君は漫画編集部に持ち込みに行ったことがあるか【御手洗直子のコマダム日記 #138】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#138
今回は漫画の持ち込みにまつわるお話です。
※実際はもっとアレでアレだったけどマイルドに書いておく
学生の頃、某少年漫画編集部に持ち込みに行ったことがある。
漫画を持ち込んで漫画家デビュー!を目指して持ち込んだ。わけではないのだ。同人女の目的はそこではないのだ。いや、そんな万が一の夢もあってもいいかもしれないし、そして漫画の勉強になったらいいなという気持ちももちろんあったわけだが、私の動機の一番大きな理由はそこではなく、『原画見本帳がもらえる』という特典であった。当時その漫画編集部に漫画を持ち込みすると当時の豪華連載陣の原寸サイズの原画が載った、そして漫画の描き方などの説明が詳しく載った見本帳がもらえたのである。そしてこちらは非売品なのである。そう、こちら漫画を描いて持ち込みをした者にしか手に入らない超レア品だったのだ。(※たしか郵送での投稿者でも希望者にはもらえた気がする)
さてそのために私は卒業制作にオリジナル漫画を一本描き、編集部に予約を取って持ち込みに行った。原画見本帳に目が眩んではいたが、一応マジメに描いた漫画を携えて行ったので『怒られるかなあ。何か褒めてもらえるかなあ。』などとドキドキしながら出版社に赴いた。受付で持ち込みに来た旨をお伝えし、打ち合わせブースに案内されそこで約束した編集さんを待った。編集部に行けるのかな?と当時無知な私は期待していたのだが、どうやらこの打ち合わせブースで持ち込み漫画を見てもらえるようであった。
さて、約束の時間になったが編集さんが来ない。来ないなァ。と思いながらボンヤリ待っていたが、隣のブースの声が丸聞こえなのであった。
お隣もどうやら持ち込みの投稿者と編集さんの組み合わせのようだったが、めちゃくちゃ大声で説教されてるので全部もれなく一から十まで筒抜けなのである。『漫画なんてCMの間にチラッと読むか読まないかなんだからこんな話じゃダメなんだよ!』とか『こんな漫画誰も読まないよ!』『全然ダメだよ!』(※実際はもっと口調がアレでアレだった)とかめちゃくちゃおそろしいことを言っているのである。こええ。
なんかすんごい厳しそうな人だし見てもらう人がこの人でなくてヨカッタ~~~~早く編集さん来ないかなあと思ってじっと待っていたところ、隣では『他に何か質問ある?無い?じゃ、これで』とどうやら批評も終わったようで編集さんは早々と編集部に帰ってしまったのであった。こええ。
隣の人も荷物をまとめ帰って行ったのだが私の担当さんがまだ来ない。約束の時間を30分以上過ぎている。来ないなァと思っていたらさっきのおそろしい編集さんが引き返してきたのでなんだろうと思っていたら私のいたテーブルについたのだ。
『○○さん、今いないみたいなので僕が見ますね。』
エーーーーーーーーーーーー
○○さんどこ行ってんだよ!あなたが帰って来ないから(?)なんかこわい編集さんに見てもらうことになってしまったではないか…!
そんなわけで第一印象が『持ち込み新人ボッコボコ』の編集さんに漫画を見てもらうことになったのであった。おそろしい。(つづく)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko