子どもにかかるお金の不安 “教育費”はどう貯める?どう増やす?【専門家が解説】
なかなか収束しない新型コロナウイルス感染症の影響で、お金の使い方が変わってきているといわれます。それでも、子どもの将来のために“教育費”は計画的に貯蓄しておきたいもの。でも、どうやって? ファイナンシャル・プランナーで2児のママでもある鈴木さや子先生に聞きました。
4つのSTEPで“教育費”を貯める&増やす
“教育費”を、貯める&増やすには、
1.貯める準備として、家計の現状を知る
2.家計を見直す
3.貯めるために、貯まるしくみをつくる
4.貯蓄を増やす
という4つのSTEPが有効です。具体的に見てみましょう。
【STEP1】給与6カ月分の貯蓄がない場合、まずは家計の現状を知ることから
まずは今どのくらいの貯蓄や資産があるのか、毎月の家計が黒字なのか赤字なのかなど、現状を把握しましょう。毎月の収支をチェックするときは、クレジットカードや二次元コード決済など、キャッシュレスで払ったお金も忘れずに。
【チェックポイント】
□現在の貯蓄残高、資産残高
□毎月の収支(黒字か赤字か)
□カードの引き落としの金額と日付
□キャッシュレスでいくら使っているか
□先取り貯蓄のしくみができているか
【STEP2】家計バランスを見直し、「貯めるお金」を確保!
「貯めるお金」の割合が低い場合は、まず固定費を見直しましょう。固定費とは、通信費、保険料、サブスクリプションのような定額サービスなど、毎月発生する一定額の支出のこと。無駄なものはないか、安いプランにできないかなど見直しを。固定費の節約が難しければ、変動費の節約を考えます。その際は、家族の健康を支えるために食費の削減は最後に。趣味や被服費、子ども費などの節約を優先します。
手取り年収420万円の場合の家計バランス。月の手取り収入が35万円と仮定して、月額を計算
【STEP3】貯蓄の目標を立て、毎月、自動的に貯まるしくみをつくる
無理のない貯蓄額の目標を立てます。たとえば、教育費は「児童手当+1万4000円/月」、老後資金は「1万円/月」など。何もしなくても毎月、一定金額が給与口座から引き落とされるサービスを利用するのがおすすめです。
【おすすめの貯蓄法】
●学資保険で貯める
学資保険とは教育費の貯蓄を目的に、子ども名義で、毎月、決まった額を積み立てていく貯蓄型の保険のこと。基本的に子どもが18才になるときが満期となり、満期金が受け取れます。ママ・パパなど契約者に万一のことがあると、以後の保険料支払いが免除となる保障付きです。
●積立定期預金・財形貯蓄で貯める
金利は低いですが、確実に貯められる方法。予定より早く解約してもマイナスにならないこと、家計が厳しくなったときに積立額の変更を容易にできるので生活資金にあまり余裕がない人にも。
【STEP4】「使うお金」を貯めてから、それ以外のお金で増やす
コロナ禍によって雇用が不安定な今、気をつけたいのは投資に回す金額を増やしすぎること。収入が減る可能性も考えて、すぐに使える現金(普通預金など)は多めに(給与6カ月分が目安。最低でも生活費6カ月分)確保しておくと安心です。
【タイプ別投資法】
●すでに貯まるしくみが出来上がっている人は「投資信託」
投資の中でもファンドマネージャーと呼ばれるプロが複数の投資先に分散して投資するのが「投資信託」。リスクが抑えられるのが特徴です。投資初心者にはインデックスファンド(※)がおすすめ。投資を始めるなら、利益が非課税となる「つみたてNISA」も、子育て世代にぴったりです。
※日経平均株価など、特定の株価指数などに連動するよう設計された投資信託
●ネットバンクに抵抗があり、口座を増やしたくない人は「個人向け国債」
個人向け国債とは、国が毎月発行している債券のこと。大きなリターンは見込めませんが、最低金利0.05%(年率)が保証されているため、一般的な銀行の定期預金の金利より有利です。
監修/鈴木さや子先生 イラスト/竹田匡志 取材・文/ひよこクラブ編集部
“子ども1人につき数千万円かかる”などと聞いて不安になっているママ・パパも少なくないはず。“教育費”は赤ちゃん時代からコツコツと貯める&増やすのがコツ。4つのSTEPを着実に踏んでいくことが貯蓄のいちばんの近道なのかもしれません。
参考/『後期のひよこクラブ』2022年春夏号特集「夫婦で話し合っておくべきファミリー計画とお金の準備」
■記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
『後期のひよこクラブ』2022年春夏号には、子どもの教育にかかる出費の見通しや将来のお金の不安に対するアドバイスなどを収録した「夫婦で話し合っておくべきファミリー計画とお金の準備」特集があります。
鈴木さや子先生
PROFILE
ファイナンシャル・プランナー、ライフヴェーラ代表。主に子育て世代に向け、家計管理や資産形成などについて講演やイベント、コンサルティングを行う。2児のママ。