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「ほぼ助からないといわれる病に。でも必ず治る…!」白血病の息子を全力で支える、5人の子どものママ&パパの闘病記

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田森天翔(あまと)くん(7才)は、6才のとき混合表現型急性白血病を発症。白血病の中でも非常に珍しいタイプで、骨髄移植の治療を行いました。田森さんファミリーは天翔くんの下に優聖(ゆうせい)くん(5才)、唯夏(いちか)ちゃん(4才)、双葉(ふたば)ちゃん(2才)、絃真(げんま)くん(10カ月)の4人がいて、天翔くんが白血病を発症当時、優子ママ(39才)は絃真くんを妊娠中。そのため、翔パパ(35才)が中心となって天翔くんの治療を支えたのだとか。発病から今に至るまでのことをパパとママに聞きました。主治医である国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科診療部長の富澤大輔先生に、治療について解説してもらいました。

(上の写真は、国立成育医療研究センターに転院し、抗がん剤治療を受けているころ)

2つ目の病院で混合表現型急性白血病と判明。骨髄移植が必要で成育に転院

2つ目の大学病院に入院した直後。白血病で極度の貧血状態だったことが判明

小児白血病の大半は急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病ですが、このどちらでもなく、複数の分化系統を示す混合表現型急性白血病というタイプがあります。非常に珍しく、日本では年間に10人が発症する程度です。

――天翔くんを病院に連れて行こうと思ったきっかけを何でしたか。

優子さん(以下敬称略) 2020年6月ごろ、足が痛いと言うようになったんです。成長痛かなと思ったのですが、食欲もあまりなかったので、かかりつけの小児科に連れて行きました。血液検査をしたら「異常値が出た」とのことで、比較的近くにある大学病院を紹介され、すぐに受診。ところが「ここではできない詳しい検査が必要」と言われ、さらに別の大学病院を紹介されました。その病院で検査した日に白血病と診断され、即日入院。極度の貧血で危ない状態だったそうです。

翔さん(以下敬称略) 混合表現型急性白血病と診断がついたときには、すでに抗がん剤治療が始まっていたのですが、1カ月たったころ、「薬が効いていない」と当時の主治医から説明されました。

――白血病の中でもレアな混合表現型急性白血病と診断され、さらに薬が効いていないと説明されたときは、どんな気持ちだったでしょうか。

優子 確定診断がつく前に、インターネットで白血病のことを調べていて、「混合表現型急性白血病はほぼ助からない」という記述を見つけました。だからこの病名を告げられたときは、治療をどうするのかより、治らないなら、天翔が日々を楽しく過ごすにはどうしたらいいのかを考えてしまいました。

パパは私と違ってポジティブなので、「必ず治る!!」と信じていたようです。

翔 治る可能性があるならどんな治療でも受けさせようと考えていました。骨髄移植が必須とのことだったので、骨髄移植ができる国立成育医療研究センターに7月半ばに転院しました。

骨髄移植直前にママが出産。大量出血で5人目の子が新生児仮死状態に!

国立成育医療研究センターに転院したころ。骨髄移植のドナーを探しながら抗がん剤治療を行いました。

骨髄移植とは、病気の血液を、ドナーから提供された健康な血液に入れ替える治療法。HLAと呼ばれる「型」ができるだけ一致したドナーを探す必要があります。血のつながった親子でもHLAの型が完全に一致することは少ないのですが、半分は必ず合うため、最近では両親から移植することも可能になってきました。

――ドナーが見つからなかった場合は、パパの骨髄血を移植することになっていたそうですね。

翔 完全に適合するドナーからの移植がベストなので、骨髄バンクから適合する人を探してもらい、見つからなかったら、12月にHLAの型が半分合っている僕の骨髄血を提供することになっていました。妊娠中および出産後1年以内の場合はドナーになれないため、妻は候補にはなれませんでした。幸運なことに適合する人から提供してもらえることになり、10月に移植を行いました。

――骨髄移植後の天翔くんの様子はいかがでしたか。

優子 39度の熱でぐったりし、食欲がなくなりました。口内炎はそれほどひどくなかったようで、飲み物すら飲めない、というほどではなかったです。1カ月間は無菌室で過ごしましたが、面会はできたので、心細い思いはさせずに済んだんじゃないかなと思います。

――ママは5人目のお子さんを妊娠中でしたが、出産と看病はどのようにやりくりされたのでしょうか。

翔 下の子たちを病室に連れていけないので、天翔のつき添いは主に僕と僕の母がしました。日中は母にいてもらい、仕事が終わってから面会終了ぎりぎりまで僕がつき添いました。仕事が休みの日は僕が下の子たちを見て、妻はたっぷり時間をかけて天翔のそばにいるようにしました。

