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白血病で生後5カ月からの抗がん剤治療。むくみや湿疹で痛々しい娘の姿を見て何度も変わってあげたいと…【体験談】

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5カ月のときに急性骨髄性白血病を発症した橋本咲葵(さき)ちゃん(3才5カ月)は、国立成育医療研究センター(以下成育医療センター)で化学療法(抗がん剤治療)を半年間受けました。治療開始から現在に至るまでの咲葵ちゃんの様子と、一緒に病気と闘った里奈さん(22才)、俊樹さん(22才)の気持ちについて聞きました。咲葵ちゃんの主治医である、同センター血液腫瘍科診療部長の富澤大輔先生に、咲葵ちゃんの治療経過について解説もしてもらいました。

(上の写真は、2回目の抗がん剤治療が終わったあと白血球の数が回復し、比較的体調がいい時のもの)

痛々しい姿を見ているのがつらかったし、経済的な不安も大きくて…

初めての抗がん剤治療が終わった時の写真。パパも仕事の合間を縫って咲葵ちゃんにつき添いました。

5カ月で急性骨髄性白血病と診断された咲葵ちゃんの白血病は、診断が難しいタイプの急性巨核芽球性白血病(きゅうせいきょかくがきゅうせいはっけつびょう)でした。

「咲葵の白血病のタイプに合った抗がん剤を投与して治療するという説明を受け、白血病の治療成績はよくなっているので、早ければ半年で退院できるということも聞きました。

主治医の先生の説明では、0才代の赤ちゃんの場合、抗がん剤の副作用の吐きけなどは少ないだろうとのことでした。つらさが多少でも少ないのならありがたいと思ったのですが、まだ自分で表現できないだけで本当はつらいんじゃないかと、見ていて何度も感じました。

薬の影響でおなかがゆるくなり、紙おむつからうんちがはみだしてしまうぐらいでしたし、輸血の副作用で体全体がむくみ、赤い湿疹(しっしん)が体中に出ていました。それに、入院当初はサチュレーション(酸素飽和度)が低くて鼻から酸素を吸入していたので、チューブをとめるテープでかぶれて鼻の下が真っ赤に。何もかもが痛々しくて、見ているのが本当につらくて、代わってあげたいと何度も何度も思いました」(里奈さん)

そんな中、里奈さんは咲葵ちゃんの入院2カ月目ごろからパートの仕事を始めます。

「入院して1カ月がたったころ、最初の入院費として10万円くらい支払いました。治療は早くて半年かかるといわれていましたし、『このままでは咲葵の治療費が払えなくなる!』とあわてて仕事を探し、入院2カ月目から週3~4日のパートの仕事につきました。

入院した当初はあとから助成されることを知らなかったんです。当時、成育医療センターがある東京ではなく神奈川県に住んでいたので、乳幼児医療証があっても、東京にある成育医療センターの治療費はその場では助成されず、一時的に負担しなければなりませんでした。
後から助成されることがわかってからも仕事は続けました。一時的に入院費を立て替える必要はあるし、ミルク・離乳食代はかかるので、私が働かないと経済的に不安でした」(里奈さん)

里奈さんや俊樹さんが咲葵ちゃんにつき添えない時間帯は、里奈さん方のひいばあば・ひいじいじが様子を見に行ってくれたそうです。里奈さんは仕事をすることで忙しくはなかったのでしょうか。

「たしかに忙しくはなりましたが、仕事をしている間は咲葵の病気のことを考えないでいられるので、メンタル的には仕事を始めてよかったと思います。成育医療センターのスタッフの方々も『ママやパパが元気でいるのがいちばんだから無理をしないで』と言ってくれたので、うちは夜のつき添いはせず、病院に任せていました」(里奈さん)

脾臓の腫れが引いて7カ月で寝返りに成功。「きっと治る」と感じた

初めての一時退院中に、寝返りができるようになりました。

半年間の治療は、抗がん剤を投与して、落ち着いたら一時退院し、また抗がん剤を投与するために入院する、の繰り返しです。

「化学療法を行うと白血球の数が下がって感染リスクが高まるので、無菌室に入ります。無菌室といっても、病室のベッドに簡易無菌装置を設置する形だったので、つき添いはできるし、咲葵に触れることもできました。
そして白血球の数値が上がって安定したら、1週間程度自宅に帰れました。

一時退院のときは3人で過ごす時間を最優先で考え、咲葵の好きなおもちゃを用意してたくさん遊びました。感染リスクを避けるためにお散歩も控えるように言われていたので、買い物はすべてネット通販で済ませ、ずっと家にいるようにしました。
まだ小さいので一時退院のあと病院を嫌がる…といったことはありませんでしたが、1人で置いて帰ることに私が耐えられなくて、病院に戻った日は夜もつき添うようにしていました」(里奈さん)

