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「語学の天才」赤ちゃんの英語脳力を最大限引き出す方法は? 英語専門の言語教育学博士ママにきく

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みなさんは、人間が言語を習得するメカニズムについて知っていますか?各国の脳科学や言語教育などの分野では、言語の習得に関する研究が進められています。

日本でも、国際語として第二言語 の主流となる英語にはいまだに高い注目が寄せられています。英語は幼少期から始めるべきか?どう実践するべきか?そして、子どもが言語を習得するプロセスや秘めた能力とは?

子どもの言語習得に関するさまざまな疑問を、一児の母であり英語教育学・第二言語習得専門の言語教育学博士である豊田ひろ子先生に聞きました。

豊田ひろ子先生profile

言語教育学博士(カナダ・トロント大学大学院)。元東京工科大学教授。元杏林大学教授。国本女子中学・高等学校副校長。専門は英語教育学、第二言語習得、児童英語教育。書籍『英語に強い子を育てる!親子で英会話』(単著)『コミュニカティブな英語教育を考える』(共著)。英語教育のための教材、イベント、教室の制作と研究などに携わる。1児の母。

赤ちゃんが語学を習得する能力&メカニズム

出典:Mind Brain Educ. Author manuscript; available in PMC 2012 Sep 1. Published in final edited form as: Mind Brain Educ. 2011 Sep; 5(3): 128–142. doi: 10.1111/j.1751-228X.2011.01121.x PMCID: PMC3164118 NIHMSID: NIHMS308531 PMID: 21892359 Early Language Learning and Literacy: Neuroscience Implications for Education Patricia K. Kuhl

赤ちゃんはどのように言語を習得しているのでしょうか。

米国ワシントン大学教授で、赤ちゃんの言語習得と脳の発達の研究で世界的に有名なパトリシア・クール博士の調査結果によると、6か月~8か月くらいまでの赤ちゃんは、世界の言語で使われているあらゆる音韻を聞き取ることができます。例えば、アメリカの赤ちゃんも日本の赤ちゃんも、この時点ではRとLの発音を区別することができています。

ですがその後、10か月~12か月になると、2つの国の赤ちゃんに変化があらわれます。アメリカの赤ちゃんがRとLの発音を聞き取れるようになっているのに対し、日本の赤ちゃんは2つの音韻を区別できなくなっていきます。

日本語が母語である場合、基本的にRとLを区別する必要がありませんよね。実は赤ちゃんは、周囲にいる人の話す言葉を「統計処理」し、自分にとってどの音韻が必要か不要かを判断しています。不要な音を聞き取れなくなることは、ごく自然なことなのです。

不要な音をだんだん聞き取れなくなっていくなら、早期から英語学習を始めたほうがいいのでは、と思われるかたもいらっしゃると思います。
中でも、臨界期について気にするママ・パパが多いですね。

第二言語の臨界期仮説は、ある年齢までに第二言語にふれていないと習得できないとする説ですが、それに対して、今では「感受期説」が主流となっています。これは、言語の発音・文法・語彙といった領域それぞれに、最適な年齢や習得期間があるのではないかとする説です。(参考 『バイリンガル教育の方法:12歳までに親と教師ができること』 アルク2001年 中島和子著)

英語の習得に「遅すぎる」ということはないのですが、それぞれの年齢や個性に合ったインプットや指導をすることが大切です。耳がよく、脳も柔軟な赤ちゃん時代に適切なインプットをすれば大きなアドバンテージを得られます。英語の習得には5000時間を要すると言われています。学習年齢が早まれば物理的に5000時間を早く消費し始めることになり優位になるからです。また、幼少期であればママ・パパとの関わりによる自然なインプットで母語に近いかたちで無理なく吸収することができるからです。

