子どもをかわいいと思えない自分は親失格かも…負のループ経験から思うこと【コラムニスト深爪】

子育てはわからないことだらけで、日々の失敗の連続に「親失格かも…」と悩んでしまうこともあるでしょう。ツイッターフォロワー数19万人、有名芸能人からも人気の深爪さんは、高校生の男の子と小学生の女の子の2児の母。働く主婦でありながら、ツイッターでの発信のほか、コラムなどの執筆活動を行っています。オンラインサロンで悩み相談などにも答えている深爪さんに、自身の経験やさまざまな子育ての悩みについて聞きました。
子育てがつらいときは意図的に子どもと離れる時間を作った
――深爪さんがツイッターを始めたのは2011年ころだそうですが、子育てのことを発信し始めたのはいつごろですか?きっかけはありましたか?
深爪さん(以下敬称略) 私はツイッターのヘビーユーザーなのですが、あまりプライベートな話をしたくなかったので子どもについて発信することは控えていました。でも、息子が不登校になって悩んだときに、いろいろな方々の育児体験談を読んで心が救われたので、もしかしたら自分の経験もだれかの役に立つかもしれない、と思ったのがきっかけです。
本人の許可なく子どものエピソードを語りたくなかったので、子どもたちに「あなたのことを書くけどいいかな」と聞いたら「どんどん書いていいよ!」と快諾してくれました。
2021年の3月ころからオンラインサロンで、わが子のエピソードや子育ての悩みなどのコラムを発信し始めました。今年の2月には、その内容に書き下ろしも加えたエッセイを出版しています。
――深爪さん自身の乳幼児期の子育てを振り返って、大変だったのはどんなことでしたか?
深爪 いちばん大変だったのは寝られなかったことです。夜中1-2時間おきに授乳して、さらに30分後に泣いて起こされて…寝られないことがこんなにつらいのか、と。生後半年の赤ちゃんに向かって「眠いんでしょ、眠いなら寝てくださいよ」と真顔で言ってしまったこともあります。睡眠不足のせいで、ささいなことでイライラしたり悲しくなったり…ホルモンの関係もあるかもしれませんが、精神的にも肉体的にもつらかったです。
乳幼児期の育児におけるいちばんのストレスは「死にやすい」ってところだと思うんです。私はネガティブ思考なので、ちょっと目を離したすきに口に何かを入れていたらどうしようとか、気になってしまう。トイレにもおちおちいけない。ずっとその緊張感を保ったままでいると追い込まれますよね。なので、だれかに預けるなど、安心して子どもから離れられる時間を意図的に作ることで、心のゆとりを持つようにしていました。
――つらいときに頼る場所はありましたか?
深爪 夫にはかなり助けられました。夜中におっぱいをあげても寝てくれない、と泣きつくと、彼はすぐに起きて、子どもを抱っこして寝かしつけをしてくれていました。不思議なことに、夫が抱っこしてゆらゆらして、子どものおしりをぽんぽんとたたくと、なぜかスッと寝てくれたんです。つらいときはすぐに夫にSOSを出して、交代でお世話をしていました。
夫は2人目が生まれてからも「今のうちに寝ておきな」と子どもたちを遊びに連れだしてくれて、すごく助かりました。
大変な出来事も面白がれる余裕を持っていたい
――深爪さんのツイートは、鋭い視点がありながらもユーモアにあふれています。著書にある「本当にあった『3歳児神話』」のエピソードでは、3才児の行動を「3歳児は、赤ちゃん扱いすると怒るくせに、都合が悪くなると『まだ赤ちゃんだから』と言い訳をする。」「3歳児は、静かなときはロクなことをしていない。」など、ユーモラスに受け止めています。子育てでイライラしそうなところを、どんなふうに笑いの方向に気持ちを切り替えているのですか?
深爪 私には基本的にいろんなことを客観的に見る癖があるんです。自分に起こっていることを、俯瞰(ふかん)してもう1人の自分が見ているような。俯瞰すると悲劇も喜劇に見えることがあるので面白いです。
あとは、小さいときから生き物の観察が好きだったせいか、自分の子どもを「珍妙な生き物」として見ることがあります。自由研究の一環のごとく、好奇心を持って子どもの言動を観察すると「なぜそのタイミングでそれを?」「いやその発想はなかった」と少し面白がれるんじゃないかな、と思います。
ただ、子どもの言動を面白がるには、心の余裕が必要です。イライラしないためにも睡眠や1人の時間を大事にしています。夫や実母に子を預けて、1人でラーメンを食べに行ったりして気分転換してましたね。
――深爪さんの子育てで「こんなはずじゃなかった…」ということはありますか?
