こんなときは気をつけて!産後の危険信号6!うつ予防にもなる「産後ケア」の活用を【専門家】
産後は心身共に不安定な時期。しかも、コロナ禍で人との交流が減っている中、気持ちがどんどん落ち込んで、産後うつ病になってしまうママ&パパも少なくありません。孤独な育児に陥らないように、ママ&パパを応援してくれる「産後ケア」について、母性看護専門看護師・助産師の長坂桂子先生に聞きました。
自治体の産後ケア事業はバージョンアップ!
母子保健法が改正され、2021年4月からは、出産後のママ&赤ちゃんの心身のケアや育児のサポートを行う「産後ケア事業」の実施が各自治体の努力義務となっています。そのため、最近は多くの自治体で、産後のママ&パパへのサポート体制が充実してきました。
上の子を出産したときよりも、「産後ケアが利用できる期間・回数・助成額などが増えた」というケースも多いはず。まずは、自分の住んでいる市区町村の産後ケア事業の最新情報をチェックしましょう。
なぜ、産後ケアは重要なのか
産後は、ホルモンの急激な変化やお産・育児の疲れで、ママは心身共に不安定な状態がしばらく続きます。
少なくとも産後4カ月間~1年くらいは、ママ&パパ以外にも、家事や育児をサポートしてくれたり、ちょっとした育児の相談ができる人が必要です。心身に不調が生じると、産後うつ病を発症するリスクも高くなります。
一方、近年は核家族化、少子化などの影響で、産後の育児に不安を抱えながら孤立するママ&パパが増えているという現状があります。
そこで重視されるようになったのが、外部の支援による「産後ケア」です。
いろいろある! 産後ケアの種類
産後ケアには、出産した産院や助産院で受けられるもの、自治体の子育て支援で利用できるもの、個人で契約する民間のサービスがあります。
また、サービスの種類もさまざま。自分のニーズに合ったものを探しましょう。
宿泊タイプ
産院や助産院、産後ケアセンター(自治体が契約している医療施設)、産後ケアホテルなどに母子で数日間宿泊する。
通所タイプ
産院や助産院、産後ケアセンターなどに行き、育児相談をしたり、母体ケアや乳児ケアを受けたり、休養したりする。
訪問タイプ
保健師の育児相談、助産師による授乳指導やおっぱいケアなどが受けられる。
家事・育児支援のヘルパー
ベビーシッター、家事ヘルパー、産後ドゥーラなど。
自治体の赤ちゃん訪問は、とっても大事!
自治体が産後の母子を訪問するサービスは全国で行われています。産後1カ月ま
でに保健師や助産師が訪問する「新生児訪問」や、生後4カ月までの赤ちゃんが
いる家庭を訪問する「乳幼児家庭全戸訪問(こんにちは赤ちゃん事業)」です。ママと赤ちゃんの健康状態を確認し、育児の困りごとや不安の相談にのってくれます。また、必要に応じて適切な支援につないでくれます。
散らかった部屋に入ってもらうのは気が引ける…など、気にする必要はありません。訪問するスタッフは、「この時期は、どんなママでも大変」と理解した上で訪問しています。遠慮せず、どんどん相談しましょう。
出生連絡票は必ず提出しよう!
赤ちゃんが生まれたら、母子健康手帳にとじ込まれている出生連絡票(出生通知票)を必ず提出しましょう。提出された情報をもとに、訪問が行われます。
産後、こんなときは危険信号
産後は眠れないのが当たり前だと思い、頑張りすぎているママもいるようです。でも、以下のような症状が1つでもあれば、周りのサポートを含めた対処が必要です。産後うつ病になりかけているかもしれません。パートナーや信頼できる人に相談し、加えて、産院の医師・助産師や、自治体の保健師などの専門職者にも相談しましょう。
これが危険信号
●この1カ月間、気分が落ち込む、元気
がなくなる、あるいは絶望的になって、しばしば悩むことがある
●この1カ月間、物事に対して興味や楽
しみがわかず、しばしば悩むことがある
●赤ちゃんと2人だけになると、そわそわし不安になって、平静でいられない
●寝ようと思っても眠れない
●3日間以上眠れていない
●食欲がなく、食べられない
産後の危機こそ、外部支援サービスの利用を
自治体の産後ケア事業は、支援の内容も助成額もさまざまです。たとえば、産後ケアセンターを利用する場合、無料で利用できる地域もあれば、一部自己負担になる地域も。「自己負担額がかかるから」と、利用を控える人もいるようですが、ここで節約して心身の不調を招いたとしたら、元も子もありません。
産後のママは、体は回復途中、育児は多忙、睡眠不足、自分のことは後回し、といった状況です。これは、まさに危機的状況! 危機のときこそ、お金のかけどきだと、考えてみてください。
遠方にいる祖父母の方など、産後の手伝いをしたいけどできない方は、産後ケアサービス利用料をプレゼントするのも、今どきの出産祝いです。
とくに、家族などのサポートが少ない人は、外部の支援を利用することを積極的に検討しましょう。
取材・文/栗本和佳子、たまごクラブ編集部
産後の不安や不調を解消するために、ぜひ活用したい産後ケア。どんなサービスがあるか、妊娠中からチェックしておくと安心ですね。