優子 天翔が入院している病院で出産しようと決めていたので、大学病院に入院しときはそこの産科で産むつもりでしたし、天翔が成育に転院した際に私も転院しました。
天翔が骨髄移植を受ける1カ月ほど前に出産したのですが、分娩中に大量出血し新生児仮死状態に。子どもはGCUに入院することなってしまいました。

翔 この時期、僕は成育の3つの病棟を行ったり来たりしていました。

「薬が効いている!」と感じられ、希望が見えてきた

抗がん剤の影響で髪の毛が抜けてきたころ。ママが治療に希望が感じられるようになったのも、この時期からでした。

――入院中に心配だったのはどんなことでしょうか。

翔 成育の先生方が決めた治療法が天翔にとってベストだと信じていたので、その点は心配していませんでした。ただ、高度な治療が必要なだけに、経済的な不安が大きかったですね。先生に正直に相談したら、すぐにソーシャルワーカーさんにつないでくれました。受けられるすべての助成を調べてくれ、申請書類も用意してくれたのが、とてもありがたかったです。

――混合表現型急性白血病と診断されたとき、ママは天翔くんの死を意識されたそうですが、「きっと元気になる」と気持ちが変わったのはいつごろでしょうか。

優子 成育で抗がん剤治療を始めたころです。髪の毛が抜けてきたのを見て、「天翔に効く薬がある!きっと元気になる!!」と感じ、希望を持てるようになりました。

大人になってもつき合っていく病気だから、本人にも説明してもらう

今年4月にフォローアップで受診したときの写真。経過は順調とのこと。

――2021年1月に退院されたそうですが、小学校に通うにあたり、担任の先生と話をしましたか。

翔 退院のめどがついた昨年年末ごろ、ソーシャルワーカーさんからの提案で、富澤先生、ソーシャルワーカーさん、私、妻、天翔、小学校の担任の先生でオンライン面談をしました。富澤先生から、本人がやりたいことは基本的にはできるけれど、無理はさせないでほしいということや、骨髄移植をしたため日焼けによる皮膚刺激はNGということなどを説明してもらいました。

今年の夏は水泳の授業も参加しています。ただ、日焼け予防のためラッシュガードの着用を認めてもらいました。

――フォローアップはいつごろまで必要と言われていますか。

優子 退院後1年間は月1回受診し、それ以降は状態を見つつ間隔があいていくようです。骨髄移植の前治療として放射線治療も受けていて、成長してから現れる合併症にも注意が必要なため、大人になっても年1回程度は受診が必要と言われています。

翔 骨髄移植を受けると二次性徴が現れないかもしれないと、事前に説明を受けました。天翔の命を助けることが最優先だったので、そのことは夫婦ともに納得しています。

自分の病気について、天翔なりに理解してほしいと考えているので、最初に白血病と診断されたときから、病気について説明を受ける場面では、「天翔にもわかるように説明してやってください」とお願いし、僕、妻、天翔の3人で聞くようにしてきました。天翔は白血病とともに成長していくことになるので、フォローアップ受診でも同じようにしてもらっています。

これからどんなことが待っているのかわかりませんが、天翔が大人になるまで僕と妻は全力で支えてくつもりです。

【富澤先生より】標準治療が決まっていないタイプですが、移植後の経過は順調

混合表現型急性白血病はまれなタイプの白血病で、標準治療が定まっていません。最近になり、発症のメカニズムや、急性リンパ性白血病に準じた化学療法が奏功することがわかってきました。天翔くんの場合も、前医で行われた初回寛解導入療法後に寛解を達成することはできなかったものの、一定の効果が得られていると判断し、そのまま急性リンパ性白血病型の治療を継続することで寛解が得られました。

なお、脱毛などの抗がん剤の副作用の程度は、その効果というよりは、使う抗がん剤の種類に関連し、患者さんによる個人差もあります。いずれにしても、天翔くんの場合は寛解達成までに複数コースの治療を要したことから、骨髄移植を実施する方針としました。

幸い天翔くんの場合は、骨髄バンクで適合するドナーが見つかりました。移植後も順調に経過しており、いつも元気な姿を外来で見せてくれています。

お話/田森翔さん・優子さん 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

監修/富澤大輔(とみざわだいすけ)先生

混合表現型急性白血病という、非常にまれなタイプの白血病を発症した天翔くん。最新の知見に基づいた国立成育医療研究センターでの治療によって、日常生活を不自由なく送れるほどになりました。白血病の治療・研究は日々進歩しています。白血病を発症した子どもが、みんな笑顔で退院できる日が来ることを願っています。

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