赤ちゃんへの言語インプットでもっとも大切なこと

同じくパトリシア・クール博士の実験のひとつに、英語を母語とする9か月の赤ちゃんに、中国語のインストラクターが本の読み聞かせとおもちゃで遊ばせる活動をおこなったものがあります。一方ではテレビで、もう一方は対面で行いました。12週間行った後に中国語で区別される音韻のテストをしたところ、テレビで学習した赤ちゃんよりも対面で学習した赤ちゃんのほうが成績がよくなることがわかりました。

この調査結果で大事なのは、人が対面で言葉を与えることの重要性です。テレビなどの機械を介してではなく、顔を見ながらの対面による言語のインプットをたっぷりと与えることで言語習得の効果が得られるということです。

そのため、英語教材を活用しながらママやパパが語りかけ、一緒に楽しむことがとても大事といえます。子どもにうれしく響くのはママやパパの声です。また、対面の良さは、情報のやり取りが双方向であることです。赤ちゃんは言葉を得るだけでなく、自分のアウトプットに対してフィードバックを得ることで脳が刺激され、より統計処理能力を活かせることができるようになるのです。

リモートでの英語学習も主流になりつつありますが、テレビ同様モニター越しとなるため、赤ちゃんは対面の場面ほど五感を働かせることができなくなります。主に耳や目を使うことになり疲れやすいので、短時間で集中力を効かせて楽しく活動するのがおすすめです。

赤ちゃんの英語習得率アップの秘訣とは?

出典:Worldwide Kids

赤ちゃんの英語学習において意識するとよいことの1つは「音にふれさせること」です。さきほどのパトリシア・クール博士の実験にあったように、赤ちゃんは周囲の音を熱心に聞いて統計処理を行っており、まず耳を使って学んでいきます。音声をベースに英語を教えてあげると、その特性を最大限に活用して習得していくことでしょう。ママ・パパの声による絵本の読み聞かせなどはいいですね。その時は、ひざの上に乗せて、発音などはあまり気にせず楽しく読んであげましょう。親の心理として早くインプット、たくさんインプットと焦りがちですが、子どもの集中力はせいぜい5分くらい。なので、絵本は朝や就寝前などリラックスした時間や集中できる時間帯を選んで。英語のビデオを一緒に観たり、英語の歌を歌ったりするのも楽しめます。

そして、英語学習を行う際の姿勢としてとても大切なのは、なんといっても親子で楽しむこと。英語教材を使った調査を行った際の興味深い結果があります。 (WWKモニタリング調査」ベネッセコーポレーション2010年)

教材、月齢、使用期間を同じに、親の英語力が異なる複数の親子に英語の習得度合を調べたところ、親の英語力よりも、子育てのひとつとして英語を楽しんでいる親子の方が英語の習得がよかったのです。たとえば、教材の手遊びを一緒にやってみたり、DVDを見ながら「おもしろいね」「びっくりしたねぇ」と共感したり、お散歩のときにチョウチョを見つけたら「butterfly」と言ってみたり…ほかにも、車の色を英語で教えたり、「この道を通るときは英語で話そう」と決めてみたりするなど、教材で覚えた英語を遊び感覚で親しむ親子が伸びたのです。英語を使って楽しくアクティビティをしているかということが大切なんですよね。

もうひとつ大切なのは、子どもが間違った英語を使っても訂正しない、否定しないということ。物心つく5~6歳くらいになると、それが負担になってやる気がなくなってしまうこともあります。楽しい時間を共有する中で、第二言語は伸びていくもの。英語が苦手なママやパパでも、楽しい時間を共有することで大きな役割を果たせるはずです。

英語習得に焦りは禁物。楽しく、無理なく継続することを目標に

英語の早期教育に焦りは禁物。英語の習得はお勉強として教えるのではなく、英語の絵本を読んだり、歌を歌うなど親子の楽しい関わりの中から生まれる副産物くらいに考えればよいかと思います。子どもにとって単純に英語が楽しい、会話が通じてうれしいと思えるのはまだまだ先の話。まずは英語を使ったパパやママとの時間そのものが楽しい時間であって欲しいですね。


取材/文・井上裕紀子

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