空き地みたいなところで、私のほかにも近所の小学生がたむろしてよく遊んでいたんですが、ンマァ～～～～今思い返すと本当に恐怖です。まず資材（資材置場の足場？）の積み上げられている高さが２ｍ以上あり、普通の2階建てくらいの高さがあります。そこへ登っているだけでも親から見ればたいへんおそろしい状況だというのに、子どもというのはその積んである資材の中で自分が持てるものや動かせるものを全力で動かすのである。何もそんな強制労働を強いられているわけでもないのに、ガチャーン！やらガシャーン！やらズズズーやら言わせながら資材をずらしたり持ち上げたりしてはキャーキャー言っていたのである。本当にたいへんものすごくあぶなっかしくそしておそろしい。刺さって死んでもおかしくはない。そんな事故が起きたらトラウマになる。当時なんか知らん大人に『あ、あぶないからやめなさい…っ！』って言われた記憶があるけど『やだなあ、あぶないなんてこと全然ないのに、大人はなんもわかってないんだから！///』と思っていました。わかってねえのはおまえだ。本当に小学生とはこの程度にはわかってないのである。今大人になった私が資材に登っている我が子とその現場に居合わせたら『あ…あぶ、あぶぶあっぶないヒィ～～～！なにしてんだやめろぉお端に立つなあ…っテコの原理が！』という感じである。地面にいる自分が恐怖におののきながら叫んでいるところに『ハッハなにを慌てているのだ大人はわかってないなあ。』という対応をされるのである。馬鹿野郎。大人になって…母さんの言ってたことがようやくわかったよ…というアレである。遅い。大人と子どもの温度差がひどい。そして大人になってから思い出して理解するとつらい。これからむすめたちがこの程度にアホなことをするであろうと思うとそれもつらい。


ちなみに私４才くらいまで水中で鼻呼吸ができたんですがアレ本当に嘘でなく本当にできてたんですが本当にホントだと２０才くらいまで思ってたんですが四十路近くなってアレはどっかで合成された記憶だったのでは…と思い始めたんですがアレはなんだったんですかね…。それとも胎児の頃の記憶とかと混同してたんですかね…。
鼻から水を吸って呼吸をするさわやかなあの感じが現実ではなかったのでは…と思うと寂しいです。（おわり

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■御手洗直子プロフィール
pixivで大人気。累計閲覧数1000万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。

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御手洗直子（＠mitarainaoko）Twitter