【専門医に聞く】子どもを近視にさせないために「やっていいこと・ダメなこと」(目のケア編)
子どもの近視は軽く考えていいものではなく、早めにケアすることが大切です。子どもの近視の治療・研究をしている東京医科歯科大学 眼科学教室の五十嵐多恵先生に、子どもの目のケアをする際に「やっていいこと・ダメなこと」について聞きました。
「もしかしたら近視になっちゃった?」そんなときはどうしたらいい?
子どもの近視が低年齢化している昨今、「幼児だから近視の心配はない」という油断は禁物。子どもの目に不安を感じたら、近視の治療を行っている眼科で早めに相談しましょう。
Q1:子どもの目が疲れているなと感じたら目のまわりを温める
集中して遊んだあとなどにまばたきが増えるのは、目が疲れているサインかなと思い、ホットタオルで目を温めます。
【〇】目のまわりを温めると血行がよくなり、眼精疲労がやわらぎます
「手先を使った遊びなどをしたあとに、まばたきが増えたり、目をこすったりするときは、目が疲れているかもしれません。目のまわりの血行が悪くなると、まぶたの縁にある『マイボーム腺』から適切な油分が分泌されなくなり、涙の質が下がって目が乾きやすくなります。ママ・パパが触って心地よいと感じる程度のホットタオルを目の上に載せて、血行をよくしてあげましょう。おふろに入って全身の血行をよくするのも効果的です」(五十嵐先生)
Q2:近視用の眼鏡をかけると近視が進んでしまうから、眼鏡は使わない
近視用の眼鏡をかけるようになると、近視が進んでいくと聞いたことがあるから、子どもが近視になっても、眼鏡はかけないようにします。
【×】眼鏡をかけてもかけなくても、近視は進みますが、子どもの眼鏡は適切な度数であることが重要。眼科で処方を
「眼鏡をかけてもかけなくても、近視の度数は進みます。度数の合った近視矯正眼鏡をかけたほうが、生活の質も上がります。子どもに眼鏡を処方する場合は、医療機関で正確な近視度数を測り、その子の目に合った眼鏡をかける必要があります。近視を矯正しすぎる「過矯正の眼鏡」をかけていると、眼鏡に合わせて近視が悪化してしまいます」(五十嵐先生)
Q3:近視は治らないけれど、進まないようにすることはできる
一度近視になってしまうと治らないけれど、近視を進ませないようにする治療はありますよね。
【〇】近視の進行を抑える治療法はありますが、日本では基本的に自費診療です
「目の表面の角膜から、目の最も奥にある網膜までの眼球の前後の長さを「眼軸長(がんじくちょう)」といい、眼軸長が伸びると近視になります。伸びた眼軸長は元に戻らないので、一度近視になると治すことはできません。近視の進行を抑える根拠のある治療法はいくつかありますが、日本では保険適用になっておらず、基本的に全額自費診療となります。
だから、近視にならないように予防することがとても重要なのです。幼児期から子どもの目が近視にならない生活を心がけ、子どもの目を守ってあげてください」(五十嵐先生)
取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部
近視は一度なってしまうと元に戻すことができないもの。幼児期から子どもの目を大切にして、近視になるのを防ぎましょう。