入院時には、理学療法士さんによるリハビリのプログラムも組み込まれていて、寝返りやおすわりの練習をします。

「咲葵は脾臓が腫れておなかが大きかったので、寝返りがなかなかできなかったのですが、治療によって腫れが引いてきたこととリハビリの効果があいまって、7カ月に寝返りができるようになりました。そんな咲葵の様子を見て、『治ってきている!きっと元気になる!!』と希望が持てるようになりました。

ちなみに、おすわりができた瞬間は見ていないんです。7カ月のある夜、ちょこんと座っていたらしくて、翌日お見舞いに行ったとき、同室で夜もつき添っていたママから『昨日の夜、座ってたわよ』と教えてもらったんです」(里奈さん)

入院は6人部屋のことが多く、同室のママたちなどとの交流もありました。

「どんな治療を受けているとか、今どんな状態だとか、いろいろと話しました。病気の話は同年代の友だちやママ友にはできないので、同じような境遇のママと話ができることで、気持ちがすごく楽になりました。『つらいのは私だけじゃない』『咲葵だけが特別なわけじゃない』と思えることで、病気と向き合う勇気をもらえました。
ただ、一時退院すると元の病室には戻れないので、親しくなれたママと離れてしまうんです。それがちょっと寂しかったです」(里奈さん)

11カ月で退院。2才7カ月から保育園生活も始まり毎日元気に過ごしています

入院中に仲よくなったお友だちから、退院祝いの色紙をもらいました

半年間の治療を終え、咲葵ちゃんは11カ月のとき退院します。

「1才のお誕生日は自宅でお祝いできました。私の母が焼いてくれた“一升パン”を背負わせたり、咲葵の好きなキャラクターが乗ったケーキを用意したりして、ばあば・じいじと一緒に盛大にお祝いしました。ケーキは大人が食べましたが、咲葵はキャラクターを見てにこにこしていました。こんなうれしい誕生日を迎えられるなんて、半年前には想像もできませんでした」(里奈さん)

退院直後は2週間に一度通院していたのが1カ月に一度になり、去年は2カ月に一度に。そのころから咲葵ちゃんは保育園に通っています。

「咲葵が退院したあとも仕事を続けていましたが、仕事の日はパパ方のばあば・じいじと、私のほうのひいばあば・ひいじいしが交代で見てくれました。退院後の経過は順調で、主治医の先生から『集団生活は問題ない』とも言われたので、2021年5月に2才7カ月で保育園に入園し、私はフルタイムの仕事に転職しました。

今の通院は3カ月に一度のペースですが、もう少し間隔をあけてもいいと言われ、順調です。そして、定期的な経過観察は6才ごろで終了とのこと。ただ、化学療法の影響で将来不妊のリスクなどがあるので、大人になっても1年に一度くらいは受診が必要になるようです。

咲葵は名前のとおり、とても元気で活発な女の子に育ってくれています。そんな咲葵を支えていくのが私とパパの役目。これからどんなことがあっても、3人で前向きに明るく乗り越えていきたいです」(里奈さん)

【富澤先生より】治療終了後も、晩期合併症のケアに向けたフォローは継続して行います

現在の咲葵ちゃん。毎日保育園でも楽しく過ごしています。

現在、小児の急性骨髄性白血病は70%以上の長期生存率が得られています。治療終了後4年が経過すると、白血病については「治癒」と考えていい状況になるため、外来通院も1年に1~2回でよくなります。その一方で、白血病を克服した「元患者さん」、すなわち経験者が増えている今だからこそ、もともとの疾患や治療の影響によって起こる健康上の問題(晩期合併症)の重要性が増しています。
急性骨髄性白血病経験者では、化学療法のみで治療した(造血幹細胞移植を受けていない)場合は、そのリスクは比較的低いといえます。ただし、アントラサイクリン系抗がん剤による心臓合併症などが問題になることもあるため、定期的な長期フォローアップは欠かせません。

また、咲葵ちゃんもそうであるように、年少期に治療を受けた経験者の場合、白血病で治療をしていたころの記憶はほとんどありませんので、時機をみて、あらためて話をすることも、とても重要です。長期フォローアップ外来で白血病を克服した子どもたちの元気な姿に接することができることも、私たち小児血液・腫瘍専門医の楽しみのひとつなのです。

お話・写真提供/橋本里奈さん

監修/富澤大輔(とみざわだいすけ)先生

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

半年間の治療を経て元気になった咲葵ちゃん。3才5カ月の今は体を動かすのが大好きで、お絵かきも得意なのだとか。白血病は克服できる病気だと、咲葵ちゃんの姿は教えてくれているようです。

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