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口唇口蓋裂で生まれた意味は啓発活動にあると信じて。「病気や障害は不便なことはあっても決して不幸なことではない」両親の言葉を胸に

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『笑みだち会』代表理事の小林栄美香さん(写真右)とお母さん(写真左)。

口唇口蓋裂支援団体のNPO法人「笑みだち会」代表・小林栄美香さん(28歳)は、自身
も重度の※口唇口蓋裂で生まれた患者の一人。20回以上の手術経験があります。
前編では、これまでの病気との向き合い方やご家族や周囲の方々との関係性などをお届けしました。
後編では、21歳の誕生日から始めたブログが発展してNPO法人を立ち上げた経緯や、今後の抱負などを栄美香さんに聞きました。


~特集「たまひよ 家族を考える」では、妊娠・育児をとりまくさまざまな事象を、できるだけわかりやすくお届けし、少しでも子育てしやすい社会になるようなヒントを探したいと考えています~

※唇・歯ぐき・上あご・のどちんこ等が裂けた状態で生まれる先天性の病気を指します。タイプや症状は人によってさまざまあり、口唇口蓋裂で生まれてくる確率は500~600人に1人。決して珍しい病気ではありません。(NPO法人笑みだち会ホームページ参照)

“口唇口蓋裂に悩む方の役に少しでも立ちたい”が活動の原動力

小林さんのブログ「私、重度の口唇口蓋裂です。」

ようやく治療が落ち着いた、21歳の誕生日、自身の経験談をブログで発信し始めます。ブログ名は「私、重度の口唇口蓋裂です。」

「私にしかできないことって何だろうと考え、闘病記ブログをやろうと思いました。
私と同じ病気を持っている方は、悩みを相談したり、共有しにくいと感じることが多いんじゃないかと思って。
私もブログを始める前は、病院以外で同じ病気の方と交流することがなかったので、悩んでる方のお役に少しでも立てたらいいなと思ったんです。
当時は、当事者発信の情報が少なかったり、病気をネガティブに捉えた情報も目立っていました。だから、ポジティブな当事者もいるってことを伝えたかったという思いもあります」そう栄美香さんは話します。

栄美香さんのブログは、当事者目線の心境や術後の経過などがリアルに綴られているだけでなく、思わず“クスッと”と笑みがこぼれる楽しい要素を持ち合わせているのが特徴。瞬く間に大反響を呼びます。

「ご縁があって、以前テレビに出させていただいたことがあったんです。そのころ、たまたま通院先の病院で“テレビ見ました”と口唇口蓋裂のお子さんのママに声をかけてもらって。“病院主催の患者会はあるけど、気軽に参加できる交流会ってないから作ってもらえませんか?“と言われて。これが『笑みだち会』設立のきっかけなんです」(栄美香さん)

サークル感覚で始めた交流会。気づけば活動は盛んに!

新型コロナウィルス蔓延前の交流会の様子(2022年6月現在、オンラインのみ実施)。

1回目の交流会が大盛況に終わり、交流会を続けていこうと栄美香さんは考えます。

「交流会を続けていくなら名称がいるよねっていう話になって。ブログで募集したんです。いろいろな方から案をいただいたんですが、その中で“『笑みだち会』ってどうですか?”って言ってくださった方がいて。

口唇口蓋裂という病気は、悩みや不安を一人で抱え込みやすいので、同じ病気を抱える方々に横のつながりや友だちをつくってもらいたいと思っていました。
そこから、私の名前『えみ』と『友だち』を掛け合わせた『笑みだち会』っていいなという話になったんです。

でも、案をいただいた方がどこのだれだかがさっぱりわからなくて(笑)。まだお礼を言えてないんです」(小林さん)

病院主催の患者会に参加したことがなかった栄美香さん。
「実は、交流会がどういうものなのか、わかってない状態で進めていたんです」と言います。

「楽しかったらいいかなと、サークル感覚で始めたというのが正直なところでした。良くも悪くもそんな感覚でいろいろな場所でやっていくうちに、気づけば活動は盛んになっていて。
病気を知らない人に向けての啓発活動もしたいと考え、NPO法人化に進んでいきました」

口唇口蓋裂のお子さんを持つママやパパ同士、そして当事者同士の交流と、病気に関する質問や不安などが共有できることを目指し、『笑みだち会』会は二部構成で開催されます。

「パパやママが中心に集まる『ファミリーの部』と、当事者が集まる『本人(当事者)の部』に分けての開催にしました。

1回目の交流会で、お子さんとのかかわり方に悩む、ママやパパが多かったことが印象的でした。自分の子ども時代を思い出すと、うちは家族みんなで明るく頑張ってた記憶があって。私の両親も、みなさんの参考になるなら協力すると言ってくれたので、『ファミリーの部』では体験談を話してもらっています」(栄美香さん)

オンラインの『笑みだち会』の様子は?