深爪 今になってものすごく反省しているのですが、私が神経質になりすぎて息子が非常に怖がりになってしまったことです。幼いころ、公園に行っても「高いから危ないよ、ダメだよ」と言いすぎたせいか、小学校高学年になってもジャングルジムを3段以上登れない状態に。高校生になった今も、ジェットコースターはダメです。もう少しおおらかに接すればよかったなとは思います。
息子についあれこれ言ってしまったのには、私自身の生い立ちも関係しているように思います。母は私を1人で育てたせいか、過干渉なところがありました。母にはきっと私を守らなきゃいけない、という強い思いがあったのだと思います。母の過干渉に苦しめられたこともあったので、私は決して母のような親にはなるまい、と思ってはいるのですが母の言動が染みついているのか、無意識に同じようなことをしていることがあるんですよね。
夫には「それは過干渉だよ、口出ししすぎだよ」とか「自立心が育たないから、結果的に子どもが困ることになるよ」とよく指摘されます。ぶつかることもありますが、夫の意見にはやたらと説得力があるので「確かにそうだな」と素直に納得することが多いです。
――2人目の娘さんでは何か子育てに変化はありましたか?
深爪 息子にあれこれ言いすぎた反省で、娘はある程度ほうっておくようにしました。娘にはケガは多いけれど、なんでもチャレンジする子になりました。性別や気質の違いもあるかもしれませんが、接し方で変わってくるのかな、と思います。
ごはんを食べさせてお世話をするだけでも愛情!
――子どもに注意するときに気をつけていることは?
深爪 子どもが何かやらかしたときには、感情的に怒らないように、座らせて目を見て、何がいけないかきちんと話して…ということをやっていました。ところが、あるとき小学生だった息子に「長々と説教されるより、一瞬どなられて終わりのほうがよっぽどいいよ。どうせオレ、話聞いてないし」と言われたんですよ(笑)。子どもからすれば、感情的だろうが理論的だろうが、イヤなことを言われるのに変わりはないのでどっちも一緒みたいです(笑)。
ママだって人間だから、怒ることはありますよね。いいママであろうとして「怒る」「しかる」の違いに縛られなくていいと思います。当たり散らすのは論外ですけど、たまには怒ってもいいし、親のそんな姿を見て学ぶこともあると思います。ただ、言いすぎたときには「さっきは言いすぎちゃってごめんね。あの言い方はよくなかったよね」と謝るようにしています。
――赤ちゃんをかわいいと思えないと悩む人もいますが、どう考えますか?
深爪 オンラインサロンでも相談を受けることがありますが、みなさん、親は子どもを愛するものとか、子どもはかわいいもの、という思い込みが強い気がします。でも実際、いつもずっと「かわいいかわいい」と思えるわけじゃないですよね。私は、もしかわいいと思えなくても、たとえそれが義務感だとしても、ごはんをきちんと与えてお世話をしていれば、それは愛情だと思っています。
子どもをかわいいと思えない、そんな自分は親失格かも、と考えそれがまたストレスになって…という負のサイクルは私ももう2兆回くらい繰り返していて、子どもが高校生になった今もしょっちゅうです。そしてそういうサイクルにハマるときは、だいたいが疲れて余裕がないときです。だから、あまり深く考えず「今は疲れてるだけ!」「お世話ができていればオールオッケー!」と思うようにしています。
お話/深爪さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部
試行錯誤しながら子育てに取り組んできた経験から、深爪さんの言葉には「そういうこと、あるよね」と寄り添ってくれる優しさを感じます。子育てに正解があるわけではなく、みんな悩んで親になっていく、そのことを肯定的に受け止められるといいのかもしれません。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
深爪さん(ふかづめ)
PROFILE
主婦/コラムニスト(@fukazume_taro)
2児の母業の傍ら、執筆活動をしている。ドラマ、人生、恋愛、子育て、シモと執筆ジャンルは多様。主な著書に「親になってもわからない 深爪な子育てのはなし」「立て板に泥水」「深爪式 声に出して読めない53の話」「深爪流 役に立ちそうで立たない少し役に立つ話」。
「親になってもわからない 深爪な子育てのはなし」(eロマンス新書)
笑って泣けてためになる。子育て世代から共感の嵐!毒親のもとで育ち、2児の母となった著者がその呪縛(じゅばく)から解放されるために悩みながら模索する日々を綴った自身初の"子育てエッセイ"。深爪流・子育て論をとくとご堪能あれ。書き下ろし多数。