クリスマスに存在しない物を作る【御手洗直子のコマダム日記 ＃132】

一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ＆エッセイでお送りします。

「つっこみが止まらないコマダム日記」#132
今回もクリスマスプレゼントにまつわるお話です。

せめて中２日ほしい

～前回までのあらすじ～　誕生日も結婚記念日もクリスマスも相手に万札を渡してこれで好きな物を買っておいで…で済ませたい。金で全てを解決したいー…。そんな私の配偶者は幸運な事にマメにプレゼントを用意するタイプの人間であったため私の娘たちは救われることになったのであった。～HAPPY END～

前回前々回のコラムで私が娘たちの誕生日やクリスマスにほぼ何もしないクソ野郎みたいな表現になってしまっていたが、実際はプレゼントの用意にわりと貢献していた。どういう貢献をしていたかというと、『存在しない物を作る』という係である。『存在しない物』とは具体的に何かというと『５年前に終わったアニメに出てくるマイナーキャラのぬいぐるみ』とかである。存在しない。

さてまずそれをリクエストされたトリ肉（夫）はどうしたかというと『どうやらそのキャラのぬいぐるみは売ってないらしいよ』と娘を説得するわけでもなくまず作ろうとしたのである。すげえなトリ肉。やったことも無い羊毛フェルトの材料を買ってきてまずは他のキャラを一体作って練習した後そのキャラを作り始めたのである。すごい。

すごいけど結論から言うと技術が追い付かずぬいぐるみ作りは断念した。クリスマス６日前の出来事である。

えらいけど！諦めるならもっと早くに！！諦めろ！！！


その瞬間私はクッションカバー印刷の最短納期を調べ、ギリギリ間に合う所に予約を取り原稿を描き始めた。そのマイナーキャラのクッション用イラストである。母（私）は同人女なので存在しない物を過去死ぬほど作ってきた実績がある。トリ肉が敗れても同人女は諦めないのだ。諦めたらそこで新刊は終了ですよ。公式の絵柄でそのキャラを描きロゴ等を配置し入稿し、ギリギリクリスマスに間に合わせてそのキャラのぬいぐるみではないがクッションを作り上げた。短納期印刷サービスよありがとう。結果受け取った２号は大喜びであった。よかった。終わり良ければ総て良…いやせめてあと二日早く言ってくれ。コピー本だったら落ちてたぞ。

ちなみにこの手のリクエストを過去２件こなしたのだが、出来栄えとしてSNSに流せないレベルに公式に近い物が出来上がった。やばい。誰にも自慢できない。結果それらのグッズはうちの寝室でひっそりと家族にだけ愛でられる存在となった。闇グッズがすぎる。そしてもう１件は人気キャラなのに公式で存在しなかったジグソーパズルだ。こんなに他にもほしい人がいそうなグッズなのに家族以外に自慢できない闇ジグソーなのであった。メルカリとかで高く売れそう。普通に犯罪である。

っていうか〆切まで４時間で印刷所調べて原稿作って入稿するのはちゃめちゃにキツかったです。冬コミかよ。突発本がすぎる。（おわり）

御手洗直子
Profile　pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
　御手洗直子twitter：＠mitarainaoko