新型コロナウイルス蔓延前は、大阪を中心にいろいろな場所で対面での『笑みだち会』を開催していましたが、現在は月1回のペースでオンラインのみ開催しています。

「今後、対面の『笑みだち会』は年2回くらいできたらいいなと思っています。
でも、実は…。オンラインのほうが参加しやすいという声も多いんです。

たとえば、参加したいけど会場に行くことに抵抗がある方、入院中の方や海外在住の方などは、オンラインのほうが気軽に参加していただけてるように思えます。参加してくださる方の幅が広がった感じがします。

過去に、口唇口蓋裂のお子さんを出産したママが、お産入院中の病院のベッドから参加してくださって。泣きながらお話してくれたこともありました。

顔は出したくないけれど参加したい方や、赤ちゃんのお世話をしながらラジオ感覚で参加されるママやパパもいらっしゃるんです。」(栄美香さん)

『笑みだち会』開催によって、栄美香さん自身にも変化があったそうです。

「『笑みだち会』を通じていろいろな方と交流して、私自身の心も救われたんです。人脈が広がって、みなさんの存在に勇気をもらっています」

「病気や障害を持つことは不便ではあっても、決して不幸ではない」両親の言葉は教訓

「病気や障害を持つことは不便ではあっても、決して不幸ではない」両親の言葉は教訓

学生時代、口唇口蓋裂の自分を否定していた栄美香さん。今は口唇口蓋裂の自分に対する自己肯定感は高まっていると言いますが、悩む部分もあると言います。そんなとき、昔ご両親に言われた言葉を思い起こすそうです。

「両親は『病気や障害を持つことは不便ではあっても、決して不幸ではない』とよく言っていました。
『あんたは口唇口蓋裂で悩んで、そのせいで人生が不幸とか思うかもしれないけど、顔がかわいいっていう理由でいじめられる子がおる、頭がいいからいじめられることもある。あんたの場合は口唇口蓋裂でからかわれることがあったとしても、病気がない人はそれ以外のことで悩むこともいっぱいある。だから、病気があるからと言って、それは不幸だとは限らないよ』って。

『あんたはかわいい子になりたかったと言うけど、かわいい子だってかわいいことを妬まれていじめられることもあるんだから、考え方1つだよ』ってね。私の教訓です」(栄美香さん)

孤立しないよう、つながれる場所を提供し続けたい

新型コロナウィルス蔓延前、口唇口蓋裂当事者だけが集まる『笑みだち会・本人の部』の様子。「10代から60代まで幅広い年代層の方に参加いただきました」(栄美香さん)

今後、挑戦してみたいことを栄美香さんに尋ねると、こう話してくれました。

「メールで相談をもらうことが多いので、引き続きしっかり対応していきたいです。そして、辛い気持ちを抱えている方が孤立しないように、つながれる場所はずっと提供していきたいです。

あとは、口唇口蓋裂に楽しみを持てるような活動もしていきたいと思っています。1つは、口唇口蓋裂に対応する便利グッズを作成したいなと。専用の哺乳びんはあるので、ほかのものですかね。たとえば、赤ちゃんが手で口元を触らないようにする輪っか。どのママもパパも苦労して手作りしているので、かわいいデザインのものなどを提案してみたいです。

最後に、これは私自身の漠然とした夢なんですが、口唇口蓋裂の当事者の自伝本がないので、体験談を綴った本を出してみたいな」


取材・文/茶畑美治子

明るくて、はつらつとした姿が印象的な栄美香さん。同じ病気の方々が、よりよく前進できるように活動されている様子に逞しさを感じました。それは、栄美香さんへのご両親のかかわり方が大きく関係しているのかなと思います。前向きな言葉をかけ続けたご両親の強さも感じました。


取材協力・写真提供/非営利活動法人笑みだち会

・ホームページ
https://emidachikai.org/

・instagram
https://www.instagram.com/npo_emidachikai/

・Twitter
https://twitter.com/npo_emidachikai

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